大学陸上・駅伝

特集:第52回全日本大学駅伝

皇學館大ルーキー佐藤楓馬 佐久長聖時代の悔しさを糧に、東海地区で強くなる

「大学4年間で高校の同期に『自分はやれるんだ』っていうのをアピールしたい」と佐藤(すべて撮影・松永早弥香)

9月22日に行われた全日本大学駅伝の東海地区選考会で、皇學館大学は4年連続4回目となる本戦出場をつかんだ。全4組でトップ通過を果たしたのは、2組目を走ったエースの川瀬翔矢(4年、近大高専)と3組目の佐藤楓馬(1年、佐久長聖)のふたり。「佐藤はたぶん大ブレークすると思っている選手なので、この予選会ではまだブレークさせたくないなと言っていたんですよ」と日比勝俊監督も期待を寄せている。

皇學館大・川瀬翔矢 3年目の躍進を経て、最後の全日本では区間賞で東海地区に貢献を

鈴木芽吹たち同期が活躍する裏で

選考会では1組各校2人が10000mに挑み、全4組の総合タイムで競われた。佐藤にとっては公式戦で走る初めての10000m。日比監督からは「出られるところで前に出よう」と言われていたこともあり、序盤は2~3番手に位置をとってレースの流れをうかがっていた。

5000mを過ぎたところで名古屋大学の國司寛人(博士課程3年、富士)が前に出る。佐藤はその國司の後ろにつき、タイミングを狙っていた。そして6000mで一気にペースを上げる。それまでは1000mを3分2~9秒ペースだったのが、その1000mでは2分55秒を刻んだ。後は一人で押し切り、そのままゴール。30分27秒81という記録に対し、「スローペースではありましたけど、目標タイムは達成できたんでよかったです」と初レースを振り返った。

6000mで佐藤(中央)がしかけ、そのままトップでフィニッシュした

名門・佐久長聖高校(長野)出身。同級生には9月の日本インカレ5000mで3位になった鈴木芽吹(駒澤大1年)や、服部凱杏(かいしん、立教大1年)などがいる。鈴木や服部は1年生の時から全国高校駅伝(都大路)を走っているが、佐藤は1度も経験していない。そんな自身の高校時代を「故障の連続で(5000mで)15分も切れなかった」と佐藤は振り返る。

15分11秒04をマークしたのは高3の9月と遅かったこともあり、大学からは声がかからなかった。「高校時代の苦い経験が必ず自分の糧になる。弱い自分も受け入れて、前に進むことで必ず強くなるって自分でも言い聞かせていたんです」。皇學館大には自ら進学を希望し、日比監督の元を訪れた。ここで強くなりたいという思いを伝え、その熱意を日比監督も受け止めた。

「皇學館は川瀬さんだけではないぞ」

新型コロナウイルスの影響を受け、皇學館大での練習は個人練習から始まった。全員での練習を再開できたのは6月になってから。夏に実施した30km走ではエースの川瀬も追い抜く走りを見せたが、「その時は暑さもあって、川瀬さんもレースが続いていた中で走っていたので、一概に勝ったとは言えないです」と謙遜(けんそん)するも、その手応えは自信につながった。

夏に走った学内の10000mのタイムトライアルでは31分20秒程度だったが、今回の東海地区選考会では勝ち切った上で目標タイムもクリア。全日本大学駅伝にはまだ思い描く区間がないが、「どの区間でも戦える準備をこれからしていきます」と勝負の日を待ち望んでいる。

佐藤(左)にとって初となった10000m公式レースを終え、「期待通り。本人もやりたかったことをやってくれたと思います」と日比監督

箱根駅伝がある関東への大学に進むことを考えたことはあるかとたずねた。「地方だから関東に劣るというわけではないし、逆に地方だからやれることはたくさんあると思っています。皇學館は川瀬さんだけではないぞって、皇學館の一員としてそういう姿を見せていきたいです」

ライバルは鈴木芽吹たち、高校時代の同級生。大学4年間で力をつけ、同じ舞台で戦って勝てるような自分をつくっていく。高校時代に感じていていたあの悔しさを、何倍にもして返してみせる。

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