陸上・駅伝

連載:M高史の駅伝まるかじり

拓殖大学女子陸上部 杜の都では20秒差で逃した入賞、いざ富士山女子駅伝へ!

拓殖大学女子陸上部は今年の杜の都駅伝では9位。富士山女子駅伝では8位以内を目指しています(撮影、提供の記載がない写真はすべて写真提供:拓殖大学女子陸上部)

今回の「M高史の駅伝まるかじり」は拓殖大学女子陸上部(正式名称・拓殖大学陸上競技部女子チーム)のお話です。2016年に発足し、一昨年は初めて杜の都駅伝(全日本大学女子駅伝)に、昨年は杜の都駅伝と富士山女子駅伝(全日本大学女子選抜駅伝)に出場を果たしました。

全学年がそろい、8位入賞とシード権獲得を目標に掲げて挑んだ今年の杜の都駅伝では惜しくも9位。8位とは20秒差の僅差でした。12月30日の富士山女子駅伝を間近に控えた部員の皆さんを取材しました。

箱根駅伝経験者の五十嵐利治監督が指導

指導されているのは五十嵐利治監督。正則学園高校で全国高校駅伝(都大路)出場、亜細亜大学で箱根駅伝を走り、その後、実業団の女子チームでのコーチ経験を経て、2016年に拓殖大学女子陸上部コーチ、2019年より陸上競技部監督に就任しました。

就任1年目は選手が1人。「就任してから手作り、ゼロからのスタートでした。責任もついてまわりますが、自分のカラーを作れる。頑張れば頑張っただけ選手が結果を出してくれるというやりがいがありますね!」と就任当初を振り返りました。

五十嵐利治監督。ご自身は都大路、箱根駅伝に出場し、実業団女子チームのコーチも経験されてきました(写真提供:拓殖大学広報部)

そして今年「初めてしっかりと4学年揃いましたね。学年が全部揃い、それぞれの学年の役割があって、初めてしっかりと形としてできた中での駅伝でした。今まで最上級生が4年生じゃなかったので、そのまま来年もその戦力で行けるいい面もありましたが(笑)」

1年生から主将を務め、エースとしてチームを引っ張ってきた佐野英里佳選手(4年・八千代松陰)については「佐野の存在は後輩たちにとっても大きいです。今年のチームにかける強いものがありました」

400m全天候型トラックとクロカンコースが完成!

また、練習環境についても昨年までは土のグラウンドだったため、整備が大変でした。「夏は砂埃、秋は雑草。また雨、雪だとグラウンドが使えないので練習場所やメニューの変更が余儀なくされました。ただ、その中でも大事なのは与えられた環境で何ができるかということでした」。選手の皆さんもできる環境でコツコツ練習に取り組み、杜の都駅伝や富士山女子駅伝出場という結果につなげていきました。

全天候型の400mトラック、1周500mのクロカンコースが完成しました!写真は山下花音選手(1年、佐賀清和)(撮影:M高史)

そして今年、400m全天候型のトラックが完成。トラックの周りには起伏もある1周500mのクロスカントリーコースができました。「雨でも予定通り練習ができるようになったことは大きいですね」と話される五十嵐監督。起伏のあるクロカンコースもできたことで、練習のバリエーションも増えました。

8位入賞まであと1歩と迫った杜の都

8位入賞、シード権獲得を掲げて挑んだ杜の都では9位。8位とは20秒差でした。昨年、一昨年は20位、22位だったことから「周りからは惜しかったね、頑張ったねと言われましたが、悔しかったですね」と率直に口にされます。「1人あたり4秒の差を来年に向けてどう縮めていくかですね。富士山女子駅伝では確実に8位入賞を目指しています。チームの目標である来年以降チームが優勝を狙う中で9位というのはある意味よかったかもしれません。簡単に8位に入るよりも、自分たちの甘さに気づけた。甘くないんだというのを認識できたのは大きいですね」。五十嵐監督はこの結果を前向きにとらえています。

今年完成した人工芝のフィールドにて動き作りを行う選手の皆さん(撮影:M高史)

