箱根シード勢が4校出場、立教大学は初の本戦なるか 全日本大学駅伝関東地区選考会
第56回全日本大学駅伝の関東地区選考会が6月23日、相模原ギオンスタジアム(神奈川)で行われる。5月の関東インカレで好成績を残した選手たちが多く出場し、上位7校に与えられる伊勢路本戦への切符は熾烈(しれつ)を極めそうだ。
持ちタイムトップの東海大学は10000m28分台が6人
前回大会でシード権を獲得したのは、駒澤大学、青山学院大学、國學院大學、中央大学、城西大学、創価大学、大東文化大学、東京国際大学の8チーム。年始の第100回箱根駅伝ではシード権を獲得した東洋大学、法政大学、早稲田大学、帝京大学が、今回の全日本大学駅伝は地区選考会からの参加となり、激戦が予想される。
関東地区選考会に出場する20校のうち、10000mの持ちタイム上位8人の合計が最も早かったのは東海大学で、3時間48分37秒21。チームは前回の全日本では9位、今年の箱根では11位と、いずれもシード権獲得に、あと一歩及ばなかった。
エントリーされた13人を見ると、5月の関東インカレ男子1部10000mで28分08秒26をマークして5位入賞を果たした花岡寿哉(3年、上田西)や男子1部5000mで日本選手トップの3位となった兵藤ジュダ(3年、東海大静岡翔洋)の2人を筆頭に、10000mで28分台の自己ベストを持つ選手が6人いる。ただ、兵藤は関東インカレ後の取材で左の股関節に不安があることを明らかにした。「自分としては出たいですけど、足の状態次第です」と話しており、出場するかどうかも注目される。
選手層が厚い東洋大学・ルーキーに注目の順天堂大学
東海大に次いで持ちタイムが良かったのは、東洋大学だ。28分台のランナーは5人。関東インカレ男子1部10000mで28分08秒29を出し、競技を休んでいた時期からの復活を印象づけた石田洸介(4年、東農大二)や同7位の小林亮太(4年、豊川)、関東インカレ男子1部ハーフマラソンで日本人トップの2位に入った主将の梅崎蓮(4年、宇和島東)、同4位の薄根大河(2年、学法石川)ら春から実績を残してきた選手たちが順当にエントリーされた。
薄根が「先輩方や1年生には負けていられない」というほどチーム内争いは激しく、今年の箱根駅伝で10区区間賞の岸本遼太郎(3年、高知農業)や昨年の全国高校駅伝で1区区間2位になったルーキーの松井海斗(1年、埼玉栄)もエントリーメンバー入り。選手層の厚さが目立つ。
ルーキーという視点では、持ちタイム3番目の順天堂大学が注目される。13人のうち1年生が4人エントリーされ、関東インカレ男子1部10000m8位入賞の玉目陸(1年、出水中央)と今年の全国都道府県対抗男子駅伝1区で区間新の走りを披露した川原琉人(1年、五島南)も入った。今年の箱根駅伝で各校のエースが集う2区を走った浅井皓貴(4年、豊川)や主将の服部壮馬(4年、洛南)がエントリーされていないだけに、ルーキーの走りが選考会突破へのカギになるかもしれない。
28分台ランナーが最も多いのは法政大学
出場20校のうち、28分台のランナーが最も多いのは法政大学で、7人をそろえる。箱根駅伝6区区間賞の武田和馬(4年、一関学院)をはじめ、主力の宮岡幸大(4年、宇和島東)、小泉樹(4年、國學院久我山)ら、総合6位だった今年の箱根路を経験したメンバーが6人残り、エントリーされている。
早稲田大学の伊福陽太(4年、洛南)は、今回の関東地区選考会にかける思いがひときわ強い選手の一人だろう。前回の全日本では最終8区を任され、東京国際大学とほぼ同時の8位で襷(たすき)を受けた。9位の創価大学とは4秒差。激しいシード争いの中で苦しい走りとなり、順位を落としてシードを失ってしまった。関東インカレでは男子1部ハーフマラソンで5位と好走。昨年の伊勢路で味わった悔しさを一つ晴らしたい。
初出場を狙うチームの中では、立教大学に注目だ。昨年の関東地区選考会では8位。本戦出場をつかんだ7位の国士舘大学とは、わずか14秒30差だった。年始の箱根駅伝10区区間3位の関口絢太(現・SGホールディングス)が卒業したとはいえ、関東インカレ男子2部ハーフマラソンで5位入賞の稲塚大祐(4年、高岡向陵)らを擁する。4月からチームを率いる髙林祐介監督は、最初の挑戦で伊勢路本戦をつかめるか。
誰ひとりアクシデントが許されないタフなレースに
関東地区選考会は10000mのタイムレースを4組行い、各組に各校2人ずつが出場。計8人の合計タイムで争われ、上位7校が11月3日に開催される本戦に進む。各校はレース前日の6月22日までに、8人の出場選手を決める。ピーキングが重要なだけではなく、誰ひとりとしてアクシデントも許されない。タフな大会を勝ち抜いた先に、伊勢路本戦がある。