陸上・駅伝

連載:西村菜那子の大学陸上もっと推し活!!!!

鈴木芽吹選手・伊藤大志選手が晴らした箱根の無念 西村菜那子が振り返る全国男子駅伝

全国男子駅伝で優勝テープを切った駒澤大の鈴木芽吹選手(撮影・上田潤)

みなさんこんにちは!

1月21日に天皇盃 第29回全国都道府県対抗男子駅伝競走大会(全国男子駅伝)が開催されました。優勝を果たしたのは、私の地元でもある長野県! 2時間17分00秒の大会新記録をマークし、見事に3連覇。通算の優勝回数を10に伸ばし、最多を更新しました。

チームに勢いをもたらした勝ちにこだわる姿勢

長野チームの軸になったのは、社会人・大学生区間を走った早稲田大学の伊藤大志選手(3年、佐久長聖)と駒澤大学の鈴木芽吹選手(4年、佐久長聖)でした。お二人とも大学の長距離界を代表する有力ランナーですが、今年の箱根駅伝では悔しさを味わいました。

伊藤選手は大会直前にインフルエンザを患い、区間エントリーから外れ、当日も出走はならず。鈴木選手は「花の2区」で、区間2位と素晴らしい結果を残したものの、区間賞を獲得した青山学院大学の黒田朝日選手(2年、玉野光南)に13秒及ばず、レース後は悔し涙を見せていました。

そのため全国男子駅伝では箱根駅伝での無念を晴らすかのように、気迫に満ちた走りを披露していました。

伊藤選手は前半から攻めた走りを見せ、実業団ランナーにもひるまず、順位を二つ上げてチームを4位に。鈴木選手はトップで襷(たすき)を受けると、さらに後続を突き放し、区間賞の走りでフィニッシュテープを切りました。

2人の勝ちにこだわる姿勢が、チームに勢いをもたらしたと思います。

長野チームは3連覇!優勝回数を最多の10に伸ばしました(撮影・上田潤)

隙がなかった佐久長聖高校の3選手

もう一つ、チームに欠かせない存在となったのが佐久長聖高校の3選手です。

全国男子駅伝は1区、4区、5区の三つが高校生区間です。どの区間も重要で「高校生が優勝のカギを握っている」と言っても過言ではありません。

長野チームは、この大事な高校生区間に、いずれも昨年の全国高校駅伝で1位を勝ち取った佐久長聖高校の優勝メンバーを配置。1区に濵口大和選手(2年)、4区に永原颯磨選手(3年)、5区に山口竣平選手(3年)を起用しました。

1区には兵庫の折田壮太選手(須磨学園高3年)や、長崎の川原琉人選手(五島南高3年)、埼玉の松井海斗選手(埼玉栄高3年)といった世代のトップランナーが集結した中、濵口選手は後れを取ることなく区間4位で好スタート。チームにいい流れをもたらしました。

4区の永原選手は、前年に山口選手が樹立した区間新記録にあと1秒まで迫る力強い走りを披露。スタート時点でチームは4位でしたが、ここで先頭に立ちました。「4区でトップに浮上」という高見澤勝監督が描いていたプラン通りのレースを進めました。

5区の山口選手も、勢いを落とすことなく区間賞を獲得。後続をさらに突き放しました。山口選手の出身は石川県金沢市。元日の能登半島地震で被災された方々にエールを送るかのような走りでした。

高校生区間を走った3人の隙がない走りが、長野チームの優勝をより確かなものにしたと思います。

4区で先頭に立った永原颯磨選手(代表撮影)

大学に進んだ後、それぞれの目標は……

私が立ち上げているwebマガジン「#西村駅伝」の高校生密着企画第1弾として、取材させていただいたのが濵口選手、永原選手、山口選手でしたので、3選手の活躍は非常にうれしい限りです。

当時のインタビューで、濵口選手は憧れている選手に中央大学の吉居大和選手(4年、仙台育英)を挙げられていました。大学に進んだら、箱根駅伝では1区を走ることを目標にしているそうです。全国高校駅伝でもしっかりと結果を残した濵口選手は将来、吉居大和選手のように、箱根駅伝で区間新を狙える存在になるのではないでしょうか。飛躍が期待されます。

永原選手が将来的に挑戦してみたい種目は、3000mSCとマラソンとのことです。春から順天堂大学に進学。三浦龍司選手(4年、洛南)のようにオリンピックで活躍する姿が見たいランナーの一人です。

山口選手が憧れている選手は、今回同じチームで走った伊藤大志選手だそうです。春からは伊藤選手と同じ早稲田大学に進むため、一緒に走る機会がさらに増えることでしょう。今まで以上に勢いのある走りが見られることを期待しています。

3人の当時の初々しいインタビューは、ぜひこちらからご覧ください!

【#西村駅伝】佐久長聖高校の強さと寮生活の裏側
佐久長聖高校3選手のインタビューは「#西村駅伝」でチェック!(撮影・齋藤大輔)

他の駅伝大会とは、また違う「お祭り感」

全国男子駅伝は、地域にゆかりのあるランナーのみで構成されるため、普段は同じチームだった選手がライバルに、反対に普段はライバルチームの選手が同じチームになることもある、まさに「駅伝ドリームチーム」が結成されます。

他の駅伝大会とはまた違った「お祭り感」があり、私としては特に大好きな大会です。

今回、アンカーを担った鈴木選手は静岡生まれですが、佐久長聖高校出身で長野チームの一員としても参加する資格があり、今回出走しました。

生まれた静岡だけではなく、長野にもご縁を感じてくださっていることが、長野出身者としてすごくうれしかったです。

全国男子駅伝は自分の地元と縁があるランナーを知ることができる、素敵な大会です。この大会を通して皆さんもぜひ、地元ランナーを応援していきましょう!

西村菜那子の大学陸上もっと推し活!!!!

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