応援

連載:女性アスリートという生き方

「選手から元気や勇気をもらうこともある」法政チアリーディング部・小野澤理紗

小野澤さんは62人の部員がいる法政大学応援団チアリーディング部の責任者として活動している(イメージカットはすべて撮影・齋藤大輔)

女性アスリートが普段の生活で大切にしている生活習慣や考え方、体づくりの秘訣(ひけつ)などに迫る連載「女性アスリートという生き方」の第3弾をお届けします。法政大学応援団チアリーディング部責任者の小野澤理紗さん(4年、麻溝台)が語ってくれました。

青山学院大・中村真緒 ボルダリングだけは、ずっと飽きなかった

気持ちが一つにならないと、うまくいかない

――チアリーディングを始めたのは大学からだそうですが、それまではどんなスポーツに取り組んできたんですか?

小野澤:小学校から中学校まではクラシックバレエを習ってました。といっても本格的に取り組んでいたということはなく、週1回、少ないときは月1回、教室に通ってたくらいです。バレエそのものより、友だちが増えるのが楽しかったですね。そのあと、高校ではチアダンス部に入りました。高校時代は全国大会で3位になったこともあります。でも、そのときはダンスだけ。「スタンツ」はやったことがありませんでした。

――スタンツにトライしてみたいという思いは、昔からあったのですか?

小野澤:全然そんなことはなく、大学入学後の部活見学で初めて、法政大学に応援団チアリーディング部があることを知って、興味を持ちました。見学させていただいたとき、先輩たちが軽々と人を持ち上げていて、苦しそうな表情なんてまったく浮かべてなかったんです。だから、バランスを保ったり人を飛ばしたりするのが実は相当難しいなんて、思いもよらなかったんです。

――やって初めてチアリーディングの難しさを実感したんですね?

小野澤:実際にやって初めて分かったのは、みんなが気持ちを一つにしていないとパフォーマンスがうまくいかないことです。誰か一人でも集中できていないと、大きなけがにつながることもあるんです。その気持ちの部分が、チアリーディングの魅力でもあるんです。みんなが気持ちを合わせることで、観客のみなさんを魅了するパフォーマンスができます。

高校時代にチアダンスをしていた小野澤さんは、大学からチアリーディングを始めた(写真は本人提供)

不屈の精神や謙虚さも、チアが教えてくれた

――みんなの気持ちを一つにするため、どんなことに気をつけていますか?

小野澤:「なんでタイミングが合わなかったの? 」「こうすればうまく持ち上げられたんじゃない? 」という感じで、みんなで意見を出し合います。私たち応援団は上下関係がすごく厳しいんですけど、練習中は一切上下関係を気にせず、みんなが自分の意見を発信することを大切にしています。とはいえ、先輩に対して意見しにくいと感じる下級生がいるのは当然なので、上級生になってからは下級生の意見を引き出すことにも意識を向けるようにしています。

――意見を出すためには、しっかり見てないとダメですよね?

小野澤:そうなんです。自分のことばかり考えてると、うまくいかない。それがチアリーディングの大事なポイントです。自己中心的にやるだけで周りを見てないと、全部人のせいにしてしまう。そうすると自分が成長できないだけでなく、ときにはけがにもつながる。だから常に謙虚さを持ち、周囲にもしっかりと目を配ることがとても大切です。

――精神面もかなり鍛えられるんじゃないですか?

小野澤:目上の人を敬う精神や、どんなにつらくても頑張ろうという精神は養われました。そしてその精神は、部活以外でも生きてると感じることがあります。大変なことや、やりたくないこと、逃げたいことがあったときにも、つらい道を避けずに、自分が成長できる道を選べるようになりました。卒業後に社会に出たら、もっと大変なこともたくさんあると思うんですけど、いままで頑張ってきたことを思い出したら、どんなことでも乗り越えられる気がしています。

――練習はハードですか?

小野澤:基本は1日3時間で、平日のうち3日と土、日で週5日の練習です。土日は体育会の試合があれば応援に行き、ないときは練習です。夏と秋には合宿もあって、合宿中は毎朝5時半に起きて、6時から夜9時半まで、ごはんとお風呂の時間以外はずっと練習です。夏合宿は9泊10日と長いので、精神面も技術面も鍛えられますね。

仲間がつらいとき、寄り添える存在でありたい

――62人もの部員を抱える責任者として、練習のときにはどんなことを心がけていますか?

小野澤:視野を広く持って、みんなの様子を見ることです。けがを含めた身体的な異変にいち早く気づくのはもちろん、精神的な落ち込みに気づいてあげるのも大切です。練習に集中できてないなと思ったら、「大丈夫? 」とストレートに聞くのではなく、話しやすい環境をつくることや、たまっているものを吐き出しやすくしてあげることが大事だと考えてます。部員たちは「1度失敗した技に挑戦するのが怖い」といったチアリーディングに関する悩みを抱えていることもあれば、プライベートで問題に直面していることもあります。どちらにしろ、つらいときに寄り添ってあげられる存在でいたいです。

――チアリーディングをする上で、日常的に気をつけていることはありますか?

小野澤:毎月体重測定があるので、とくに休み中は太らないように気をつけてます。私はスタンツの上に立つので、体重管理は欠かせません。体脂肪率も10%台を目指してます。日常的にということでは、メイクも日々勉強です。私はあまり得意じゃないんですけど(笑)。ストレスをためないことも大事ですね。私は就職活動でつらいときも、みんなと一緒にチアリーディングをすることがストレス発散になって「明日からも頑張ろう」と思えました。

――応援チアの醍醐味はどんなところにありますか?

小野澤:どうしたら自分の大学の部が勝てるかを考えて、全身全霊で応援するところにあると思ってます。応援していくうち「絶対に勝ってほしい」っていう母校愛がどんどん強くなりますし、勝てたときには選手たちから「応援してくれてありがとう」「応援団のおかげで頑張れたよ」というような言葉をかけてもらえて、本当にうれしいです。応援チアの場合、基本的には大会ごとに何人かずつのメンバー制で応援に行くんですけど、東京六大学野球のときだけは全員で応援に行くので、一番熱が入りますね。応援では気候が厳しくてつらいときもあるんですけど、頑張ってる選手たちを見ていたら、自分たちもまだまだ頑張れると思うし、こちらが応援する立場のはずなのに、選手から元気や勇気をもらうことがたくさんあります。

――競技チアのほうで印象に残っていることは何ですか?

小野澤:「USA Japan」というチアリーディングの大会で3連覇したときは、スタンツを最初から最後まで一つも落とすことなく、それまでの練習を上回る一番の演技ができたので、印象に残ってます。ただ今年は4連覇を逃してしまい、とても悔しい思いをしました。

――最後に、チアリーディングにおける今後の目標を教えてください。

小野澤:12月に引退なので、残り3カ月となりました。最後はリーダー部や吹奏楽部の同期も一緒にステージに立ちます。それが仲間を感じながらお客さまの前で演技できる最後のチャンスです。悔いのないパフォーマンスをすることで、お客さまを魅了できたらいいなと思ってます。卒業してからは、これまでOBやOGのみなさんに支えてきてもらったように、次は私自身が後輩たちを支えられる存在でありたいし、チアを通して培った「あきらめない精神」や笑顔を大切にしていきたいです。

東女体大新体操・松坂玲奈「自分にしかできない演技を究めたい」

この記事をシェア

in Additionあわせて読みたい

Seriesこの連載をもっと読む

この連載の記事一覧へ

女性アスリートという生き方

Their Stories大学別・競技別に読む