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特集:2024年 大学球界のドラフト候補たち

大経大・柴崎聖人 通算100安打に到達、プロへの思いを固くした高代延博監督の教え

関西六大学リーグ通算100安打に到達した大経大の柴崎(高校時代を除きすべて撮影・沢井史)

1年春から外野手のレギュラーに定着し、関西六大学リーグでベストナインを2度獲得したことがある大阪経済大学の柴崎聖人(4年、岐阜第一)は、今秋のドラフト候補に名前が挙がっている。魅力の一つがスピードで、50mのタイムは5秒9。そこへ長打力も加わり、この秋すでに2本塁打。俊足巧打の外野手として注目を集めている。

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ノーステップ打法にしたことによる効果

10月1日にあった大阪学院大学との3回戦。柴崎は5打数3安打3打点の活躍で安打数を101に伸ばし、リーグ史上15人目となる通算100安打に到達した。連盟を通じて「入学当初から100安打を一つの目標としていたので達成できて良かったです。これからもチームの勝利に貢献できるよう頑張りたいと思います」とコメントした。

ただ、大台が見えてきた大院大との1、2回戦では、力みがちなスイングが散見された。2回戦を終えた後、柴崎は自身の状態についてこう述べていた。

「打ちたい、打ちたいと思うと、どうしても力んでしまって、スイングに影響するんです。試合中は100安打のことをあまり考えていないんですけれど……。結果として100安打に届いていればいいなと思っています」

入学当初から「100安打」を一つの目標にしてきた

最後のシーズンを前に「いつも通りのことをしっかりやってきました」と入念な準備をしてきた。春のリーグ戦では全12試合に出場し、3割3分3厘の打率を残したものの「正直なところ、納得のいく内容ではなかったです」と無念そうな表情を浮かべた。秋は「春の自分から何かを変えたい」と2ストライクに追い込まれると、ノーステップ打法を取り入れるようになった。

「この秋のリーグ戦が始まる前ぐらいからです。コンタクト率を上げたいと思っていて。ノーステップにすることで目線が安定して、ファウルの数が減ったんです。1球で仕留められる確率が高くなりました」

3年春に結果を残し、プロの世界を意識するように

プロの世界を本気で意識するようになったのは昨年の春。リーグ戦で2本塁打を放ったほか、打率も3割を超え、自身の打撃に少しずつ手応えを感じるようになった。6月に行われた「関西オールスター5リーグ対抗戦」の京滋大学選抜戦では「6番・右翼」でスタメン出場し、1打席目の中越え本塁打を含む4打数3安打2打点と大暴れしたことで、自信を深めた。

今年の関西オールスター5リーグ対抗戦の初戦、阪神大学選抜戦も「4番・右翼」で出場し、追い込まれてからノーステップ打法に切り替えて、痛烈な右中間への適時二塁打を放った。次戦の京滋大学選抜戦でも2打数2安打の好結果を残した。「オールスターは色んな大学の良い選手が集まって、チームとなって戦うので、何かモチベーションが上がるというか……。最強チームで戦えるのがすごく楽しかったです。その中で結果を残せたことは、一つの自信になりました」

オールスターなどの大舞台に強く「一つの自信になりました」

プロへの思いを固くした理由は、もう一つある。数多くのNPB球団でコーチを務め、代表でも三塁コーチとして2009年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)連覇に貢献した高代延博氏が2023年1月、大経大の監督に就任。経験豊富な高代監督のもとで学び、成長できたことも柴崎の考え方に大きな影響を及ぼした。

「高代さんは僕が入学した年から臨時コーチとして指導に来られていて、その時からバッティングもそうですが、色々なことを教えていただきました。人として大事なことも話してくださいました。ただ、何が一番だったかと言われても、たくさんありすぎてどれが一番と決められない。何もかもが大切なことばかりです」

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高校時代は「今ほど飛ばせる力はなかった」

大学で打撃が大きく成長したのも「高代さんのおかげです」と口にする。岐阜第一高校時代も中軸を担い、ホームランを放ったこともあるが「今ほど飛ばせる力はなかった」と振り返る。「自分はもともと、いざという時にアプローチができなかったんです。でも、しっかりとボールを見て、バットを出せるようになってからは打率も残せるようになりました」

身長173cmと決して大きい方ではない。大学入学当初は、それが自分の中で短所になっているのではないかと思い悩むこともあった。「下級生の頃はリーグ戦で打率が1割台の時もあって、長打率も決して高くもなかったので悔しい思いをしました。2年秋のシーズンが終わった頃からウェートトレーニングに本格的に取り組みました。それから打球の速度が変わってきて、飛距離も出るようになったんです」

岐阜第一高校時代は、投手も兼任していた(撮影・朝日新聞社)

段階を踏むように自信をつけてきた柴崎だが、もちろん現状には満足せず、さらに上を見据える。大学野球ラストシーズンも佳境に入り、残すは最終節の大阪商業大学戦のみとなった。分厚い壁となって立ちはだかる大商大を前に、どんな打撃でチームを勢いづけられるか。最終節となる次戦はチームとしても、柴崎個人としても今後を左右する重要な一戦となりそうだ。

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