青山学院大学・近藤幸太郎「自信がついた」、5カ月ぶりのレースで日本インカレ2連覇
第91回日本学生陸上競技対校選手権大会 男子5000m決勝
9月11日@たけびしスタジアム京都
1位 近藤幸太郎(青山学院大4年) 13分50秒37
2位 中西大翔(國學院大4年) 13分53秒40
3位 ジェームス・ムトゥク(山梨学院大1年)13分58秒39
4位 吉居駿恭(中央大1年) 13分59秒21
5位 リーキー・カミナ(創価大2年) 13分59秒72
6位 花岡寿哉(東海大1年) 13分59秒73
7位 丹所健(東京国際大4年) 14分04秒05
8位 高槻芳照(東京農業大3年) 14分07秒52
日本インカレ最終日の9月11日、5000m決勝が行われ、青山学院大学の近藤幸太郎(4年、豊川工)が13分50秒37で優勝し、2連覇を果たした。「5カ月ぶりのレースで、うまくいかないシーズンだったので、無事に勝てて良かった」と笑顔を見せた。
レース前「不安で不安でどうしようもなかった」
今年の箱根駅伝後、近藤は2月5日の別府大分毎日マラソン大会に出るためにフルマラソンに向けたトレーニングを始めたが、左のかかとを疲労骨折してしまう。2カ月ほど休んで4月には記録会に出場したが、その後に左足のアキレス腱を痛め、ポイント練習ができるようになったのは7月になってからだった。夏合宿は0次から参加したが「出遅れた感がかなりあって、ずっと不安でここまできた」と振り返る。
大会の直前にあった2次合宿の後半ではスピード練習にも取り組んだが、スピードがまだ戻っていないことを自覚していた。そもそもレース自体も5カ月ぶりだ。前回大会では5000mを13分46秒98で制し、続く駅伝シーズンに勢いをつないだ(出雲駅伝1区区間賞、全日本大学駅伝7区区間2位、箱根駅伝2区区間7位・日本人3位)。けがをしてから今年の目標の一つに「昨年の自分に追いつく」を掲げていたこともあり、この大会で再び勝って駅伝シーズンに入りたい、という思いが近藤にはあった。自信があったわけではない。「不安で不安でどうしようもなかった」というのが本音だ。
2000mで「今日は勝ったな」
迎えたレース当日、9時の段階で気温は32度。5000mが始まった10時39分にはさらに暑さが厳しくなった。そんなコンディションを近藤は「暑くなればなるほど自分にとっては有利」と捉えていた。
レースは留学生たちを先頭とした大きな集団で進み、近藤はその集団の中ほどにいた。最初の1000mは2分44秒。近藤は順位を上げていき、留学生たちのすぐ後ろにつく。2000m地点でのペースは2分48秒。近藤は他の選手たちの様子を見て、自分が余裕を持って走れていることを実感し、初めて「今日は勝ったな」と感じたという。
3000m地点でペースは2分53秒に下がり、東京農業大学の高槻芳照(3年、学法石川)が先頭に立ったが、すぐに山梨学院大学のジェームス・ムトゥク(1年)が再び先頭に立ち、その横に近藤が並んだ。4000mで一気に近藤がスパートをかける。2位以下との差が開き、その後は独走へ。最後の直線で近藤は2連覇の“2”を指で示し、ガッツポーズをしながらゴール。一緒に走った他の選手たちと握手を交わし、笑顔で写真撮影に応じた。
近藤は前回大会、他の選手の様子を見ながら、どのようなレースプランをすれば勝てるかを冷静に判断し、勝負どころとなったラスト200mで勝ちきった。今大会でも同じくレース中に自分が勝つためのプランを思い描き、その通りの走りをしてみせた。「去年と同じように優勝できたのでまずは一安心。ここから駅伝に向けて、去年と同じような流れでいけたらいいのかな」と笑顔で言った。
伝統を受け継ぎ、先輩たちを超えていく
青山学院大は今年の箱根駅伝で往路・復路・総合のすべてで優勝をつかみ、近藤たちは最高の形で先輩からチームの襷(たすき)を託された。主将だった飯田貴之(現・富士通)は近藤たちに「お前らに関しては心配してないから、強い時こそ油断するなよ」とエールを送ってくれたという。「青学のいいところはメリハリがあって、先輩・後輩関係なく仲がいいところ。先輩たちが見せてくれたことを僕たちも受け継いで、それをまた後輩たちにつなげていきたいです」と近藤は言う。
チームが今シーズンに掲げた目標は、昨シーズンの上をいく学生3大駅伝三冠とともに、箱根駅伝で再びの大会新記録を出すこと。近藤は言う。「出雲に向けて今日、自信がつきました。出雲も全日本も箱根も、僕は特に希望する区間はなくて、与えられた区間を走るだけです」
昨年の自分に追いついた。あとはもう、すべてを出し切るだけだ。