エースで主将、森下暢仁の完封で明治が準決勝進出 全日本大学野球選手権
準々決勝第1試合は東京六大学代表の明治大学と東都大学代表の東洋大学という、今大会屈指の好カードになった。明治大は前日の2回戦で4打数3安打4打点の4番北本一樹(4年、二松學舍大附)がこの日も4打数2安打2打点の活躍。そしてエースで主将、秋のドラフト候補の森下暢仁(まさと、4年、大分商)が東洋大打線を完封し、6月15日の準決勝進出を決めた。
4番北本が連日の殊勲打
明治大は1回、2死二塁から北本がセンターオーバーの二塁打を放ち、1点を先制。3回には無死一、三塁から東洋大のバッテリーエラーの間に三塁走者の添田真海(4年、作新学院)が返って2-0とした。5回には2死二塁からまたも北本がセンターオーバーの二塁打を放ち、3点目を奪った。北本は今大会8打数5安打6打点の大活躍。
明治大の先発森下は150km超のストレートにカットボールやスライダーなどの変化球を織り交ぜ、要所を締めて完封した。
東洋大は森下から7安打を放ったが、あと一本が出なかった。9回には2死二塁から5番山崎基輝(3年、愛工大名電)のレフト前ヒットで二塁走者の主将・佐藤都志也(4年、聖光学院)がホームを突いたが、本塁タッチアウト。3点差があっただけに、慎重にいってもよかった場面だった。
東都のMVP投手の東洋大・村上頌樹(3年、智弁学園)は前日の2回戦でも7回で112球を投げていた。この日も6回を投げて被安打6、3失点と悪くはなかったが、打線の援護なく103球でマウンドを降りた。
リーグ戦から大学野球の「聖地」神宮で戦う両校による“事実上の決勝戦”は、明治の完勝だった。38年ぶりの春の全国制覇まで、あと二つ。
使えるものは何でも使う
明治大・善波達也監督の話
「昨日から北本がよく打っていて、いいムードをつくってくれました。フォアボールで出たランナーを得点圏に進めて返すこともできたし、使えるものは何でも使う、という意識ですね。東洋の村上くんは結果を出し続けている好投手なので、選手には『いいピッチャーだと思いすぎないで打席に入ろう』と言いました。いいと思いすぎると、バットが出なかったり始動が遅くなってしまったりするので、いつも通りの感じを植えつけようと。昨日の先発を伊勢にするというのは早くから決めていたので、森下はこの試合に合わせて調整できたんじゃないかと思います。彼は一つひとつ試合の中からいろんなものを吸収して成長してます。今日の試合も生かしてもらえたらと思います。ここから先、また険しい道のりになりますが、次の試合もキチッと対策して臨みたいと思います」
村上に負けるわけにはいかなかった
明治大・森下暢仁の話
「村上は昨日も100球近く投げていて疲れもある中で今日を迎えたと思います。自分は昨日何もしていなくて、今日に合わせてきたので、さすがに年下の村上に負けるわけにはいかないと思って投げました。初回に1点とってもらえたことで、楽に投げられました。この東洋戦がまずはヤマだと思ってました。次の試合は勝ち上がってきたチームとやるので、さらにレベルも上がっていくと思いますけど、しっかり全員で自分たちの野球ができるようにしていきたいです。完封できたことはうれしく思います。うまく投げられたなとは思いますが、でもストレートも抜けたり、変化球がうまく投げられなかったりと、『その球じゃない』と思うことは場面、場面でありました。そこはしっかり見直してやっていきたいです」
いまは何でも対応できる気がする
明治大・北本一樹の話
「リーグ戦で優勝し、プレッシャーが軽くなりました。いまは力を抜いて、まっすぐでも変化球でも対応できるような気がします。今日は相手が東洋なので、かなり気合が入りました。村上君がいいピッチャーだというのはうわさになってるんで。村上君はまっすぐならまっすぐ、変化球なら変化球に狙いを絞らないと打てないピッチャーです。初回の先制ツーベースは、フォークが落ちきらなかったところをいいかたちで対応できました。2本目は外のスライダー。変化球なら打とうと思ってました。今日がまず山場だと思ってました。そこをマサト(森下)が完封してくれて、打線も3点取れていいかたちで勝てました。チームはみんな優勝を意識してテンションが上がってて、ポジティブな声が出てて、いい雰囲気になってます」