従来の応援スタイルに戻る東京六大学リーグ 初めて体感する新4年生たちの受け止めは
東京六大学野球リーグが4月8日に、明治神宮野球場で開幕する。それに先立ち6日は、各大学の監督や主将、注目選手が集まり、記者会見が行われた。今年度に最上級生となる4年生たちは入学早々、新型コロナウイルスの影響で緊急事態宣言が発令され、様々な制約がある中でプレーしてきた世代だ。今季はコロナ禍以降で初めて、応援団(部)と観客が一緒に応援する席が復活する。「従来のスタイルに戻る」とはいえ、彼らにとっては初めての体験。受け止めを各主将に尋ねた。
「真夏の春季リーグ」を経験した選手たちは
いまの4年生たちが入学した2020年は、春季リーグ戦が真夏の8月10日に開幕した。感染予防のためガイドラインの遵守(じゅんしゅ)を徹底し、観戦者の上限は3000人。9日間で各チーム1試合の総当たり方式で行われた。その他全国の大学野球春季リーグ戦や、全日本大学野球選手権が中止となる中、大学野球界では最初に再開された。
異例の春季リーグ戦からベンチ入りを果たしていたのが、明治大学の主将・上田希由翔(きゅうと、4年、愛産大三河)や慶應義塾大学の主将・廣瀬隆太(4年、慶應)だ。上田は「最初は違和感を持ちながら試合をしていた」と振り返る。一方で「それがこの3年間で普通になった」とも。「今年からまた歓声が戻ってくるということで、どういう風な試合展開になるのか、流れができるのか、少し楽しみにしています」
廣瀬も「小さい頃から思い描いていた六大学野球とは、入った当初は違っていた」と率直な気持ちを明かした。ただ、当時は大学に入ったばかりで「右も左も、分からないときだった。がくしゃらに白球を追っていた感じだったんですけど、今年から『自分の思い描いていた六大学野球が戻ってくる』ので、本当に楽しみですし、その場で活躍できればいいなと思っています」と誓った。
早稲田大学は森田朝陽主将(4年、高岡商業)が体調不良のために、記者会見を欠席。1年春から試合に出場経験がある熊田任洋副将(4年、東邦)が「少し寂しかったけど、今回からは声出しがあり、非常に楽しみです」と話した。
浪人中のモチベーションに
1年秋から2年秋までのシーズンは、各大学と2試合ずつを戦う「各校10試合のポイント制」で行われ、観戦者数は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの影響を受けて変化してきた。応援団(部)は一般客がいない外野席からの応援を余儀なくされ、3年春の途中に内野席へ戻ってきた。この頃から主力となってきたのが法政大学の主将・今泉颯太(4年、中京大中京)だ。「応援がなくて寂しい感じで試合をしている悔しさみたいなところも少しあった。改めて応援されている人たちの分まで頑張って、何とか優勝したいという気持ちでいます」
立教大学の主将・西川晋太郎(4年、智弁和歌山)は3年の春になって、初めてリーグ戦のメンバーに入ったという。歓声が響かない寂しさは、スタンドから感じていた。「グラウンド上で応援を感じないというのは、そんなに分からないですけど、スタンドから見ていたときは、『静かで楽しくなさそうだな』っていうのが正直な意見です。自分は応援を力にしたいタイプなので、それを力に、結果を出せればいいと思います」
東京大学の主将・梅林浩大(4年、静岡)はコロナ前の2019年、浪人生だった。高校時代の同期にあたる村松開人(前・明治大学主将、現・中日ドラゴンズ)が1年生ながらに活躍する様子を見ていたという。「僕の高校同期が、応援の中で活躍している姿を見て、すごくやる気を出していました。浪人中のモチベーションになっていた応援が戻ってくるのは、シンプルに楽しみです」
初めての環境に身を置くことで、選手同士の声かけなどに影響する場面もあるかもしれない。ただ従来の応援スタイルを感じられることは、純粋に楽しんでほしい。