青山学院大・黒田朝日が関東インカレ2部10000m日本人トップ、青学初の27分台
第103回 関東学生陸上競技対校選手権大会 男子2部10000m
5月9日@国立競技場(東京)
優勝 デイビッド・シュンゲヤネイヤイ(麗澤大3年)27分41秒11
2位 スティーブン・ムチーニ(創価大2年)27分41秒52
3位 黒田朝日(青山学院大3年)27分52秒02
4位 山中博生(帝京大4年)28分04秒54
5位 カマウ・パトリック(上武大3年)28分05秒64
6位 デニス・キプルト(日本薬科大2年)28分09秒72
7位 吉田響(創価大4年)28分12秒01
8位 青木瑠郁(國學院大3年)28分16秒32
青山学院大学の黒田朝日(3年、玉野光南)が関東インカレ初日の男子2部10000mで日本人トップの3位に入った。タイムは27分52秒02をマークし、従来の自己ベストの28分15秒82を23秒以上更新。青山学院大として初の27分台ランナーとなった。
積極的に先頭で走り、離れても粘る
2部の決勝はタイムレースの2組で行われた。黒田は持ちタイムの早い2組目にエントリー。レースがスタートすると黒田は積極的に先頭に出てレースを引っ張った。3周目からは麗澤大学のデイビット・シュンゲヤネイヤイ(3年)が前に出て、黒田はそこにつく。3000m時点ではシュンゲヤネイヤイ、上武大学のカマウ・パトリック(3年)、國學院大學の青木瑠郁(3年、健大高崎)の3人が抜け出し、黒田は第2集団に下がった。
先頭は2分45秒前後のペースでレースを進め、4000mをすぎて青木が先頭から離れると第2集団は青木を吸収して7人に。5200mほどでシュンゲヤネイヤイからパトリックが離れ、第2集団は創価大学のスティーブン・ムチーニ(2年)、パトリック、黒田、日本薬科大学のデニス・キプルト(2年)、帝京大学の山中博生(4年、草津東)、亜細亜大学の片川祐大(4年、報徳学園)、拓殖大学のラファエル・ロンギサ(2年)の7人に。
6000mを過ぎると第2集団はムチーニ、パトリック、黒田、山中の4人となり、残り6周でムチーニと黒田の2位争いに絞られた。8000mをすぎてムチーニがシュンゲヤネイヤイに追いつくと、黒田は一人旅に。最後までペースを落とすことなく、最後は大きなガッツポーズをかかげてゴールした。
得意の3000m障害「ここで区切りに」
黒田は優勝を狙うつもりでこのレースに臨んだ。「順位を狙っていくというレースで、途中離されてもしっかり耐えるところを耐えて、日本人トップの3位でゴールできたのはすごく良かったです」と順位に対しての感想を口にした。タイムについては意識していなかったものの、27分台は今シーズン目標にしていたところでもあったという。青学初の27分台ですね、と取材陣から声をかけられると「歴史を塗り替えられたのは、自分の中でも大きな自信につながると思います」と充実感をにじませた。
4月29日に織田記念陸上で3000m障害(SC)のレースに出場したが、この時は調子を合わせることができなかったといい、出場15人のうち10位だった。だがその時に「1週間半ぐらいあればしっかりこのレースに合わせられるかな」と思っていたといい、その通りになった。昨年1年間で10000mをしっかり走れるだけのスタミナ、体力がついたのを実感しており、「あとは体調を合わせるだけでした」。
黒田はこれまで、トラックシーズンでは3000mSCをメインに走ってきた。1年時には関東インカレ3位、日本インカレでは2位。2年時は関東インカレで2位になり、U20アジア選手権では優勝を飾っている。
今回、3000mSCではなく10000mに出場した意図をたずねてみると「サンショーはいったん一区切りかなと思っているので、移行段階としてチャレンジしていくというつもりで10000mにエントリーしました」と返ってきて、驚いた。3000mSCで6月の日本選手権の出場資格を持っているため、そこには出る予定ではあるが、そこを最後にしようと思っているという。
その理由を聞かれると「自分の中で、もういいかなと思いました。サンショーよりも5000mや10000mなど、学生としてメインで戦っていく方でしっかりチャレンジをしていこうかなと思っています」と率直な気持ちを明かした。区切りとなる日本選手権ではタイムや順位も狙っていきたいという思いもあるが、「自分の中で一区切りつけられる、納得いくレース」ができればそれでいいのかなとも口にする。
例えば社会人になったときにトラック種目として取り組んだりは? と聞かれると「本当にやりたくなったら戻ると思いますし、そのあたりはその時の自分の気分かなと思います」とも話した。
学生として、駅伝で勝負していきたい
思わず「三浦龍司選手のように(サンショーで)世界を目指すという気持ちはないですか?」と重ねて聞いたが、「世界を狙うという気持ちは、全然自分の中ではないです。学生として勝負していきたいです」という。「やっぱり青学は駅伝で勝っていくチームなので、自分もそういう『青学の流れ』に乗って学生のうちはやっていきたいと思っています」と改めて決断についての思いを語った。
今年から弟の黒田然(1年、玉野光南)も青学に入学し、後輩になった。織田記念も兄弟2人での遠征となったといい「兄弟2人で行けるのはうれしいですし、2人で駅伝でもたすきをつなげるように頑張っていきたいと思ってます」。チーム全体を見ても強い1年生が複数人入学し、黒田も下からの突き上げを感じている。「今回のレースに臨む上でも、1年生に負けないように、いいところ見せたいなという思いはあったりするので、(強い後輩の存在が)すごくいい刺激になっていると思います」
1年生のときは駅伝出場はなかったが、昨年度は出雲駅伝2区区間賞、全日本大学駅伝2区区間2位、そして特にハイレベルだった箱根駅伝2区で区間賞を獲得した黒田。まだまだポテンシャルを秘めていると感じさせる彼が、大きな決断を経てどう成長していくのか楽しみだ。