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連載:私の元気メシ

300gのステーキに明大盛り! 「サムスアイランド」は心も満たしてくれる絆の場所

学生限定でショートリブステーキ300gが220gの値段(1518円)で食べられるキャンペーンも(撮影・全て松永早弥香)

明治大学サッカー部のOBに話を振ると、「サムス!! なけなしのお金をはたいて通いましたよ」とうれしそうに明かしてくれる。特に思い入れがあるのが、学生たちのために用意された「ショートリブステーキ300g」と「明大盛り」。東京・上北沢のステーキハウス「Sam's Island(サムスアイランド)」は身も心もおなかいっぱいになれる場所だ。

学生限定! 220gの値段で300gに

サムスアイランド、通称サムスは京王電鉄京王線「上北沢駅」から徒歩5分。甲州街道に面しており、「地域密着のお店で、この地域にお住まいの方々や学生たちに愛されています」と店長の中井直哉さんは言う。

サムスアイランドへは上北沢駅から徒歩5分。甲州街道に面した場所にある

お店ができたのは1985年(昭和60年)。当時はアメリカンスタイルで、ステーキは串焼きになったBBQだったが、15年ほど前に現在のハワイアンスタイルになった。店内にはヤシの木を模したインテリアがあり、サーフボードや店員のアロハシャツなど、至る所でハワイを感じられ、ガーリックシュリンプやロコモコなどのハワイアンメニューもそろえている。

冒頭の通り、学生たちに人気なメニューは「ショートリブステーキ」。150g/1095円~(価格は全て税込)とコストパフォーマンスが良いこともあり、これにセットメニュー(ライス/パン、サラダ、ソフトドリンク/スープがついて451円)、もしくはライス(286円)とサラダ(各550円)、ロミロミサーモン(759円)、ガーリックシュリンプ(1056円)などをつけて頼む学生が多いそうだ。そうした学生たちのニーズに応えようと、2013年から始まったのが春/夏/冬休み限定のキャンペーン。中学生以上の学生を対象に、ショートリブステーキ300g(1958円)を220gの値段(1518円)で提供するというもので、学生たちもこのキャンペーンを狙ってサムスに通っている。現在も4月24日まで、春休みキャンペーンを実施している。

店内のインテリアはハワイアンテースト。ハワイを感じられるメニューも用意している

もうひとつ、明大サッカー部をきっかけに誕生した学生限定の裏メニューが「明大盛り」だ。サムスではライス(180g)を無料で大盛り(280g)にできるが、学生が希望したら明大盛り(450g)にパワーアップする。「いつからだったかな~」と副店長の宮脇敏基さん。

ある時、大盛りを頼んだ明大サッカー部の子が物足りなそうな顔をしているのが気になり、「特盛りにいたしましょうか?」と声をかけたら「ありがとうございます!」ととびっきりの笑顔を返してくれたそうだ。そうしたことが続き、厨房(ちゅうぼう)内で「(学生に)特盛りにしてあげて」と言うと、スタッフが「じゃ~明大盛りですね」と反応。それが学生にも「サムスには明大盛りがあるようだ」と広がり、現在では明大生のみならず、近辺の学生も「明大盛りで」と注文するようになった。

こちらが裏メニューの明大盛り。450gと通常のライスの2.5倍だ

オリジナルのガーリックバターもたっぷりと

今回、そんな学生たちに愛されているショートリブステーキ(300g)+セットメニューを明大盛りでお願いした。カトラリーとともにテーブルに置かれた紙袋はサムスオリジナルのマスクケース。「コロナでマスクが日常的になった今だからこそ、少しでもみなさんが安心して楽しく食事をしてもらえるようにと考え、新しく作りました」と中井さんは言う。コロナ禍でサムスも大きな打撃を受け、営業時間も都の要請に従って今は時短営業(通常は~24時、定休日はなし)となっており、換気や除菌を徹底しながら営業している。

昨年から新しくオリジナルのマスクケースを提供している

注文してほどなくステーキが登場。「ガーリックバターはいかがでしょうか?」という言葉とともに、クリーム状の自家製ガーリックバターをステーキにトッピング。熱々の鉄板の上でステーキとガーリックバターが踊り、やわらかな肉質でスッとナイフが入る。脂のうまみにガーリックバターの風味が加わり、いつまでもかみしめていたいほど。その横にはみごとに山になった明大盛りのライス。300gのステーキのおともにぴったりだ。

ショートリブステーキ300gとセットメニュー。ライスは明大盛りでお願いした
このガーリックバターが目当てでサムスに来る人もいる

セットメニューのサラダもサムスのオリジナル。コーンとトマトとキュウリに酸味の利いたオリジナルのドレッシングをかけたもので、創業時からのメニューだ。「ボリュームがあってコストパフォーマンスの良いものをというコンセプトがありますが、ガーリックバターのように自家製のものを使っているのも人気なところだと思います」と中井さん。このガーリックバターの作り方を聞いてくる人もおり、中にはガーリックバターの大盛りを希望する学生もいるそうだ。

セットメニューのサラダは創業時からのもの

明大サッカー部の絆を感じられる場所

いつから学生が通い始めたか、明確には把握していないが、明大サッカー部の学生たちが食べていると、「彼らは明大サッカー部ですか? だったら一緒に払います」と学生たちに何も言わず、サッと払っていく年配の方もいるそうだ。OBに限らず現役の学生の中でも、先輩グループが後輩グループの分も払うという暗黙のルールがある。先輩たちの思いも力に変え、そして今度は自分が後輩たちへ。サムスは世代を超えて思いを伝えていく場所にもなっている。

サッカー部以外の学生もたくさんお店に来てくれているが、OBも含めて記憶に残っているのはサッカー部の学生が多いという。明大生だった長友佑都(現オリンピック・マルセイユ)もそのひとり。明大サッカー部からFC東京に活躍の場が移ってからもサムスを訪れてくれた。「前から来てくれていたのは分かっていたので、『明大盛りにしましょうか?』って言ったらあの愛くるしい笑顔で『ありがとうございます!』と言ってくれたのが印象的でした」と宮脇さんは振り返る。同じく明大サッカー部を退部してFC東京に加入した室屋成も、ハノーファー96移籍でドイツに行く前にサムスへ足を運んでくれたという。

ジュビロ磐田の小川大貴も明大時代に足繁(しげ)くサムスに通った一人。現在も東京に来る際は家族を連れて訪れるそうだ。「社会人になった子も来てくれて、『銀行員になりました』とか『彼女です』と報告もしてくれますし、卒業した後も来てくれてうれしいですよ」と宮脇さんは笑顔で教えてくれた。

(右から)中井さんと宮脇さんも学生たちの来店を楽しみにしている

明大サッカー部に限らず、お店を訪れてくれる学生たちには「この前の試合どうだった?」などと声をかけることもある。新聞やテレビなどで学生たちの活躍を知れるのはうれしく、卒業後もそれぞれの場所で頑張ってくれることを心から願っている。「生活の中にサムスがあって、ショートリブや明大盛りで体をつくっていると思うので、それを活力にして優勝につなげて、また優勝のお祝いで来てくれるとうれしいです」と、中井さんも学生やOBの活躍に期待している。

私の元気メシ

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