新しい実業団の監督の話、聞かせてください！　西村菜那子×八木勇樹対談（下）

• ＃NGT48西村菜那子の大学陸上ココに注目!!!!
• ＃早稲田大学

「駅伝に詳しすぎるアイドル」NGT48の西村菜那子さんと、早稲田大学競走部出身でYAGI PROJECT代表の八木勇樹さん（31）の対談企画。後編では、八木さんから西村さんへのアドバイス、そして八木さんが来春から始動する新しい実業団の監督を務めることについても伺いました。

西村菜那子、ついに走る？

西村：「駅伝好き、駅伝に詳しいアイドル」として注目されるのはすごくありがたいんですが、「好きなだけで、陸上をやったことがない人が色々書かないでほしい」と言われたりすることもあるんです。

八木：結局、陸上を盛り上げてくれるのって、ほとんどが経験者じゃない方だと思ってます。たぶんそれって嫉妬っていう気持ちもあるだろうし、言われているうちが花ですよ。熱狂的なファンがいるっていうことはアンチもいます。でも熱狂的なファンが1割でもいれば前に進める。そのあたりは自信を持っていいし、もっとめちゃくちゃ楽しんでやっていいと思います。

西村：楽しんでいいんですね！　なんか、頑張っていこうって思えました。色々考えて他の方の記事を読んだり、記録会にできるだけ足を運んだりとかして……それでもやっぱり厳しい声もあったりするので、私なんかが入らないほうがいいのかなと思っちゃうこともあるんですよ。

八木：逆に、勉強しないほうがいいんじゃないですか。

西村：というと？

八木：詳しい方って、ある程度もう流れとかがわかっているから、質問が高度になるんです。でも見ている人が本当に知りたいのは、「1区って緊張するんですか？」とか、「なんであのタイミングで前に出たんですか？」とか素朴な疑問だと思うんです。

西村：たしかに！　自分が知りたいことを聞けばいいんですね。ファン目線でもいいんだ。

八木：「詳しく知りたい」という熱量よりも、「多くの人に知ってもらいたい」っていう熱量のほうが伝わりやすいというのはあって。僕が現役のときも、質問を受けててそう感じることが多かったです。あとは、1回走ってみたらいいんじゃないですか？　5kmでもいいのでレースにエントリーして、そのためにトレーニングして走ってみたら、多少なりとも「走っている人」のメンタルがわかるかもしれないですよ。ランニングの楽しみ方って本当に幅広くて、トレーニングひとつでもパフォーマンスが変わったりします。あ、ちなみにうちのジムは11月末に目黒店もオープンしたので、よければぜひ（笑）。

西村：うまいですね（笑）。本当に今の連載は、自分が思ってること、考えていることを書いているだけなんです。自分で体験したり、実際に練習を見に行ったりもっとしてみたいですね。

八木：さっきも言いましたけど、やっぱり自分にしかできないこと、やりたいことを人生の中でやっていこう、っていう気持ちが大切なんじゃないかなと。

西村：それで言うと、私は女子選手のことを取り上げるようになってから、選手の方から「女子の駅伝を取り上げてくれる人がいないからすごく嬉しいです」ってたくさんコメントをいただいたんです。究極的にはやっぱり、選手に喜んでもらえるのが嬉しいし、自分も楽しいなって。陸上ファンの方にも「こういうアイドルがいるんだな」って知ってもらいながら、自分の嬉しいことと照らし合わせつつ続けていけたらなって思ってます。

八木：女子の大会ってどうしても箱根駅伝とかに比べると注目度が低くなっちゃいますよね。でも選手たちは大会に向けて懸命にやっているので、積極的に取り上げてほしいなって思います。そこから世界に出ていく選手がいたら、もっと注目されますよね。女子といえば、4月から世界を目指す女子選手のサポートも開始します。あとは男子実業団チームの監督としてニューイヤー駅伝を目指すことになったので、今スカウト活動にも行ったりしているところです。

