日大・若林行宗主将、15年ぶり優勝を支えた気配りの鬼「狙われる立場もうまく使う」
皆さんこんにちは! 宇宙人イチ大学バスケを愛する(自称)宇宙人、カルロスです。スプリングトーナメント2021が終わりましたね! 本当に面白い試合ばっかりでした。カルロスも試合解説をさせていただいたんですけど、終始興奮しっぱなしで会場でチャンゴチュム(韓国伝統舞踊)を踊っていました。
今回は15年ぶりに春のトーナメントを制した、日本大学について書かせていただきやす! ノリにノった勢いで決勝まで進み、インカレ王者・東海大学を破ったその強さの秘密とは? カルロス的考察になりますが、そこに迫っていきたいと思います……。
ネクストコ◯ンズヒーント! 「キャ・プ・テ・ン」
ノリノリの日本大学は止まらない
今大会、破竹の勢いで決勝まで進んだ日本大学。BEST8を決める東洋大学との試合、第1クオーター(Q)こそは競り合う展開でしたが、第2Qで突き放して勝利。強豪・白鷗大学との次戦でも第2Qで点差をつけ、勝負を決めました。準決勝、同じく勢いに乗る日本体育大学との大勝負も我慢を続け、第3Qで点差をつけました。決勝までの試合ではかなりの点差をつけて勝利しています。
マジでノった時の日本大学は止まりませんでしたが、勢いに乗る前には必ず我慢の時間帯がありました。その時間帯で声を掛け合い、ハードにディフェンスをし、チームで戦っていました。決勝戦でもその強さが出たと思います。序盤は東海大学にリードをつける展開、追い上げられた時間帯は我慢。最後は4点差というギリギリの勝負を制して優勝! 61-57というロースコアゲームでしたが、局面局面が面白く、見応えのある決勝だったと思います。
ノリノリで戦いつつ、熱い一面もある。そんな日本大学を見ていて、楽しい・面白いと感じた方もいたかと思います!
新生・日本大学
近年の日本大学は強力なシューターや能力のある選手を擁するチームでしたが、今シーズンはTHE・エースというプレーヤーがいなく、全員で戦うチームとなっていました。これは日本大学の選手もインタビューで言っていました。確かに……確かに! 米須玲音選手(東山)とコンゴローデイビット選手(報徳学園)、2人のスーパールーキーが加入したことは、チームにとってメチャクチャ大きなことですが。
米須選手がポイントガードとしてボールを回し、チームのリズムを良くする。ベスト5に選ばれた野口佑真選手(2年、県立川内)はめちゃくちゃ走れる選手なので、ブレイクも新しい武器になったと思います。そしてルーキーながらベスト5・得点王・リバウンド王を受賞した怪物・コンゴロー選手も、インサイドで無敵の強さを発揮しました。
米須選手とコンゴロー選手がうまくチームにマッチし、日本大学の勢いを生み出すきっかけとなったことは確か。しかし、能力のある1年生が入っただけで勝てる大学バスケではないとカルロスは思います! そんなチームをまとめ、新生・日本大学のカラーを作り上げた礎は何か……。
そう、何を隠そうキャプテンの存在です! 彼の名は、“THE・キャプテン”若林行宗(4年、日大豊山)です。上司にしたい大学バスケ選手ランキング(カルロス調べ)でもかなりの人気を誇る男でもあります。
若林選手は控えから出場する選手ですが、ベンチにいる時はコートに向けて声をかけ続け、コートに立った時はメンバーの気持ちを緩めないように振る舞う。リードを広げての相手タイムアウトの時でも、「まだだぞ! ここだぞ!」とチームに声をかけていました。カルロスが覚えているのは、BEST4を決めた白鷗大戦後。喜びが爆発するチームメートに対して「明日だぞ! 明日!」と檄(げき)を飛ばしていました。ん~! キャプテン!!
チームをまとめる立場でありながら“ばやしさん”とメンバーから親しまれる人間性。決勝では4点差の大事な場面でバスカンスリー(3Pを決めてバスケットカウントを得ること)を沈め、チームを盛り上げました。その時のベンチの盛り上がり方といったら……涙が出てくるぜ。
大エースというわけではなく、正直、試合を見ていてもスーパーリーダー!みたいな印象も受けづらいかもしれませんが、日本大学の躍進の裏には若林選手の活躍があったと思います。
優勝を決めた後、若林選手とお話する機会がありました。もうめちゃくちゃ熱くてね、摂氏を測り切れませんでしたよ。ぜひ皆さんに伝えたいと思ったので、インタビュー形式でお届けしたいと思います。ご賞味あれ!
