陸上・駅伝

特集:第103回関東学生陸上競技対校選手権

西村菜那子が振り返る関東インカレ 今年度の駅伝シーズンが楽しみになるシーン満載!

関東インカレには駅伝シーズンが楽しみになるシーンが多く詰まっていました(最後を除きすべて撮影・藤井みさ)

みなさんこんにちは!

5月9日~12日、第103回関東学生陸上競技対校選手権(関東インカレ)が国立競技場で開催されました。男子1部10000m決勝では、山梨学院大学のジェームス・ムトゥク選手(3年)が優勝。2位には城西大学の平林樹選手(4年、拓大一)が入り、日本人トップを獲得しました。

ラスト200mでチームメートのヴィクター・キムタイ選手(3年)を抜き去る力強い走りに、今年の城西大の強さが証明されていました。國學院大學の平林清澄選手(4年、美方)との〝W平林〟が、今年は陸上界を盛り上げていく予感がします!

【写真特集】第103回関東インカレフォトギャラリー 国立競技場で輝いた主役たち
城西大学の平林樹選手が男子1部10000mで日本人トップを獲得!

中でも目を引いた石田洸介選手の復活

また8位には順天堂大学の玉目陸選手(1年、出水中央)がルーキーながら28分13秒67で走り、入賞を果たしました。様々な注目ポイントがあったレースでしたが、中でも目を引いたのは、6位でゴールした東洋大学・石田洸介選手(4年、東農大二)の復活でした!

今回の関東インカレで、最も注目された瞬間だったのではないでしょうか。

中学時代は1500m、3000m、5000mの3種目で中学新記録をたたき出し、〝スーパー中学生〟と呼ばれた石田選手。東洋大に進んでからも、その勢いは変わらず、3大駅伝デビュー戦として出場した1年時の出雲駅伝は5区で堂々の区間賞を獲得。続く全日本大学駅伝でも4区区間賞と輝かしい結果を残しました。

しかし、その後はケガなどの影響で思うような成績は出ず、大会にも姿を現さない日々が続いていました。天才ランナーの復活を心待ちしていたファンの方もすごく多かったことでしょう。

多くのファンの方が石田洸介選手(29番)の復活を待っていたのではないでしょうか

そんな石田選手も4年生となりました。今回の関東インカレで、多くの有力ランナーが集まった中、集団を引っ張る積極的な姿勢で、見事に自己ベストの28分08秒29をマーク! 完全復活を印象づける走りを見せてくれました。

X(旧・Twitter)では「石田洸介」「石田くん」がトレンド入りしていたほどです。今回はチームメートの小林亮太選手(4年、豊川)も7位に入り、石田選手とそろって入賞。今年の駅伝シーズンは「鉄紺の逆襲」が見られるのではないでしょうか!

東洋大学は石田選手(右)と小林亮太選手がW入賞!

黒田朝日選手は青学初の27分台ランナーに

男子2部10000mでは麗澤大学のデイビッド・シュンゲヤネイヤイ選手(3年)が優勝しました。麗澤大は、まだ一度も箱根駅伝に出場したことがない大学で、2018年、19年は予選会で2年連続次点。記念大会で13位までが突破となった昨年は15位。箱根駅伝本戦まで、あと一歩のところまで迫っているチームです。

そのため今回のネイヤイ選手の2部10000m優勝は、秋に予定されている箱根駅伝予選会に向けて弾みがつく結果となりました。

麗澤大学初の箱根駅伝に向けて大きな弾みがつく、ネイヤイ選手の好走でした

2位には創価大学のスティーブン・ムチーニ選手(2年)と留学生が続き、3位に入ったのが青山学院大学の黒田朝日選手(3年、玉野光南)でした。

個人的に黒田選手は、3000m障害に出場することを予想していたため、10000mのエントリーで名前を見つけた時には衝撃を受けたのですが、箱根駅伝2区区間賞の強さは健在でした。

前半から先頭集団に入り、積極的にレースを動かし、後半はほぼ単独走状態。これで27分台を出す強さは本物です。近藤幸太郎選手(現・SGホールディングス)が持っていた28分10秒50の青学記録を大幅に更新し、青学史上初の27分台ランナーとなりました。

青山学院大・黒田朝日が関東インカレ2部10000m日本人トップ、青学初の27分台
前半から積極的にレースを動かした黒田朝日選手(13番)

黒田選手の結果に多くの注目が集まりましたが、4位の帝京大学・山中博生選手(4年、草津東)も大健闘! 28分04秒54と27分台目前の好タイムで、こちらも帝京大学記録を更新しました。

山中選手は今年の箱根駅伝で花の2区を任されたものの、後半の失速があり、7位で受けた襷(たすき)を14位に落としてしまうという悔しい経験をしました。しかし、その悔しさをバネに、今年度はキャプテンとして、そしてチームのエースとして奮闘している姿が見受けられました。

帝京大学記録を更新した山中博生選手

例年より際立っていた4年生の活躍

男子5000mの結果も含めて感じたことですが、今回の関東インカレは、例年より4年生の活躍が際立っていたように感じました。学生スポーツのラストイヤーとなる4年生が活躍することは、非常にうれしいです。

これからのトラックシーズンをはじめ、駅伝シーズンもより楽しみになりました!

そして、ものすごく個人的な話となりますが、私自身、今年も関東インカレは現地へ行こうとチケットを購入していたのですが、直前に体調不良になってしまい、チケットを両親に譲りました……。

両親は「いやー楽しかった! あの選手の走りが良かった、この選手見つけた!」などとうれしそうに帰宅してきました。私も、来年こそは絶対に現地へ行きたいと思います!

来年こそは絶対に現地へ行きます!(撮影・齋藤大輔)

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