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特集:第76回全日本大学バスケ選手権

名古屋学院大が初の〝ファイナル4〟へ 番狂わせの立役者となった永野威旺・中山玄己

創部初のインカレベスト4に入った名古屋学院大の選手たち(すべて撮影・井上翔太)

第76回全日本大学バスケットボール選手権大会 男子準々決勝

12月7日@国立代々木競技場第二体育館(東京)
名古屋学院大学 105-87 日本体育大学

※名古屋学院大は初のベスト4進出

【写真】女子は4度のオーバータイムの末、白鷗大学がインカレ連覇!男子は15日決勝

第76回全日本大学バスケットボール選手権(インカレ)は12月14日、群馬県太田市のオープンハウスアリーナ太田で男子の準決勝を迎える。初のベスト4進出を果たした東海地区王者の名古屋学院大学は、関東地区4位の日本大学と対戦する。部の寮はなく、リクルートも充実しているとは言えないチームを引っ張るのは2人の4年生ガードだ。永野威旺(長崎東)と中山玄己(能代工業)。第1シードで関東王者の日本体育大学を105-87で破った準々決勝では、合わせて49点をたたき出し、番狂わせの立役者となった。

日体大戦ではチームとして32本中、17本もの3ポイントを成功させた

Bリーグ特別指定での経験を大学に還元

準々決勝で13本中7本と高確率で3ポイントシュートを決めた司令塔の永野は試合後、「ここまで入った試合はあまりない」と笑顔を見せた。チームの強みであるアップテンポのスタイルを貫き、「相手は王者。最後まで集中力を崩さないように意識した」。両チーム最多の31得点を挙げる圧巻のパフォーマンスで、主将の重責を果たした。

永野は大学3年の冬、特別指定選手として当時B2だった新潟アルビレックスBBに加入。16試合に出場し、平均9.1得点、3アシストの活躍を見せた。プロの舞台で自信を深め、大学にその経験を還元していた。

竹之下秀樹監督は、永野の意識の変化がチームに好影響をもたらしたと見ている。Bリーグでのプレーを経て、コート上での取り組みはもちろん、普段の生活をどう過ごせば良いパフォーマンスにつながるかを仲間たちに言動で示すようになったという。寮がなく、食事や休息などのケアを自分たちで管理しなければいけない環境にいる名古屋学院大の学生たちにとって、プロのシビアな感覚を伝えられる身近なリーダーの存在は大きかっただろう。

両チーム最多の31得点を稼いだ主将の永野

能代工業「最後の主将」として

シューターの中山も日体大撃破になくてはならない存在だった。前半はタッチが合わなかったものの、「打ち続けるのが僕の役割」と気持ちを切らさない。8本中4本と要所で3ポイントシュートを沈めて、粘る日体大を突き放した。キャッチアンドシュートが得意な中山と、ピック&ロールを使ったアタックが持ち味の永野。異なる武器を持つ2人のシューターがいることで、「(相手は)的を絞るのが難しいのでは」と竹之下監督は誇る。

中山は、能代工業が現在の能代科学技術高校になる前のバスケットボール部最後の主将だ。3年間指導を受けた小野秀二さん(現・バンビシャス奈良ヘッドコーチ)に言われた「参加者ではなく、競技者であれ」という言葉を胸に刻んでいる。練習でも試合でも、ただボーッとその場にいるのではなく、「競い合うこと」を意識しなさいという教えだ。今大会で中央大学、日体大と関東勢を立て続けに破る好パフォーマンスを発揮できたのも、中山が強豪校に臆することなく、「競技者」であろうとしている姿勢と無縁ではないはずだ。

「関東のチームに勝つのは並大抵ではない。約40年コーチをしてきたが、この結果は周りの皆さんに夢を与えられるのではないか」と竹之下監督。地方の大学の存在意義を高める名古屋学院大の旋風は、「ファイナル4」の舞台でも吹き荒れるか。

中山(21番)は「参加者ではなく、競技者であれ」という教えを今も胸に刻む

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