「帰ってきた」というより、「新しい事に挑戦」という感覚 ついに公式戦出場
4years.をご覧の皆様こんにちは。アメフト応援団長のコージ・トクダです。11月に入り、少し肌寒くなってきましたね。長袖が手離せなくなってきました。コラムをご覧の皆様はいかがお過ごしでしょうか?
さて11月1日、神戸・王子スタジアムにて、私が所属するみらいふ福岡SUNSの、今季の初試合が行われました。3月にチームに入団して以来、コロナの影響で開催が危ぶまれていた公式戦ですが、無事試合が行われました。
アメフト日和、みらいふ福岡SUNSは白星発進
当日の天気は晴れ。絶好のアメフト日和と言っても過言ではない気候でした。結果は34-20でみらいふ福岡SUNSの勝利。大事な大事な一勝を勝ち取る事ができました。この一戦は、今季チームの初戦という事の重要さもありますが、個人としてはもっと色々な想いが詰まった重大な一戦となったのです。
「10年ぶりの復帰戦」
実はこの言葉の持つ重みがずっと背中にのしかかっていた。「努力で掴(つか)み取ったレギュラー」なのか「情けで試合に出してもらっているのか」。このどちらと見なされるのかは紙一重の状態だったからだ。いくら大学時代に活躍していたとはいえ、10年もブランクがある。そんな状況に周りからは「本当に動けるのか」と心配する声も聞こえてきた。
僕自身も不安がないと言えば嘘になる。この10年という数字が果たしてどれ程、僕を強くしてくれるのか。はたまた大きな足かせになるのか。これは実際に試合をやってみないとわからなかった。故に試合直前までそんな不安とも闘っていた。
もしかすると、観ている人の中には、先に励ましの言葉を考えてる人もいたのかもしれない(笑)。なんせ10年ぶりだから。何が起こってもおかしくはなかった。
僕の気持ちは・・・
と、ここで結論の前にハッキリさせておきたい事がある。「10年ぶりの復帰戦」というのはあくまで対外的な話としてという事である。では、この試合における僕の気持ちはどうだったかと言うと、「10年ぶりに帰ってきた」という感覚よりも、圧倒的に「新しい事に挑戦している」という感覚に近かった。
全てが新しかった。試合会場から、目の前に広がるフィールド、後ろを見ると応援してくれている観客の方達。チームメート。その全てが新しく感じた。そこに懐かしさはほとんどなかった。
「10年ぶりに帰ってきた」
否(いや)、
「なんて新しい光景なんだ」
もしかしたら気持ちは誰よりもルーキーだったのかもしれない。そんな想いでフィールドに立っていた。
「よし、全力で楽しもう」
こう思った。それまでのしかかっていた
「絶対に勝たなくてはいけない」
「是が非でも楽しんでもらわなくてはならない」
という想い。
これを試合が進むにつれて楽しみが超越してきたのである。そして、その選手たちが楽しんでいる姿を観て観客の皆も盛り上がる。まさに一体感。
「これがスポーツだ」
そして、試合も終盤に入った時に一つ目標としていたQBサックを決める事ができた。1人の力ではなくチームの力で達成できたプレー。嬉しかった。10年ぶりの復帰戦において、個人的に闘っていた10年という数字。これに勝つ事ができたのかもしれない。
覚悟を決めて進んでいく
試合終了後、代表の方から一言挨拶を観客の皆様に向けてお願いされた。もちろん準備などしていなかった。呼ばれるがまま真ん中まで走っていった。そして観客席を見上げた。
その時、不思議な事が起こった。ババッと10年前の記憶がフラッシュバックして蘇ったのだ。法政大学時代の記憶。後ろには昔のチームメート。前には大勢の観客達。現実と違うのは皆泣いていた。
そんな記憶がフラッシュバックした。感情が込み上げて思わず言葉に詰まってしまった。ようやく10年ぶりという言葉を払拭(ふっしょく)できた矢先に、10年ぶりの記憶を呼び起こされた。
この時に覚悟を決めた。10年前の経験や記憶をこれからも抱えてずっとプレーをしていこう、と。そして新しい光景を見つけていこうと。
次節、11月14日14時キックオフ。10年分の熱い想いをぶつけてきます。