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関学―慶應、早稲田―関大 全日本大学選手権準々決勝で、待望の東西対決が実現

4大学のキャプテン。左から関学・永井励、慶應・石塚大揮、早稲田・小林亮生、関大・須田啓太(合成、小林は撮影・篠原大輔、ほか3枚は撮影・北川直樹)

アメリカンフットボールの全日本大学選手権(決勝=甲子園ボウル)は11月23、24日に準々決勝の4試合がある。23日に神戸・ユニバー記念競技場で関西学院大学(関西2位)と慶應義塾大学(関東3位)が対戦し、東京・味の素スタジアムで早稲田大学(関東2位)と関西大学(関西3位)が相まみえる。24日にはユアテックスタジアム仙台で東北大学(東北)と立命館大学(関西1位)がぶつかり、福岡・久留米陸上競技場で中京大学(東海)が法政大学(関東1位)と戦う。

日本のフットボールファンが待ち望んだ対戦

今年から関東と関西から3チームずつが選手権へ進む方式に変わった。画期的だったのは関東勢と関西勢がトーナメント表の同じ山に入ったことで、甲子園ボウル以外で初めて、秋シーズンに本気の東西対決が実現することになった。

2009年に選手権が始まる前、甲子園ボウルは「東西大学王座決定戦」の位置づけで、関東勢と関西勢の対戦と決まっていた。1990年代中盤からそれぞれのリーグ戦で上位チームの実力が伯仲してくると、ファンの間から「甲子園ボウル出場をかけて関東と関西の上位チームでトーナメントをやれば盛り上がるんじゃないか。その結果、甲子園が関東対決や関西対決になっても、それはそれで面白い」との声が上がり始めた。

そこからが長かった。ラグビーの大学選手権という格好のお手本が隣にあるのに、日本のアメフト界はなかなか舵(かじ)を切れなかった。約30年の時を経て、ようやく今回のトーナメントが実現した。だから23日の準々決勝2試合は、日本のフットボールファンが待ち望んだ対戦となる。準々決勝4試合の見どころに触れておきたい。

関西勢、関東勢同士による甲子園ボウルも 2024年から全日本大学選手権の方式変更

1950年以来となる秋シーズン対戦

【関西学院大―慶應義塾大】
両校が秋シーズンに対戦するのは1950年の第5回甲子園ボウル(20-6で関学の勝ち)以来となる。今年4月20日の交流戦では30-7で関学が勝った。慶應はこの秋の戦いを通じてたくましいチームに生まれ変わり、4勝3敗(3位タイ、順列3位)で選手権に進んだ。ただ総合力では関西学生リーグ1部で立命館大と同率優勝した関学の優位は動かない。

慶應は松本和樹(4年、慶應義塾)、水嶋魁(4年、海陽学園)、山岡葵竜(3年、佼成学園)の3人のQB(クオーターバック)を併用し、パスで状況を打開してきた。関学の裏をかくQB起用も交え、ビッグプレーメーカーのWR(ワイドレシーバー)黒澤世吾(4年、慶應義塾志木)を生かしたい。パスだけで関学ディフェンスは崩せないので、キャプテンの石塚大揮(4年、慶應義塾)らOL(オフェンスライン)陣が踏ん張ってランを進めたい。

慶應のWR黒澤はリーグ3位となる30回のキャッチで472ydを進み、7TDを決めてきた(ここからすべて撮影・北川直樹)

関学は7日後の準決勝も見すえ、QBは1年生の星野太吾(足立学園)を温存し、4年生の林孝亮(関西学院)と柴原颯斗(啓明学院)の併用で臨む可能性もある。その場合、リーグ戦7試合で16回のターンオーバーを起こしてきた慶應ディフェンスは、実戦経験の少ないQBにプレッシャーをかけ続けたい。

リーグ最終の立命館戦で負傷退場した関学QB星野太吾のスターター起用はあるか

5月の定期戦では13-13の引き分け

【早稲田大―関西大】
準々決勝最大の注目カードだろう。今年5月11日の定期戦では13-13の引き分け。早稲田ディフェンスが積極的に仕掛けて、関大の若いOL陣を混乱させた試合だった。とくにLB(ラインバッカー)原康介(3年、早大学院)の暴れっぷりが光った。早稲田は秋のリーグ戦でも1試合平均10失点と堅い。春から成長した関大OL陣が早稲田ディフェンスのブリッツ、スタンツに対応し、はね返せるか。関大はQB須田啓太(4年、関大一)からWR溝口駿斗(4年、滝川)、岡本圭介(4年、関大一)へのパスでリズムを作りたい。エースRB(ランニングバック)の阪下航哉(4年、関大一)がここへ来て調子を上げているのが頼もしい。

キレのある走りが戻ってきた関大RB阪下はここからの爆発を誓う

早稲田オフェンスは得意のランプレー「インサイドゾーン」でエースRB安藤慶太郎(3年、早大学院)を走らせたい。熱血タイプのキャプテン小林亮生(4年、早大本庄)らOL陣が、関大ディフェンス最前線の中央に位置するDL(ディフェンスライン)芦川真央(4年、大阪桐蔭)と稲田一聖(3年、報徳学園)を押しのけられるか。早稲田のQB八木義仁(4年、早大学院)は試合ごとの調子の波が見られてきたが、関大戦にバッチリ合わせてきたことだろう。エースWRの入江優佑(4年、関西大倉)にパスを投げ込み、ノッていきたい。フットボールセンス抜群の1年生WR安東純心(首里)が、この大舞台でも暴れると面白い。

早稲田の小林キャプテン(中央の73番)らOL陣が関大ディフェンス相手に走路を切り開けるか

関西、関東1位に挑戦

【東北大―立命館大、中京大―法政大】
立命館に挑む東北大、法政にチャレンジする中京大にとって何より大事なのは、一発タッチダウンを許さないことだろう。ディフェンスが粘り、7失点のところを3失点でとどめる戦いを続ける中で、オフェンスの切り札たちがビッグプレーを起こしたい。東北大なら副キャプテンのWR尾崎鉄平(4年、県立浦和)だし、中京大ならキャプテンのRB松元奏(4年、愛工大名電)だ。両チームともに、この一戦を見すえて1年やってきた。その準備と覚悟を晴れ舞台で形にしたいところだ。

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