アメフト

連載:アメフト応援団長・コージコラム

実は一度、アメフトを辞めていた! コージ・トクダが初めて明かすその理由(前編)

2シーズン目は雨の中のスタートになった(みらいふ福岡SUNS提供)

4years.をご覧の皆様こんにちは。アメフト応援団長のコージ・トクダです。皆様いかがお過ごしでしょうか? 暖かくなったと思ったら急に寒くなったり、体調の変化により一層気を使わないといけない時期ですね。

春、新チーム、ウキウキ、ドキドキ

3月からついにみらいふ福岡SUNSの週末練習が始まり、往復約1800kmを移動する日々がスタートしました。なかなかにハードな環境ではありますが、1年前と比べると心と体にも余裕を持って臨めています。それが慣れというのか、適応してきたというのか分かりませんが、とても気分が良いです。そしていよいよ春のシーズンが始まるんだなとウキウキしています。

さて、この時期といえば高校や大学でも新チームが始動。今年はどんな新入生が入って来るのかとドキドキしますね。高校時代を思い出します。大阪学芸高校でアメフトに出会い、スポーツ推薦で法政大学へ入学。学生時代は7年間アメフトに没頭していました。

多感な高校時代、空白の半年

ですが、正確には6年と半年間のアメフト生活でした。これは初めて言いますが、実は半年間アメフトを離れていたのです。もう15年前くらいの話になりますか。何故、半年空いて、その時何を考えていたのか。その時の話を前編、後編に分けてつづらせて頂きます。

今思っても高校時代は特に多感だった。やりたいと思った事は手を出さずにはいられなかった。自分自身に無限の可能性を感じていたのだ。ある時は英語を学びたいと思い立ちすぐ英会話学校に通い、英語を学ぶ毎日。英語のテストでは100点取ることもしばしば。自分は何でも出来る、そう感じるようになっていた。若気の至りというやつか。話をアメフトに戻そう。

1年生の時に、先輩からの熱烈な勧誘を受けてアメフト部に入部し、ポジションの名前やルールなど必要な事をほぼ理解していないままに練習や試合をこなしていた。なぜその知識量で動けていたのか自分でも不思議なくらいのレベル。先輩はいつも優しかった。このままでいいんだと思わせてくれた。

休み時間は、相撲や腕相撲などをして遊ぶ事が多かった僕にとって、力比べの出来るアメフトというスポーツは向いていたのかもしれない。なんとか1年間、必死に先輩たちに食らいついていた。ただ、ふと周りを見回すと同じ時期に入部した友達はほとんどいなくなっていた。アメフトの日々を過ごしていたある日から次第に、疑問を持つようになってきた。
「なぜ僕はアメフトをやっているんだろう」

ふと湧いた疑問、考え止まらず

どんなにぶつかって汗水流しても世間では誰も知らないアメフト。ケガのリスクの高い、このスポーツ。何のためにやっているの? ここに高校時代の全てをベットして自分の将来のためになるのだろうか、と。そう考え出したら止まらない。「うん。改めて一旦考える時間が必要なのかもしれない」。そう思いました。ほぼ毎日行われる練習の中で疑問を抱きながらプレーすることが嫌で仕方がなかった。

高校1年の秋、72番(本人提供)

「よし、休部しよう」。2年生になってすぐの時に腹をくくった。この部員数が少ないアメフト部で一人いなくなることの大きさは僕が痛いほど感じていたのに。

ある日の放課後、アメフト部の顧問の先生がいる体育教官室を訪れた(体育の授業の先生兼アメフト部の監督である)。心臓はバクバクだった。ノックしようとしてやめて、ノックしようとしてやめて、何度繰り返したかわからない。扉の前で30分。中から音が聞こえる度にササっと逃げ、落ち着くと扉の前に戻った。その姿はまさに黒光したあの嫌な虫のよう。汗もタラーっと流れてきた。

意を決し、体育教官室へ

意を決した。扉の前で自分に言い聞かせる。「大丈夫。お前なら言える」。かかった時間の分、力が入って強くノックをしてしまった。

ゴンゴンッ。
先生 「はい」
奥からいつもの声が聞こえた。
僕 「失礼します。先生、話があって来ました」
扉を開けながら少し震えた声で言う。瞳孔も開いていたことだろう。
僕 「すいません。アメフト部を辞めさせて頂けませんか?」
休部と言いたかったのに、退部と伝えてしまった。何度も何度も頭でシミュレーションしたのにだ。でも、もういい。
先生 「いきなり何を言ってんねん。ただでさえ人数も全然おらんのに。何があってん?」
僕 「いや、何かあった訳じゃないんですけど、色々、将来のこととか考えてほかにやりたい事とか……」
支離滅裂だった。
先生 「他にやりたい事ってなんや? 色々考えてしまう気持ちはわからんでもないけど、アメフト部も人数少なくて大変なんや。もうちょっと考えてみてくれ」
僕 「あ……えと……わかりました。失礼します」

滞在時間わずか5分。言いたいことも言えずサラッと丸め込まれかけて体育教官室を後にした。扉を背にして自分の頭を何度もたたいた。「バカっ! アホっ! 何度もシミュレーションしたやんけ!!」。自分の本番の弱さを嘆いた。「いや、これはまだ練習。また次行く時こそ本番!! 色々準備して臨むぞ」

次の話し合いまでアメフトの練習には参加しなかった。次の話し合いまで、1週間。しっかりと準備を整えていくのである。

雨にも負けず。熱い高校時代があるから今がある(みらいふ福岡SUNS提供)

ここまでが前編。アメフトを始めて次第に疑問を抱き、先生に想いを伝えに行くも失敗する。後編では、再度、先生に想いを伝えに行き、何故またアメフトをやることになったのか。そんなお話をさせて頂こうと思います。お楽しみに!

アメフト応援団長・コージコラム

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