陸上・駅伝

特集:第91回日本学生陸上競技対校選手権大会

駒澤大・佐藤圭汰「挑戦者」として臨んだ初の日本インカレは7位、この悔しさは駅伝で

夏合宿直後のレースに、佐藤は苦戦させられた(撮影・藤井みさ)

第91回日本学生陸上競技対校選手権大会 男子1500m決勝

9月9日@たけびしスタジアム京都
1位 飯澤千翔(東海大4年)      3分45秒33
2位 千守倫央(中央大4年)      3分46秒08
3位 中野倫希(中央大2年)    3分46秒23
4位 高橋佑輔(北海道大大学院1年)3分46秒50
5位 近藤亨(明治大4年)       3分47秒00
6位 山﨑優希(広島経済大4年)    3分47秒48
7位 佐藤圭汰(駒澤大1年)    3分47秒61
8位 廣澤優斗(日体大4年)    3分48秒16

駒澤大学のスーパールーキー佐藤圭汰(洛南)の日本インカレは、不安から始まった。初日9月9日の1500m予選も決勝もラスト勝負で力の差を見せつけられ、7位でゴール。「あまり納得する順位ではないので、100%満足はしてはいけない」と地元・京都でのレースを経て、再起を誓った。

駒澤大・佐藤圭汰「不甲斐ないレース」、初の日本選手権は17位 秋に躍進誓う

U20世界陸上で「すべてにおいて今のままでは駄目」

洛南高校(京都)時代に1500m、3000m、5000mの高校記録、1500mと3000mのU20日本記録を樹立した佐藤は、駒澤大に進んでからも5月のゴールデンゲームズinのべおか5000mで13分22秒91をマークし、U20日本新記録を樹立している。6月の日本選手権では5000mに出場し、世界陸上(7月、アメリカ・オレゴン)を目指していたが、結果は13分55秒08での17位と苦しいレースとなった。

8月にはU20世界陸上(コロンビア・カリ)に出場。時差や食事の違いから体調を崩すなど、競技の前段階から準備の大切さを痛感した。レースはペースの上げ下げに体力を消耗してしまい、ラストにペースを上げられず、14分26秒19での11位。「ラストで上げるにはまずスタミナ、そしてスピードが必要になると思う。ストライド、ピッチ、レース展開のうまさなど、すべてにおいて今のままでは駄目だなと思ったので、この経験を生かして、世界の舞台で戦える選手を見越してやっていきたいです」。悔しい経験を糧にして、今、明確に世界の舞台を見据えている。

U20世界陸上を経験したことで、自分がこれから取り組まなければいけないことが見えてきた(撮影・藤井みさ)

夏合宿ではチームメートとともに距離を踏み、自身初の学生3大駅伝に向けて足を作るため、自発的に30km走にも取り組もうとしていた。しかし大八木弘明監督から「無理をするな」とアドバイスをもらい、25km走に切り替えたという。「まだ30kmとかしっかりこなせたわけではないので、スタミナの面も足りないですし、スピードのキレとかもまだまだ足りない。もっと上を目指してしっかりやっていきたい」と、自らの課題を意識しながら走り込みを継続してきた。

夏合宿明け、キレのなさを実感

夏合宿の終盤にはスピード練習が加わり、9月9日、日本インカレを迎えた。1500mを走るのは7月のホクレン・ディスタンス千歳大会以来。予選ではスタートしてすぐに集団の先頭へ。大八木監督から「ラストまでためてラストに上げよう」と言われていたが、十分なスピード練習ができていなかったこともあり、佐藤はあえて初めから前に出たという。ラスト1周で後続ランナーがスパートをかける。余裕をもって走っていたはずなのに、他の選手たちのスピードについていけない。最後は苦しさに顔をゆがめながら5着でゴールした。

プラスで決勝に進めるのは全5組のうち上位5人まで。「ちょっと不安で……」と佐藤は各組の結果を目で追い、3番目に入ったと知ると安堵(あんど)の表情を浮かべた。約5時間後の決勝に向け、「挑戦者として最初から自分のスタイルを貫いていきたい」と言った。

1500m決勝、佐藤(左)は飯澤と並んでラスト1周へ(撮影・松永早弥香)

迎えた決勝、スタートから東海大学の飯澤千翔(4年、山梨学院)が先頭に立つ。佐藤は集団の後方から順位を上げていき、300mで4番手まで順位を上げた。800m過ぎからのバックストレートで飯澤に迫り、併走しながらラスト1周へ。佐藤のすぐ後ろには中央大学の千守倫央(ともひろ、4年、松山商)と中野倫希(ともき、2年、豊川)がぴったりつき、ラスト200mで千守が佐藤の前に出ると中野も続く。2人は先頭の飯澤に食らいついたが、飯澤は逃げ切り、2位に千守、3位に中野。佐藤は7位でゴールした。決勝でもスピード不足を痛感させられたが、「スピード練習ができていない中でも、ある程度はラストを上げられたと思うので、もっと上げられるよう頑張りたい」と予選よりも納得のいく走りができた。

地元・京都の人たちに駅伝でいい結果を見せたい

1500mから5000mと複数の種目に挑んでいる佐藤だが、現状はまだ、どの種目で世界を目指すかを定めていない。「5000mで狙うとしても1500mなどのスピードが必要になると世界陸上を見て分かったし、全種目でスピードが必要なので、スピードで自信をつけてからだと思っています。まだ世界と戦えるだけの実力はないんで」。身近に世界を舞台にして戦う田澤廉(4年、青森山田)がいることは、佐藤にも刺激になっている。

どの種目に絞るにしても、今はまず、スタミナとスピードをつけることを意識している(撮影・藤井みさ)

京都は佐藤の地元であり、今大会には高校時代の先生や後輩、友人が応援に来てくれていた。初めての日本インカレに緊張もあったが、「しっかり結果を残して頑張っているところを見せたい」という思いもあったという。7位という結果に対し、佐藤は「不甲斐(がい)ない結果になってしまったけど、秋以降、駅伝はテレビでも放送されるし、しっかりいい結果を見せられるようにしたい」と気持ちを引き締めた。

駅伝シーズン開幕戦である出雲駅伝が10月10日に迫っている。“スピード駅伝”とも称される駅伝で結果を出し、全日本大学駅伝でもメンバー入りを狙う。駅伝でも「挑戦者」としての積極的な走りに期待したい。

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