今年はコロナ禍で集まって練習できない期間もありましたが「各自、家に帰って生活や練習をしました。集まっていなくても、『強くなりたい』という気持ちがなければ結果が出ない。本当の意味で試される時期でしたが、選手たちが自覚を持って個人個人でできる練習を積んできたことで、基礎的な部分をしっかりやってくれて自粛明けの練習に入っていけました。自分の意志で個人練習できるチームだったからこそ 大きく順位を上げることができたと思います」とそれぞれの環境で現状打破してきた選手たちの自主性、覚悟を高く評価されています。

富士山女子駅伝に向けては「誰がどこを走ってもいい状態ですね。昨年よりも格段に層が厚く、初出場のときは6人しかいなくてギリギリで走った杜の都で今年は初めて誰を外すか悩みましたからね」

中でも注目は勢いのある1年生たち。「1人1人が優勝を目指してやっていこうという気持ちが伝わってきます。今までに感じたことがない雰囲気です。なんとしてでも強くなりたいという気持ちが伝わってくるんですよ。練習も真面目で負けず嫌い。悔しい気持ちを全面に出してくれるので今の1年生が上級生になったときに面白いチームになりますね!」

今後が楽しみと話す五十嵐監督からは選手・チームへの情熱が伝わってきます。

4年間キャプテンでエース・佐野選手

選手の皆さんにもお話をうかがいました。まずは、4年生キャプテンとしてエースとしてチームを引っ張り続けてきた佐野英里佳選手(4年・八千代松陰)。

高校時代の自己ベストは3000m9分41秒。「全然でした」と語る佐野選手ですが、拓大入学後に力をつけ、1年生からキャプテンでエースとしてチームを引っ張ってきました。

「最初は人数が少なくて、駅伝も人数がギリギリでした。今年は駅伝メンバーに入りたくても入れないくらい、チームの層が厚くなりましたね」。4年間で特に嬉しかったのは「1年生の時に日本インカレの標準タイムを突破したこと」、「2年生の時に杜の都駅伝に初めて行けた時のこと」だそうです。

入学時から4年間キャプテンを務めてきた佐野英里佳選手。写真は今年の全日本大学女子駅伝

2年生の富士山女子駅伝では全日本大学選抜チームの1区を任され区間賞を獲得。自分でも驚きの区間賞だったそうです。翌年、3年生で迎えた富士山女子駅伝では拓殖大学のチームとして初出場し、1区区間2位。2年連続1区で好走しました。

今年はコロナ禍で思うようにいかないシーズンでしたが、実業団の合宿に行く機会があり心境にも変化が現れました。「今までと違う考え方になり、気持ちも吹っ切れました。試合を見据えてある程度余裕を持って練習しなきゃいけないとか、いい状態を維持しなきゃという気持ちが大きかったですが、苦しんでぐちゃぐちゃになってタレる時期もあっていいんだなと。思いきりがある考え方、違う考え方を知れたのは大きかったです」といいきっかけになりました。

「杜の都駅伝、初出場のときは出られる嬉しさでしたが、今年は戦うこと、入賞圏内を目指そうと思って挑みました。入賞まで20秒差の9位でしたが、全員が全員出し切れたと思います。むしろ9番で終わったから気持ちをゆるめることなく富士山に挑めると思います。富士山では8位に入りたいです!」とチームの変化とともに目標も高まってきました。

拓大での4年間を振り返ると、「高校でやめる予定だったのですが、拓大に入って人生が変わりました。ここまで集中して陸上をやる予定ではなかったですが(笑)。今では決断してこの道を選んで本当に良かったと思っています」。キャプテンを4年間務めてきたことについて聞くと、「チームの雰囲気を大切にしてきました。拓大女子陸上部の魅力は歴史が浅くてルールはないけど、いい意味で自由にできるのが大きいですね」

五十嵐監督について、「『真面目もいいけど、陸上を楽しむ明るいチームにしたい』と話されています。五十嵐さんのすごいところは言葉にしたらもう行動しているところですね! とにかく行動力がすごいです! あとはすごいポジティブですね(笑)」と教えていただきました。