主力じゃない選手が発言する機会を多くしたくて
――大会を終えた感想は?
ばやし 大会を通じて流れが悪い時が結構あった。東洋大戦とか前半でゴタついたところがちょっとあって……。いつもの日大だったらトントンでいって最後ちょっと勝ち切るみたいな。2年前のトーナメントの駒澤大戦とか、あんな感じになっていたと思うんですけど、あそこで1回、タイムアウトを取って、ちゃんと話し合って立て直して点差を開けたっていうのは良かったです。そういうところは練習からすぐにハドルを組んだり、困ったことは話したりとやっていたので、成果として出たのは良かった。飯尾(文哉、3年、洛南)や米須が中心になって声がけをしてくれました。
――米須選手もインタビューで「チームバスケをやってきた」と言っていたんですけど、練習からどんどん言ってくれるんですか?
ばやし 自分たちから聞いたりすると結構言ってくれますね。
――後輩が言いやすいみたいな環境作りも意識していたんですか?
ばやし 結構意識していて。下級生など4年生以外、主力じゃない選手が発言する機会を多くしたくて。一緒に練習をしているので感じることはあると思うので、それを言ってほしいと思いました。特に何をしたってわけじゃないんですけど、自分から話を振ったり、練習を一回止めて話し合う時間を取ったのは意識していたとこではあると思います。
いや気配りがすんごい! 気配りの鬼! 気配りとはこのコラムのために生まれた言葉か! すみません、続けます。
最後の笛が鳴るまで油断を絶対しない
――経験のある強力な下級生がいて、チーム作りの面で意識していたことは?
ばやし どこのチームもあると思うんですけど、練習終わりのミーティングで話をする時に話を振ったりするんです。話を振られただけだとスッと出てこないと思うので、練習前に個人的に下級生とかに「今日話を振るかもしれないから準備しておいて」と言ったりして。そうしたら考えてくれるので。
――決勝でばやしくんのシュートが当たっていましたが、めちゃくちゃ喜んでる感じではなかったですよね。
ばやし 自分の気持ち的には、喜ぶっていうよりかは最後の笛が鳴るまで油断を絶対しないように、一喜一憂しないようにしていました。自分が喜んじゃうとそういうのが伝わっちゃうかなと思ったんで。
――熱いキャプテンと聞きましたが、ばやしくんの中でキャプテン像みたいなものはありますか?
ばやし いろんな人が話せる、思ったことを言える環境が大事だなと思っています。同級生の原大晴(4年、東京)と話したんですけど、会社に入ってからも組織としてそういうのが大事かなと思って。ガチガチのリーダーっていうよりは、みんなと話したりするのは意識していました。
――ありがとうございます! リーグ戦への意気込みをお願いします。
ばやし 喜ぶところは喜んで、自信をつけるところはつけるべきだとは思っていて。変に自信をつけすぎると足元をすくわれると思うので、もう一回ここでチームが始まった時みたいに、練習や私生活から見直して気を引き締めたい。狙われる立場もうまく使えばもっといい方向にいくと思うので、もう一回締めて頑張っていきたいと思います!
もう上司にしたいよ……。若林エリアマネージャー!!
ちなみに、これはカルロスが勝手に思っていることですが……今大会MVPを受賞した飯尾選手は下級生の頃からプレータイムも長く、チームに勢いを持ってくる選手です。パフォーマンスを見ていると、お祭り男感を感じるプレーヤーです。飯尾選手含め、他の能力ある選手たちが安心してノリノリでいられるのも、若林選手が要所でシッカリとチームをまとめてくれるからなんじゃないかなと、チームを見ていて思いました。
強いチームには強いキャプテンがいます。改めて日本大学優勝おめでとうございました!
今シーズンの大学バスケはまだまだ始まったばかり。リーグ戦やインカレは、また違うチームが出てくる可能性も大大大です! もう楽しみですね。大学バスケを余すことなくみんなで楽しんでいきましょう。そういえば次回のコラムで20回だな……。