陸上・駅伝

特集:第101回箱根駅伝

立教大は箱根駅伝63年ぶり10位以内が目標 髙林祐介監督「私たちに失うものない」

箱根予選会から約2週間後の全日本でシード権を獲得した立教大、その原動力となった7区馬場賢人(左)と主将でアンカーの安藤圭佑(撮影・佐伯航平)

第101回箱根駅伝に3年連続で出場する立教大学が12月15日、埼玉県の新座キャンパス内で記者会見を開いた。就任1年目の髙林祐介監督をはじめ、主将の安藤圭佑(4年、豊川)、エースの馬場賢人(3年、大牟田)らが目標達成に向けた意欲を語った。

【第101回箱根駅伝チームエントリー】シード10校編「3強」に割って入るチームは
【第101回箱根駅伝チームエントリー】予選会突破の10校編 シード権を獲得するのは

安藤圭佑主将「全体的に走力がついてきた」

学内の会見場には、多くの報道陣が集まった。10月の箱根駅伝予選会を首位で通過し、その約2週間後に初出場を果たした全日本大学駅伝で7位に入ってシード権を獲得。勢いに乗る立教大の注目度は、例年以上に高い。前回の箱根後は監督不在の状態でスタートしたものの、4月に駒澤大学出身の髙林監督が就任。そこが大きな転機になったという。壇上でマイクを握ったキャプテンの安藤は、しみじみと話した。

「当初は選手たちだけで苦労することも多かったのですが、髙林監督に来ていただいてから変わりました。新しい練習メソッドを採り入れ、全体的に走力がついてきたと思います。そして、何よりチームとしてまとまりが出てきました。自信を持って大会に臨みたいです」

髙林監督が就任し「チームとしてまとまりが出てきた」と語った安藤(撮影・杉園昌之)

選手たちが掲げた目標は、1962年の第38回大会以来、63年ぶりとなるシード権の獲得。髙林監督は着任当初、少し背伸びしたターゲットに戸惑いを覚えつつも、地道に強化を進めてきた。学生たちの声に耳を傾け、まず物足りなさを感じた練習メニューのつくり直しから着手。箱根駅伝の長い区間距離を見据えて、いままで以上に走る距離を増やし、スタミナの向上に力を注いだ。練習はウソをつかなかった。

「積み重ねの成果がレースで出るようになり、少しずつ結果につながってきました。いまはシード権の獲得も現実的な目標として捉えています。本戦はそこを目指して戦っていきたいと思っています」

高林監督は箱根の長い距離を見据えて、強化を図ってきた(撮影・杉園昌之)

馬場賢人「太田蒼生さんのように120%の力を」

伊勢路から戻った後も、正月の大舞台に向けて、入念に準備している。髙林監督自身、駒澤大学時代に選手、コーチとして、箱根路で上位争いを経験。シード圏内に絡んでいく難しさは、誰よりもよく知っている。

「箱根の本戦になってくると、持っている力の80%を出すだけでは厳しいです。他大学は90%、100%、さらに120%の実力を出してくるところもありますから。いままで以上に持っている力をレース当日に出すことが大事になってきます」

往路候補の主力たちは気合が入っている。予選会で日本人3番手となるチームトップのタイムをマークした馬場は、満を持して「花の2区」を志願。1年目は4区、2年目は3区で出走しており、3年目は期するところがある。

「2区はチームのエースが走るべき区間。序盤から消極的にならず、13km付近の権太坂、ラスト3kmにくる戸塚の坂を考えないくらいで突っ込んでいきます。最後の急坂はかなりきついですが、そこで1秒を削り出さないと、流れを作れないと思っています。がむしゃらに食らいついていきます」

チームのエースに成長した馬場は満を持して「花の2区」を希望(撮影・杉園昌之)

普段からジョグのコースは上り坂を意識して走り、ポイント練習では積極的に先頭で引っ張っている。初挑戦となった伊勢路でも大黒柱の実力を証明した。各大学のエースが集まる7区で区間4位と好走。3度目の箱根路は自信を持って臨む。

「ターゲットタイムは67分台。区間5位以内を目指します。高校の先輩でもある青山学院大学の太田蒼生さん(4年)のように120%の力を出し、他大学のエースとも互角以上に戦っていきたいです」

國安広人は2区、林虎大朗は最終10区を希望

エース区間を希望するのは馬場だけではない。2年連続で箱根の2区を走ってきた國安広人(3年、須磨学園)は、鶴見から戸塚までの23.1kmに懸ける思いをはっきりと口にした。

「1年目、2年目と悔しい思いをしたので、リベンジをしたい。最低限、区間1桁で走り、流れを作らないと。この1年、練習スタイルが変わり、自身も粘り強さが身についたと思います」

前回大会は区間20位に沈み、実力差を痛感した。あの時の悔しさを胸に留め、起伏のあるコースに対応できるように取り組んできた。対策は十分。1月2日のスタートラインに立つことを心待ちにしていた。

國安(左)と林も過去2年連続で箱根駅伝の往路を走っており、経験豊富だ(撮影・佐伯航平)

一方、2年連続で1区に出走してきた林虎大朗(4年、大牟田)は、復路の最終10区を希望する。1年を通して単独走の練習を積み重ね、準備してきたという。

「前回大会、先輩の関口絢太さん(現・SGホールディングス)が区間3位と力走した姿を見て、僕もあのような走りを見せたいと思ったんです。シード権獲得のフィニッシュテープを切り、歴史的瞬間を味わいたいです」

鶴見から大手町に向かうコースも、すでに頭に入っている。目標タイムは第100回大会で更新された立教大学記録の1時間9分29秒を切ること。チーム順位を一つでも上げるのが役割となる。4年生としての仕事は、きっちり果たすつもりだ。

「悔いが残らない走りをします。後輩たちに良い置き土産を残していきたいです」

チャレンジャー精神で「思い切った駅伝を」

第99回大会で55年ぶりに本戦出場を果たし、箱根路復帰3年目となる第101回大会。着実に力をつけて10位以内を視野に入れている一方、髙林監督はチャレンジャー精神を忘れていない。

「思い切った駅伝をしたいです。私たちに失うものはないです」

守りに入らず、目標に向かっていく。

攻めの走りを全員が披露し、シード権獲得を狙う(撮影・杉園昌之)

in Additionあわせて読みたい