富士山での快走に期待! ルーキー小谷選手

小谷真波選手(1年、白鵬女子)は春先故障があったものの、夏以降きちんと練習を継続できています。「チームの雰囲気もよくて、キャプテンの佐野さんが引っ張ってくださるんです。背中がかっこいいですし、駅伝も一緒に走りたいです。そして、同級生に負けていられないですね! いい意味で刺激し合っています。チーム内のメンバー争いが熾烈です。練習の1つ1つが大切になってきますね」と、切磋琢磨してお互いに高め合っているいい雰囲気がうかがえます。

5000m16分03秒43の自己記録をもつ1年生の小谷真波選手

「杜の都では個人的には、本来の力を出せなくて悔しい結果(3区・区間16位)でした。自分がいい走りができたらもしかしたら入賞できたのかもしれなかったです。富士山ではチームを勢いづける走りをしたいです」。5000mでは16分03秒43とキャプテン佐野選手に次いでチーム内2番目の自己記録を持つ小谷選手。富士山女子駅伝で快走が期待されます。

「トラックでインカレ表彰台を目指しています。これは監督からも言われていますが、ユニバーシアードでハーフマラソン金メダルを目指しています。高校時代からマラソンが好きで、長ければ長い方が楽しいと感じるので将来的にはマラソンにチャレンジしたいです!」と今後の目標を教えてくれました。また、趣味は「嵐が好きです!」と教えていただきました!

駅伝メンバー入りを目指す梅木選手

梅木優子選手(1年、湘南台)は高校生の時、拓大の練習に参加した時に「楽しそうないい雰囲気で、ここなら4年間続けられそう」と感じ入学を決めます。高校時代は県大会8位が最高で3000m9分58秒と県内でも目立つ成績ではありませんでしたが、拓大入学後に力をつけていきました。

関東予選に出場したものの、杜の都では補欠にまわった梅木優子選手(湘南台)。富士山女子駅伝ではメンバー入りを目指しています

菅平での夏合宿、標高が高く「全然走れなくて、自信をなくしていたのですが、合宿を終えて戻ってきたら走れるようになりました」と夏の成果が秋以降に現れます。日体大長距離競技会では5000m16分44秒23の自己ベストをマーク。関東予選には出場したものの、杜の都駅伝は補欠にまわりました。「本当は自分が走りたかったという思いと、チームの目標であるシード権獲得のためチームのみんなが目標に向かって頑張れるようにサポートしました」

富士山女子駅伝は7区間で、杜の都駅伝よりも1区間増えるということで「次こそは走りたいですね!」。今後の目標は「トラックでも駅伝でもチームに貢献できる選手になりたいです!」という梅木選手。最近は「NiziUにハマっています!テレビで応援しています!」と話してくれました。

土井選手、富士山女子駅伝では区間賞を!

土井菜摘選手(1年、市立船橋)はチームの雰囲気が良くて、好きなデザインの勉強もできるということで拓大に進みました。

工学部デザイン学科で学びながら競技に取り組む1年生の土井菜摘選手(市立船橋)

5000mのベストも更新(16分42秒56)し、調子も上がってきました。「杜の都駅伝は初の全国の舞台、感謝の気持ちでいっぱいで走りました。自分自身で立てた目標は達成でき、少しはチームに貢献できたのではないかと思います。走っていて楽しかったですね」。4区区間8位でチームの順位を3つ上げる走りでした。

「富士山女子駅伝では区間賞を狙っていきます。チームとしては8位以内! 全日本での悔しさを晴らしたいですね!」とさらに高みを目指します。

今後の目標については「日本インカレの5000m入賞」「都道府県対抗女子駅伝に出場し千葉県チームに貢献すること」という土井選手。アニメが好きで、観るのも模写も好きだそうです。キャラクターを描くのが得意です。工学部デザイン学科で競技も勉強も両立しています。

チーム一丸となって富士山女子駅伝に挑みます!

いよいよ、12月30日に迫った富士山女子駅伝。前回は3区までに主力メンバーを配置して3区終了時では4位と大健闘も、結果的には19位という成績でしたが、選手層の厚みが格段に増した今大会は目標の8位以内も現実味を帯びてきています。

拓殖大学女子陸上部、鮮やかなオレンジ色の襷(たすき)リレーに注目です!

M高史の駅伝まるかじり

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