陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

留学して人間力を磨く選手も 社会貢献活動にも積極的な関西外大女子駅伝部を訪問!

昨年12月の富士山女子駅伝で集合写真を撮影する関西外国語大学女子駅伝部の皆さん(写真はすべて提供・関西外国語大学女子駅伝部)

今回の「M高史の陸上まるかじり」は関西外国語大学女子駅伝部のお話です。今年度の全日本大学女子駅伝(杜の都駅伝)では、チーム史上最高順位となる12位。競技だけではなく社会や地域への貢献活動にも積極的で、日本陸上競技連盟のSDGsプロジェクト「#LETSTHINK」ではBEST THINK賞を受賞。日本陸連アスレティックス・アワードで表彰されました。

日本陸連SDGsプロジェクトでBEST THINK賞を受賞!

関西外国語大女子駅伝部の山本泰明監督は就任10年目。筑波大学時代に箱根駅伝に出場し、実業団時代はマラソンで2時間10分44秒という記録も残されました。現在は監督として指導にあたるだけでなく、英語キャリア学部の准教授でもあります。

「大学指定の強化クラブなので、競技で実績を出すのも重要命題ですが、大学の部活動としてはそれだけでは物足りないです。外部との関わりを積極的に持ち、自分たちができることを通して地域貢献、社会貢献していくことも同じくらい重要なことで、車の両輪のように並行して頑張ろうと、学生たちには創部時からずっと話をしてきました」

BEST THINK賞受賞について「アンケートに答えてくれた全国の高校生・大学生や、交流会の企画に賛同してくれた高校の先生や高校生の協力のおかげで、なんとか期限内に成果をまとめて応募することができました。学生たちはよく頑張っていたので、私としては、何か小さな賞でもいただければ、学生たちにとって励みになると思っていたところ、光栄にも最高賞であるBEST THINK賞をいただくことができました。学生たちにはこれで終わりではなく、受賞した自覚と責任を持って、これからもこの活動をゆるく長く発展的に継続してほしいと思います」と山本監督は謙虚にお話されました。

関西外国語大学女子駅伝部の山本泰明監督

BEST THINK賞を受けた活動は「知ろう、話そう、つながろう〜陸上競技を楽しく続けるために〜」という内容でした。陸上を継続する女子競技者が少ない点に着目し、陸上に取り組む高校生にアンケートを実施。高校生と悩みや魅力を意見交換する交流会も、対面やオンラインで実施してきました。

4年生の橋本萌選手(香川西)が中心となって、役割分担をしながら取り組んできました。「普段から色々な活動をしてきていて、チームで作り上げることができました。受賞もできたのでうれしかったですし、SNSでも反応がありました!」と活動を率先して引っ張ってきた橋本選手が、喜びの声を聞かせてくれました。

日本陸連アスレティックス・アワード授賞式にて。橋本萌選手(右)と矢尾桃子選手

チームをマネジメントする五つの委員会

関西外国語大学女子駅伝部では、競技以外の部分でも学生の皆さんが主体となって活動できるように「広報」「渉外」「チーム運営」「データバンク」「社会貢献」の5委員会があり、いずれかの委員会に所属しながら競技を行っています。それぞれの委員会の活動内容をご紹介します。

広報
女子駅伝部の日々の活動について、SNSを使って学内外に積極的に情報発信しています。また年に部内報を年に3回程度作成していますが、最近はこれもSNSに載せています。

渉外
部外の組織(学内の部署、学外の団体等)と連絡調整しています。必要な提出書類を作成したり、記録会等のエントリーを行ったりしています。

チーム運営
部内の運営、部員同士の情報共有、交流が円滑に進むように、具体的な活動を企画して実施しています。入部式や追いコンといった節目の行事や毎月の誕生会などを企画したり、寮生活での役割分担を調整したりしています。

データバンク
女子駅伝部の日々の活動を記録し、保管し、未来に向けて積極的に活用しています。大会などでいただいたトロフィーや賞状を掲示したり保管したり、日々の練習の結果をエクセルで集約してクラウドで保存したり、寮内の本棚や写真の整理を行ったりしています。

