西村菜那子の個人的箱根駅伝MVPを発表! 往路は溜池一太選手、復路は岸本大紀選手
皆さんこんにちは!
第99回箱根駅伝が1月2、3日に開催され、往路、復路ともに駒澤大学が優勝を果たしました。4区の鈴木芽吹選手(3年、佐久長聖)で先頭に立つと、そのまま一度もトップを譲らず、圧巻の勝利となりました。
2位を走る青山学院大学の太田蒼生選手(2年、大牟田)とはわずか1秒差で小田原中継所での襷(たすき)リレーとなりましたが、この1秒でも、先頭を譲らなかった鈴木選手の魂の走りが優勝につながったように感じます。
総合力でずば抜けていた駒澤大学
駒澤大学は1区から10区まで全員が区間5位以内。総合力という観点でも、ずば抜けた強さを見せていました。箱根駅伝はやはり、全選手がきっちりと走り、大崩れしないことがとても大事であると実感しました。
それでいうと5区と6区を担当した山川拓馬選手(上伊那農)と伊藤蒼唯選手(出雲工)の1年生コンビも、活躍を見せつけたかなと思います。
箱根駅伝は距離も長く、展開が読みにくいため、下級生よりも経験豊富な4年生が活躍している印象がありますが、こちらの1年生コンビは特殊区間の5区と6区を任されながらも、物おじすることなく、果敢に攻めていき、山川選手は区間4位、伊藤選手は区間賞と、堂々の結果を残しました。
彼ら2人の強いメンタルと本番での強さに、これからの駒澤大学がさらに楽しみになりました。
これにて駒澤大学は今年度の3大駅伝「三冠」を達成し、さらに指導29年目の大八木弘明監督が、レース後の記者会見で今年度での退任を発表しました。監督最後の1年で三冠を達成なんて、大八木監督への最高の餞(はなむけ)は、見ているこちらにも胸に込み上げてくるものがありました。
大会MVPはヴィンセント選手だけど……
大会MVPには、4区で区間新記録を打ち立てた東京国際大学のイェゴン・ヴィンセント選手(4年、チェビルベレク)が選ばれました。
8人を抜き、従来の区間記録を30秒更新。とてつもないスピードにも関わらず、本人の走りを見てみるとジョギングのような軽やかさで余裕のある走りでした。レース直後もあまり疲れた様子はなく、彼のスタミナは一体どうなっているのかとテレビ越しにびっくりしてしまいました(笑)
2区3区に続き、これで三つ目の区間記録を更新となり、最強留学生の箱根駅伝は幕を下ろしました。
個人的な往路MVPは、中央大学の溜池一太選手(1年、洛南)です。
今年は総合2位、22年ぶりに表彰台に返り咲き、大躍進を果たした中央大学ですが、溜池選手の区間4位がかなり大きく影響していたと思います。
今年の1区は関東学生連合の新田颯選手(育英大4年、千原台)が序盤で飛び出し、独走しました。ついていく選手はいなく、第2集団はかなりの牽制(けんせい)状態。どの選手がいつ新田選手との差を埋めるのか、どこで仕掛けるか、様々な心理戦があった中で、1年生ながらも冷静に自分のレースに徹し、ラストはしっかりスピードを上げて区間4位に入りました。
続く2区にエースの吉居大和選手(3年、仙台育英)が、駒澤大学の田澤廉選手(4年、青森山田)と青山学院大学の近藤幸太郎選手(4年、豊川工)による激しい三つどもえを制し、見事に区間賞を獲得しましたが、この吉居選手の好走にはおそらく溜池選手が4位という好成績で襷リレーをしてくれたことが、かなり効いているのではないかと思います。
館澤選手も当時「とんでもない1年生が……」
復路での個人的MVPは、青山学院大学の岸本大紀選手(4年、三条)です。6区でアクシデントがあり、一時は8位まで沈む厳しい展開になった中で、エースの岸本選手は王者としてのプライドを走りで証明してくれました。
8位で受け取った襷を40秒ほど先を走る3位集団に追いつくと、あっさりと8キロ過ぎで集団を置いていき、なんと3位に浮上。優勝争いだけでなく、トップ3も危うかった状況で4年生らしい頼もしい走りを披露し、表彰台を手繰り寄せました。
岸本選手といえば、1年生で出場した箱根駅伝で2区を走ったときが、皆さんの印象にも強く残っているかと思います。
当時は館澤亨次選手(DeNAアスレティックスエリート)や鬼塚翔太選手(makes)を擁する東海大学「黄金世代」が4年生だった年で、世間の多くが、「まあ普通に走れば東海大学が優勝するであろう」と予想していました。
実際に先日館澤選手から聞いた話でも、「ライバルだった青学さんの2区が1年生の岸本くんだと知った時、これは確実に東海が勝てると思った」とのことでした。
しかしふたを開けてみると、岸本選手は1年生らしからぬ堂々とした走りで6人抜きを達成し、まさかまさかの首位に浮上しました。「とんでもない1年生が入ってきたな」と、当時の館澤選手は大変驚いたようです。
あの強烈な箱根デビュー戦から3年。
けがもあり、なかなかうまく走れないシーズンもありましたが、ラストイヤーの9区で区間賞を獲得した岸本選手の背中には、後輩たちが憧れる「岸本先生」の姿がありました。
今後の駅伝大会も盛り上がっていきましょう!
今年の箱根駅伝は、本番直前に体調不良になってしまった選手が多くいたり、例年以上に予想が難しい展開となりましたが、苦しい中でも選手の方が持っているすべての力を発揮され、こちらもたくさん心を動かされ、そして沿道での応援が戻ったりとたくさん楽しませていただきました。
都道府県対抗駅伝など、まだまだ駅伝は続くので、一緒に盛り上がっていけたらうれしいなと思います!