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連載: プロが語る4years.

将来性を見込まれて愛知学院大へ、コート上で“迷子”に パナソニック山内晶大2

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愛知学院大学時代、「周りの選手より、全部の技術が劣っていた」と山内(右上)は言うが、仲間のおかげで劣等感は抱かずに済んだ(写真は本人提供)

今回の連載「プロが語る4years.」は、バレーボール男子日本代表としても活躍するミドルブロッカーの山内晶大(26)です。2016年に愛知学院大学卒業後、Vリーグのパナソニックパンサーズに進み、チームの中心選手として戦っています。4回連載の2回目は仲間に支えられながら始まった愛知学院大時代についてです。

監督や仲間の理解の中、少しずつ経験を積んで

大学時代の自分を、山内は笑いながら、実に端的に振り返る。

「迷子ですよ(笑)。コートの中でウロウロしているだけで、あっちこっちバタバタして。パナソニックに入った後も、大学時代の恩師からは『お前、いつもコートの中では戸惑って、迷子だったよな』といまだに言われます」

部員数も少なく、初心者だった自分も個別練習で基本技術を覚え、長身を武器にできた高校時代と違い、大学になればまた一気にレベルも上がった。山内は「周りの選手より、全部の技術が劣っていた」とやや自虐的に振り返る。それでも劣等感を持たずに済んだのは、例え経験や技術で劣ろうとも、それも一つの個性として受け入れてくれた愛知学院大バレーボール部の雰囲気、植田和次監督や先輩たち、同期に恵まれたからと言う。

「国体の愛知選抜で一緒だった選手も同期に2人いたので、それもありがたかったですが、監督から周りに、僕が高校からバレーを始めたことやまだまだできないことが多いことをうまく伝えてもらっていました。だから先輩も僕が初心者同然だと知っていたので、できなくても当たり前と、イチから色々なことを教えてもらいました。植田監督もできないからと怒ることはなかったし、ゆっくり僕のペースに合わせた指導をしてくれました。おかげで急激に練習がきつくなってついていけないとか、体が痛くて動けないということはなかった。もし、もっとレベルの高い場所、関西1部とか関東1部の名門校にいっていたら、ついていくことすらできず、とっくにやめていたと思います」

Vリーグの複数のチームから練習生として誘われ

声をかけてもらった時から高く評価された、将来性と高身長。技術や経験は後からついてくればいいとばかりに、大学に入学して間もなく、試合出場の機会を得た。もちろん試合になれば、練習よりも強度は増す。相手の攻撃や守備のパターン、ローテーションの組み合わせや状況によって動きが変わり、判断力も求められ、臨機応変に動かなければならない。当然ながら、当時の山内にそこまでの力はない。ゆえにどこへどう動いていいのか分からず、結果的に「コートで迷子」になっていた。しかし与えられたチャンスは、さらに大きな転機へとつながっていく。

「コートで迷子」になりながらも、山内(中央列の前から2人目)は試合を重ねる中で少しずつ力をつけていった(写真は本人提供)

2013年、大学2年生の夏。 西日本インカレを終え、前期の試験を終えるときたる秋季リーグに向け、大学生同士の練習試合に留まらず、Vリーグのチームをめぐる強化合宿の期間がやってくる。

バレーを生業とするVリーグの選手たちとの練習試合という実戦形式を重ねることで、秋季リーグに向け、チームの戦力を強化するのが目的だ。その最中、山内だけチーム全体とは別に、複数のチームから「練習生として参加しないか」と声がかかった。そもそも「練習生」とは何かも意味が分からなかったが、監督から「いってみないか」と言われたら、断る理由はない。

発熱で強制送還、その先に待っていた驚きの事態

身長2mを超える競技経験の選手が持つ可能性はいかほどか。Vリーグのチームにとっては今後のスカウトも含め、実際に見てみたいという思惑があった。山内にとっても、大学で重ねる経験とはまた違う、さらに一段上の経験が加えられる。双方にとってプラス要素が含まれる「練習生」ではあったが、不慣れな環境での気疲れからか、5日間の合宿終盤に発熱。当初の予定より急きょ変更を余儀なくされ、愛知へ戻る。

当時の山内の心情は「何もできなかった」。練習生と言っても、少し加わるぐらいで成果が残せたわけではない。それどころか熱が出て、最後まで参加すらできなかったのだから、アピールにもならない。それでも大学3、4年生で活躍すれば、自分もVリーグのチームから声をかけてもらえるような選手になれるだろうか。それまでは考えもしなかった将来を漠然と描き始めた矢先、考えもしなかった事態が訪れた。

14年、大学3年生の春。「日本代表候補に呼ばれたから。合宿へ行ってこい」

植田監督からそう言われても、まったくピンとこない。日本代表? 誰が? 自分? 頭の中にはいくつものハテナマークが飛び交うばかり。劇的に変わっていく現状を受け止められなかったが、合宿の日はやってくる。どうなるんだろう。どうすればいいんだろう。ワクワクや楽しみなど少しもない。ただ不安だけを抱き、山内は東京へ向かった。

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