陸上・駅伝

特集:第103回関東学生陸上競技対校選手権

青山学院大・太田蒼生が2部ハーフマラソン日本人トップの2位 箱根駅伝から8割復調

男子2部ハーフマラソンで日本人トップとなった青山学院大の太田(撮影・井上翔太)

第103回 関東学生陸上競技対校選手権大会 男子2部ハーフマラソン決勝

5月12日@国立競技場(東京)発着

優勝 カマウ・パトリック(上武大3年)1時間02分58秒
2位 太田蒼生(青山学院大4年)1時間03分04秒
3位 高山豪起(國學院大3年)1時間03分14秒
4位 ジョンソン・モゲニ(亜細亜大2年)1時間03分42秒
5位 稲塚大祐(立教大4年)1時間03分48秒
6位 塩出翔太(青山学院大3年)1時間03分56秒
7位 辻原輝(國學院大2年)1時間04分17秒
8位 ジョセフ・ムイガイ(平成国際大2年)1時間04分24秒

関東インカレ最終日の5月12日、男子2部ハーフマラソンに青山学院大学の太田蒼生(4年、大牟田)が出場し、1時間03分04秒で日本人トップの2位に入った。故障明けながらも、終始、先頭集団でレースを展開して存在感を示した。ラストイヤーに見据えるのは、学生3大駅伝すべてへの出場だ。

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日本人トップでも悔しさが残った

駒澤大学や國學院大學、創価大学など、駅伝の強豪校から多くの選手が出場した男子2部ハーフマラソン。序盤は、亜細亜大学のジョンソン・モゲニ(2年)と上武大学のカマウ・パトリック(3年)が先行した。太田のほか、駒澤大の吉本真啓(4年、世羅)、國學院大の高山豪起(3年、高川学園)らが追走し、中盤では留学生を吸収して10人ほどの集団を形成。10kmを29分39秒で通過した。

留学生の前に出てトップ集団を引っ張る積極性も見せた(撮影・松崎敏朗)

太田は「10kmぐらいまでは、集団で落ち着いて走り、13、14kmで仕掛けよう」と想定していたが、「留学生が、5km、7km、10kmと揺さぶりをかけてきた」ことでレースプランを修正。残り約5kmでサングラスを額に上げてペースを上げた。これに、カマウと高山が反応し、トップ争いは3人に。最終盤では、カマウのスパートについていけなかったものの、太田は6秒差の2位に入った。

ゴール後、太田は、しばらくしゃがみこんで悔しさをにじませた。日本人最高順位ではあったが、狙っていたのは優勝だった。敗因については、トラック勝負を想定していたことに加え、カマウのスパートに対応する体力がなかったと分析。「(相手に)余裕を持たせたスパートしかかけられなかったのが課題」と振り返った。

ゴール後、悔しそうな表情でしゃがみこんだ(撮影・松崎敏朗)

故障からの回復は順調

今年の箱根駅伝では、3区で日本人として初めて1時間を切り、区間賞の走りでチームの総合優勝に大きく貢献した。しかし、その後は右腰の故障で別府大分毎日マラソンを欠場。4月に中国で出場した上海ハーフマラソンも、本調子の走りではなかったという。本格的に復帰したのは、関東インカレの1カ月半前だったが、積極的なレースを繰り広げたことに「箱根が終わってすぐに故障したのはマイナスが大きかったが、復帰してからは順調」と話す。

太田は、全国でも駅伝の名門と知られる大牟田高校を卒業後、青山学院大に入学。2022年の箱根駅伝では、1年生ながら3区(21.4km)を走り、区間2位(1時間1分0秒)の好記録でチームの優勝に貢献した。翌年の4区(20.9km)も区間2位(1時間0分35秒)で走ったが、その後、チームは失速して連覇を逃した。今年1月の箱根駅伝3区では、優勝候補筆頭だった駒澤大の佐藤圭汰(3年、洛南)とデッドヒート。区間歴代2位(59分47秒)でトップで襷(たすき)をつなぎ、2年ぶりの優勝に向けた流れを作った。

箱根で華々しい活躍を見せてきた一方、これまで3大駅伝すべてに出場した経験はない。全日本大学駅伝は3年次に7区(17.6km)を走って区間5位にとどまったのみで、出雲駅伝には出場していない。

昨年の全日本ではアンカーの田中悠登(左)へ襷をつないだ(撮影・佐伯航平)

3大駅伝すべてへの出場を目指す

今年の目標として、太田は「3大駅伝すべてへの出場」を挙げる。レースに出ることがあれば記録を狙っていくが、重視するのは故障しないこと。そのためにも、「じっくりと足を作っていく」つもりだという。今回の収穫として、スパートに課題を見つけられたことを挙げて「箱根の状態まで戻し、自分が最高のパフォーマンスをできる状態で、しっかり練習を積めば、ラストのレベルも上げられる」と話す。

箱根駅伝での快走と比べると、現在は8割まで復調した。「先は長いので、ぜんぜん焦ってない」。冷静な笑みを浮かべつつ、ラストイヤーに向けて意欲を燃やしている。

ラストイヤーは3大駅伝すべてでの出走を狙う(撮影・井上翔太)

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