八木さん、来年から実業団チームの監督に！

西村：そう！！！　それを今日絶対聞こうと思ってたんです！　そのチームめちゃくちゃ楽しみなんですよ。どこかに情報がないかなって、すごく調べちゃいました。

八木：強い選手も入ってきてくれる予定なので、僕も楽しみです。

西村：素朴な疑問なんですが、スカウトってどうやるんですか？

八木：それ、僕も最初思ったんです（笑）。まずは学校に行って、監督にご挨拶して選手の情報を聞いて、実際に練習を見させていただいたりします。

西村：誘ってすぐ決まるものなんですか？

八木：何回か選手と話をさせてもらうこともあれば、一回で決まることもありますね。このチームに関しては求めている人材は明確なんです。

西村：求めている人材？

八木：僕の会社には池本愛というマラソンで活躍を目指す女子選手と、森谷公亮という今年の全日本実業団800mで2位と中距離で活躍している選手の2人がいます。しかし、今回の実業団チームは弊社ではなく、「アーシャルデザイン」というアスリートのセカンドキャリアを支援する事業に取り組んでいる会社が創設します。なので新しいチームでも、ビジネスもしっかりやりながら競技者としても両立する、ということに重きを置いていて。その思いが合致したら話が早く進んでいきますね。具体的には、エンジニアとしてのスキルを勉強してもらい、仕事でも競技でも成長を目指します。長距離をやっている人って、実は目標が決まっていることにコツコツと取り組んでいくことが得意なので、エンジニアが向いているんですよ。

西村：パソコンができなくても1から教えてくれるんですよね。私もちょっとその会社行きたいなって思いましたもん（笑）。でもニューイヤーへの挑戦楽しみですね！

八木：最近はどんどんレベルが上がってきてて、難しいところもあると思いますが、監督業をやるからにはきっちり結果を出していきたいですね。

実業団の新しい形を作りたい

西村：選手のどういうところを見る、っていうのはあるんですか？

八木：競技力というよりは、どちらかというと選手の思いを聞いてますね。例えば今走れていなくても、それを自分なりに分析できてる子だったら、僕自身がさらにコーチングのスキルを身につけて、その子の引き出しの数を増やしてあげたいなと思います。それができれば伸びるチャンスがあるので、今あまり強くなくても思いを聞きたいですね。後は「今後この選手はきそう！」っていう選手がいたら教えてほしいですよ（笑）。

西村：それでいうと、麗澤大学3年の椎野修羅選手（愛知黎明）とか！　以前麗澤大に取材に行かせていただいた時に、「走ってるのが大好き！」っていうのが伝わってきたんです。華があるっていうか、人を惹きつける魅力がある選手だと思います。

八木：それってすごい重要です！　「腕振りがどう」とか「体幹がどう」とかじゃない、直感で「いい」「応援したい」っていうところ、西村さんは大事にしていってほしいと思います。

西村：どんなチームになりそうですか？

八木：まだ実体がないので、イメージがわきにくいところもあると思いますが……来年始動したら僕のジムやランニングチームに通っている一般の方のランニング練習とかもあるので、そういうところからファンを増やしていきたいなって思ってます。実業団の新しい形を作りたいし、僕が競技者として目指せなかった「その先の道」を見せてくれる選手が現れてくれたらな、って思います。

どうせ過ごすなら「楽しく」！

西村：本当に八木さんの前向きな意識がすごいなって思うんですが……私は行き詰まったらけっこう、テンションが下がっちゃうほうなので。

八木：僕とは違って、芸能界ってたぶんもっと大変なことやストレスもあるんだろうなって思います。ひとつ言えるとしたら、僕がいつも思ってるのは「同じ時間を過ごすとしたら、精一杯楽しまないと損」ってことです。学生時代からけっこうそれは思ってて、例えば合宿中のOBの方との会食も、疲れてほとんどしゃべらない選手もいるんですよ。でも僕はその時間を有意義にしたいし、OBの方が来てよかったなと思って帰ってもらわないと、ただ無意味な時間になっちゃうなって。そういう経験は今、お客さんに対して精一杯サポートしようというところにもつながっていて、役に立ってるなって思います。

西村：どうせ過ごすなら、ですね。

八木：そうですよ！

西村：本当に、今日は人生相談まで……ありがとうございました！

八木：いえいえ、というかこんな話で良かったんですかね？　あ、西村さん、今度ケニア行きませんか？

西村：えー！　行かないですよ！

八木：アイドルがケニアに行ったらすごいですよ！　ブランディング最高ですよ（笑）。治安もいいし、ケニア日記書いて。アクセスもめっちゃきますよ。

西村：治安いいんですか？

八木：特に僕らがいるところはいいですね。ご飯も美味しいし、将来的に住みたいって思ってます。標高2400mぐらいのイテンというところなんですが、神野大地選手（セルソース）なんかも練習に来たりして。世界的なランナーも拠点にしてます。後は、走り始めて1週間の現地の人がめちゃくちゃ速かったりとか。

西村：なんかそれ聞いてたら、ちょっと行きたくなっちゃいますね。4years.で「西村菜那子のケニア日記」書こうかな（笑）。

八木：ぜひ事務所通して、ケニアツアーを実現してください。

西村：まさかケニアに行く話になるとは思わなかった（笑）。ありがとうございました！