社会貢献
関西外国語大学女子駅伝部の存在意義を高める活動、部員の成長を促す活動として、社会貢献活動を率先して企画し、活動しています。今年度からこの委員会を独立させて活動しました。高校生と交流する「知ろう、話そう、つながろう」を企画して実施し、日本陸連からBEST THINK賞をいただきました。

高校生と交流する「知ろう、話そう、つながろう」も開催してきました

チームのマネジメントに関わることを選手の皆さんが自ら関わることで、一人ひとりが自分ごととして考えて、主体的に動けるようになっているからこそ、チームとしての魅力を感じるんだなと、取材を通じて僕も勉強させていただきました。

特に「女子駅伝部と競技場で一緒に走りませんか」「ジョギング教室」「高校の陸上部、駅伝部との交流会」など、陸上競技を通じた社会貢献活動に、積極的に取り組んできました。

競技だけではなく、さまざまな地域貢献活動に取り組んできました

「大学の部活動は、部活内だけで終わってしまっては、外から見ても面白くないですし、学生の成長の機会も少なくなってしまいます。なるべく開かれた部活でありたいですし、外部の方と関わる機会で気づきや刺激があります。学内で走っていても職員と学生という立場で普段は関わっていますが、競技場で一緒に走っていると、それぞれのランナー同士の視点で普段とは違う立場で話ができます。走る時はお互いが前を向いて同じ方向を見て走るので、対面と比べて会話も弾みやすいですね」と山本監督は教えてくださいました。

留学経験が飛躍のきっかけに

また外国語大学ということもあって、語学の勉強にも力を入れています。駅伝部でも留学する学生が多く、この春休みは2人、新年度も3人が留学するそうです。

山本監督は「(監督として)チームの成績を上げることを考えると、留学によって何人かの学生がチーム活動から不在になることは、その期間だけを考えるとマイナスの面が大きいかもしれません。しかし、留学に行った学生が人間的に成長してチームに復帰することは、長期の視点で考えるとプラスの面がとても大きいと思っています。実際に、留学から帰ってきた学生の様子を見ていて、いい意味で変わったなという場面を目にすると、とてもうれしいです。留学を希望する学生には関西外国語大学の充実した留学制度を活用してチャンスをつかんでほしいと思い、後押ししています」。留学中も海外レースに参加したり、ホストファミリーの方と関わったりすることで、人間力も磨かれるんですね!

さらに、山本監督は「陸上競技の世界は、世の中全体で見れば狭い世界であり、陸上競技の実績や経験が他の世界でそのまま通じるわけではありません。しかし逆にいうと、陸上競技の活動を通して身につけた本質的な力については、どんな世界であっても困難を乗り越え、成果を上げ、たくましく生きていくことができます。『私は陸上しかできない』とか『陸上以外は何も自信がない』というのではなく、4年間という限られた学生生活の中で陸上競技に熱中することによって、卒業後の様々な世界でたくましく生きる本質的な力を身につけていってほしいと思います」と話されました。競技での活躍はもちろん、卒業して社会に出てからも輝ける人になってほしいという思いを持って、ご指導されていることが伝わってきました。

社会貢献活動を通じて応援してくださる方も増えていき、杜の都駅伝ではチーム史上最高順位となる12位。富士山女子駅伝でも14位に入りました。

駅伝でも8位入賞を目指し、日々挑戦を続けています

取材に伺った日は、大阪国際女子マラソン、関西学生ハーフマラソン、くみやまマラソンに向けた練習ということで、私M高史もご一緒させていただきました。杜の都駅伝、富士山女子駅伝での8位入賞を掲げ、チーム一丸となってコツコツと着実に練習を積み重ねています。

競技、勉強、留学、社会貢献、さまざまな分野で主体的に明るく前向きに現状打破し続ける、関西外国語大学女子駅伝部の皆さんのさらなる活躍に注目ですね!

取材に伺った日、M高史も練習をご一緒させていただきました!

M高史の陸上まるかじり

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