バスケ

連載:私の4years.

エースになれない自分がバスケでできることを 元筑波大バスケ部・青木太一4

ラストイヤーは最上級生として後輩を支えつつ、“青木太一”というキャラクターを生かしてチームを盛り上げ、流れを変えられる選手を目指した(左が青木、写真は本人提供)

今回の連載「私の4years.」は、筑波大学を卒業後、バスケットボール・Bリーグの熊本ヴォルターズ、そして2019-20シーズンは東京サンレーヴスでプレーした青木太一(24)です。日本初のBリーガー YouTuberとしても活動しています。5回連載の4回目は筑波大4年目についてです。

試合に出られない歯がゆさ、でもバスケを楽しんでこそ 元筑波大バスケ部・青木太一3

ラストイヤー、“青木太一”らしさを生かして

4年生春の関東大学選手権大会は、筑波大の2大エースで3年生の牧隼利選手(現・琉球ゴールデンキングス)と増田啓介選手(現・川崎ブレイブサンダース)の力もあり、優勝できました。1~3年生の時、私はほとんど試合に出られませんでした。ですがそんな私は後輩を支える意味でも、自分だからできること、自分の役割を考えようとしていました。

よく「真面目に頑張る」と言いますが、自分には“真面目”という表現が似合いません。それが似合う4年生の同期がいてくれる中で、自分のポジションは何だろう。“青木太一”というキャラクター、言い換えれば人間性みたいなもので、チームに貢献したらいいんじゃないか。自分がコートに出て活躍すれば流れが変わり、同じプレーでも他の選手の1.5倍ぐらいチームが盛り上げられたらそれでいいんじゃないか。個人の実力で負けるなら、キャラクターを表現できた方が“青木太一”らしくいられる。そんなことを最上級生の時に考えていました。

自分の強みを生かしたプレーを。青木(左)のその気持ちとプレーを、吉田ヘッドコーチ(中央)も評価していた(写真は本人提供)

15分弱のプレーで6点獲得した試合後、ヘッドコーチの吉田健司先生からこんな言葉をいただけました。「太一はポイントでリズムを変えられる選手。今日もまたいい味を出してくれた」と。エースでいたかった自分からやっと身の丈を理解し、やるべきことができるようになった気がしました。

「このままで終わりたくない」

昔からバスケチームには絶対に一人はいるキャラ枠的な存在。私はそれをコートの上だけではなく、Instagramやtwitterで盛んに自分を発信しました。そして、そのキャラクター性を生かしてより自分をブランディングするためにも、ステッカーやTシャツなどのアパレル販売を在学中の4年生秋から始めました。

バスケの実力はもちろんですけど、それとは別の形で今までにはないキャラクターでバスケ界をもっと盛り上げたい。そんな気持ちから活動を始め、自分をプロデュースするようになりました。試合解説のほか、NBAやスニーカーの情報発信、アスリートが着たいアパレル製造販売など、自分が勝てるであろう得意分野で。ノリと勢いのスタートでしたが(笑)。

根本にあったのは「このままで終わりたくない」という気持ち。もちろん、自分自身がもっと目立ちたかったからですけど(笑)。世に知られてこそスポーツ選手としての価値もあると私は思いますし、私は競技以外でも自分を高められる価値は自分で高めていきたいと考えていました。学校で一番面白かった子が、高校を卒業してお笑いの養成所に入る。しかし、TVデビューできる、芸能界で売れる、M-1で優勝できるとは限らない。成功に絶対はありません。ダメなら人と違ったことをしないとならないですよね。私は業種こそ一緒でも少しだけ職種を変え、今までないものにチャレンジしようと思ったわけです。

大学最後の試合も、高校最後と同じく3位決定戦だった(写真は本人提供)

最後のインカレで筑波大は準決勝で秋のリーグ戦の覇者・東海大学とぶつかり、59-75で敗北。学生最後の試合は日本大学との3位決定戦となりました。51-49とリードを保って最終クオーターを迎えるも、日大にリードを奪われてからは怒濤の攻撃を受け、63-76で試合を終えました。

終了のホイッスルを聞いた時、私は天を見上げました。あー、俺の大学バスケこれで終わりか。まだもっとやりたいことがある。できることがある。もっともっとこれからもバスケに携わっていたい。当時はまだ特別指定選手として熊本ヴォルターズへの入団も決定していない時でしたし、まだまだ現在進行形だ、と思っていました。

選手が自己ブランディングする上で注意すべきこと

次回の最終回では、Bリーガーになってから、また「なぜ青木太一が情報発信するか」をお届けする予定ですが、先に現役大学生のみなさまには注意事項をお伝えします。

SNSが普及し、自己ブランディングが簡単にできるようになった近年、選手個人がSNSで収益を得ることも可能です。コロナ禍でも利便性のある無料ECサイト制作サービスを活用し、自身のグッズを販売することで、利益を上げることもできます。しかし、しっかりマーケティングをしておかないと簡単に成功できるものではありません。ブランド化できる付加価値。他選手、アスリートとの差別化。SNSでの撮影費用=先行投資。これらは結構大変で、私も諸先輩方から事業運営のご指導をいただいて今があります。

収益を得るには覚悟がいると思います。誰でも真似をすれば稼げるようになるわけではありません。まず自己の価値を高めなければいけません。そして、SNSでの活動は目立ってしまうため、学業を疎(おろそ)かにしていると周りから後ろ指を指される可能性は高いですからね ! だからこそ、次回の話を少しでもみなさんの参考にしてもらえたらと思っています。

筑波大時代から大学バスケの動画メディア「CSPark」で話題の人に(写真提供:CSPark)

私の4years.

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