陸上・駅伝

特集:第101回関東学生陸上競技対校選手権

順天堂大・伊豫田達弥が10000m優勝、「楽しむ」気持ちも箱根駅伝優勝への力に

伊豫田(23番)はラスト1周で一気にスパートをかけた(撮影・すべて藤井みさ)

第101回関東学生陸上競技対校選手権大会 男子1部10000m決勝

5月19日@国立競技場(東京)
1位 伊豫田達弥(順天堂大4年) 28分42秒85
2位 井川龍人(早稲田大4年)  28分44秒82
3位 児玉悠輔(東洋大4年)   28分45秒74
4位 児玉真輝(明治大3年)   28分47秒06
5位 富田峻平(明治大4年)   28分47秒71
6位 松山和希(東洋大3年)   28分47秒86
7位 佐藤真優(東洋大3年)   28分49秒54
8位 阿部陽樹(中央大2年)   28分50秒23

関東インカレ初日の5月19日、男子1部10000m決勝はラスト1周でスパートをかけた順天堂大学の伊豫田(いよだ)達弥(4年、舟入)がそのまま逃げ切り、28分42秒85で優勝を飾った。「大学では5位とかアベレージを残すことはできたんですが、優勝ができていなかったので、最後の関カレで優勝できて良かったです」と伊豫田は笑顔で言った。

レースプランを守り、ラストで勝つ

レース前に伊豫田が思い描いていたのは、同日の昼過ぎにあった男子1部1500mで後輩の油谷航亮(順天堂大2年、八千代松陰)のようなレースだった。最後にスパートをかけて勝ちきる。どんなレース展開になっても焦らず、自分のリズムを刻んで走り、最後にスパートをかけて勝負する。4月から後輩の三浦龍司(順天堂大3年、洛南)と一緒にスピード練習をする中で、伊豫田も次第にスピードに自信を持てるようになったという。

大きな集団で進んだレースが動いたのは3800m過ぎ。国士舘大学のピーター・カマウ(2年)がギアを上げてひとり飛び出したが、「後ろでしっかり日本人集団でペースを作った方が結果につながるかな」と伊豫田は動かず、集団の前方でレースを進めた。ラスト2周のタイミングで中央大学の湯浅仁(3年、宮崎日大)が先頭に出ると伊豫田がその後ろにピタリとつき、ラスト1周で一気にスパート。伊豫田はそのまま逃げ切り、トップでゴールした。

伊豫田(23番)は集団の中でペースを刻み、ラスト勝負に備えた

レース展開は伊豫田が思い描いていた通りのもので、勝因を「まずはしっかりレースプランを用意していたことと、そのレースプランを守り、どれだけペースが遅くなったとしてラストで勝つんだ、という気持ちで走れたのは大きかったかな」と明かした。

「野村や三浦や僕は結果を出すの役割」

今大会は9年ぶりに国立競技場で開催され、「ここでオリンピックが開催されたと思うので、大きさに圧倒された」と伊豫田は言う。相模原ギオンスタジアムで行われた前回と違って風を気にせず走れたことも、快走につながった。前回、順天堂大は男子1部で16年ぶり16度目の総合優勝を果たしている。2連覇がかかった中、初日に結果を残せたことが2日目以降につながればという思いが伊豫田にはある。

今年の箱根駅伝で総合2位だった順天堂大は今シーズン、箱根駅伝総合優勝を目指している。主将の西澤侑真(4年、浜松日体)は日々の練習から皆に意識付けをしており、副将の伊豫田は自分が結果を残すことがチームの力になると考えている。「野村(優作、4年、田辺工)や三浦や僕は結果を出すの役割だと思うので、僕が優勝できたことで1mmでも箱根の優勝に近づけたかなと思いますね」と胸を張った。

伊豫田(23番)はこの優勝もチームを勢いに変えていく

今年の箱根駅伝で伊豫田は3区を走り、区間3位の走りで17位から10位に順位を上げた。ただその走りも「悔しい思いをした」と言い、最後の箱根駅伝では再び3区を走り、区間賞の走りを目指す。

今大会で優勝したことで、多くのメディアから取材を受けた。「箱根駅伝という大きな舞台があって、多くの方々に期待していただけて、またこの大会でも多くの方々に取材していただくことはなかなか経験できないこと。それを楽しみながら走れるのがこの大学4年間なので、ラスト1年も楽しみたいです」。大舞台でも楽しむという気持ちが持てることも、伊豫田の強さの秘密だろう。

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