関西大・亀田仁一路「全員に勝ってやろう」、日本インカレ10000mで日本人トップ

• ＃第91回日本学生陸上競技対校選手権大会
• ＃関西大学

日本インカレ10000m決勝が9月9日に行われ、創価大学のフィリップ・ムルワ（4年、キテタボーイズ）が優勝し、表彰台を留学生が独占。4位には関西大学の亀田仁一路（3年、姫路商業）が入り、前回大会同様、関西勢が日本人トップとなった。

ラスト150mで勝負を決めた

この日はときおり雨が降り、レース開始前にはやんだものの、蒸し暑いコンディションとなった。スタートするとムルワを先頭にした大きな集団となり、亀田は山梨学院大学のボニフェス・ムルア（4年、キトゥムラ）、順天堂大学の伊豫田達弥（4年、舟入）に次ぐ4番手にいた。レースは2分52秒前後のペースで進んだが、4400mほどで先頭集団は7人に絞られた。5000m過ぎで伊豫田が留学生に遅れ始めると青山学院大学の中村唯翔（4年、流通経済大柏）が順位を上げ、日本人トップの4番手へ。

6000mほどでムルワが集団を抜け出すと、2位集団は中村とムルア、日本大学のチャールズ・ドゥング（4年、札幌山の手）の3人に絞られた。その3人の後ろには伊豫田と亀田。2人は併走しながら前との差をジリジリと縮める。7000m過ぎで中村がムルアとドゥングに遅れ始め、単独走へ。8000m過ぎに亀田が中村に追いつき、ラストスパートで勝負がつくと踏んだ亀田は中村の後ろにぴたりとついた。

ラスト600mから徐々にスピードが上がり、ラスト1周の鐘が鳴る。亀田は中村の後ろについたままチャンスをうかがい、ラスト150mで一気に抜き去る。その差はみるみるうちに広がり、亀田はガッツポーズをしながらゴール。応援してくれたチームメートや指導者の姿を確認すると笑顔を向け、ガッツポーズで応えた。

日本選手権で本当の日本人トップに

亀田は2年生の時に日本学連選抜で全日本大学駅伝を走り1区区間6位、5000mは13分53秒、10000mは28分39秒で記録を13分台と28分台へと伸ばした。今年5月の関西インカレは5000mで14分38秒15での4位にとどまったが、6月の全日本大学駅伝関西地区選考会では29分16秒74で全体のトップの記録をマーク。昨年の日本インカレ10000mで日本人トップ（5位）となった関西学院大学の上田颯汰（現4年、関大一）も、「戦って勝ちたい相手」として亀田の名前を挙げていた。

そんな“関西の雄”の亀田だが、大学長距離界は関東中心。それでも亀田は、「関東の選手は注目されてプレッシャーがある中、自分はあまり広く知られてなくて注目度が少なく、プレッシャーが少ない中で走れたことも勝因の一つだったと思う」と前向きに捉えていた。前述の通り、前回大会を制したのは同じ関西勢の上田で、それも3年生の時だということは意識にあった。たとえ相手が強豪校の選手であっても、留学生であっても、同じ大学生だ。「実力差はあまり気にせず、全員に勝ってやろうと思って走ってました」と言う通り、スタートから先頭をうかがい、ペースがアップして苦しくなった6000m地点でも、勇気を出して食らいついた。

3年生の亀田はコロナ禍で大学生活が始まり、過去2年は例年通りの夏合宿ができなかったが、今年は3年ぶりに夏合宿が行われた。「監督やコーチが開催してくれたので、そこは自分も頑張ろうと思って走り、100％以上の練習ができたと思います。関東の選手に比べると夏合宿の回数は1、2回少ないんですけど、その中でも1日1日を大切にして頑張ることができました」と振り返り、充実した日々を過ごした。

目標通り、日本インカレで結果を出したが「（日本人）1位をとるのは通過点だと思ってるんで」と亀田。10月10日の出雲駅伝を皮切りに駅伝でも結果を出し、大学ラストイヤーとなる来年は日本選手権で優勝を狙う。今回の結果を機に、亀田に対してさらなる注目が集まるだろう。それでも「プレッシャーがかかる場面が増えてくると思うけど、そこに負けず、関東勢よりも僕の方が上だぞ、という感じで頑張りたいです」と亀田は笑顔で言い切った。