日本大学OBの山下尭哉さん 愛されるチームを目指して、興譲館高校で新たな挑戦!
今週の「M高史の陸上まるかじり」は興譲館高校陸上競技部監督・山下尭哉さんのお話です。拓殖大第一高校で全国高校駅伝に出場。日本大学では箱根駅伝6区を走りました。警視庁、札幌日大高校の教員を経て、昨年4月から駅伝の名門・興譲館高校で監督を務めています。
拓大一高時代に都大路を走り「すごく緊張」
東京都出身の山下尭哉さん。中学まではサッカーをしていました。「中学のロードレース大会では走れていたのですが、中学3年の担任の先生の勧めもあって、高校から陸上を始めました。ただ、高校を選んだきっかけは陸上が強いからというよりも校舎がキレイという理由でした(笑)。たまたま入ったら強い学校でした!」
高校入学後は「通用するかなと思っていたら、入ってくる選手は推薦の選手たちですし、最初は女子選手より遅かったです。私よりも速い選手がたくさんいて、逆にワクワクしたというのが第一印象でした」。コツコツと練習を積み重ね、1年生の東京都高校駅伝では3km区間を任されるまでに成長しました。
高校時代の一番の思い出は、全国高校駅伝出場です。山下さんが3年生になり、東京都高校駅伝で初優勝を飾り、都大路行きを決めたのでした。
「早稲田実業高校とは数秒差の大接戦でした。ギリギリで勝てたのですが、今でも同期と話す時にあの話題は出ますね。特に監督が一番喜んでくれたかなと思います。忘れられないですね」
都大路本番ではエースが集う最長区間の1区(10km)を任されました。「いつもは緊張しないタイプなのですが、初めての全国の舞台でしたし、すごく緊張したのを今でも覚えていますね。思ったような走りはできませんでしたが、結果的にいい経験をさせていただきました」
「陸上を始めて、地道にコツコツ続けることを学びました。当たり前のことを当たり前にできないと結果は出ないと感じました。人間力ですね。監督からも教わることが多かったです」と陸上を始めた頃を振り返られました。
悔しさが残った初めての箱根路
高校卒業後は日本大学へ。「高校の時は自分より速い選手を見てワクワクしていましたが、大学では『この人たちにどうやったら勝てるのか?』と(他の選手たちに)すごさを感じました。下級生の頃は授業も多かったですし、練習もついていくのに必死で、一瞬で時間が過ぎていきました」。入学後は周りのレベルの高さに驚きながらも、箱根駅伝チームエントリーの16人に入れるように必死だった山下さん。15〜16番目を決める学内選考に滑り込み、1年生の時からエントリーメンバーに入ることができました。
そして、3年生の時には箱根駅伝6区山下りを任されました。「都大路も緊張しましたが、箱根は異次元でしたね。沿道からの応援、大声援がすごく印象的でした。もっと大学のために貢献したかったのですが、全くダメでした。走れなかった原因を振り返ると、メンバー入りに全力を出してしまった点ですね。力がなかったので、練習から指導者にアピールしていましたが、本番では調子が合わなかったです。結果的にチームの足を引っ張ってしまいました」。6区で区間20位と思うように走れず、悔しさが残った箱根路となりました。
「4年間で自分の限界値がわかったわけではありませんが、上には上がいることを痛感しました。どうやったらこの先輩に勝てるんだろうと。シビアな世界だなと。全国から集まった先輩や同期と一緒にできたので、非常に良い4年間でした」とチャレンジし続けた4years.となりました。
警視庁・札幌日大を経て、名門の興譲館へ
大学卒業後は警視庁に。「競技は大学までと決めていましたし、人の役に立つ仕事がしたいと思っていました」
その後、保健体育の教員免許を取得し、教員、そして陸上指導者の道へ。最初の赴任校は北海道の札幌日大高校でした。「6年間勤めました。子どもたちが結果を出した時はうれしいですし、課題について一緒に話し合いながら乗り越えられた時にやりがいを感じましたね」
昨年4月、北海道から岡山へ。縁があって、興譲館高校に赴任することになりました。
就任前の段階で24年連続全国高校駅伝(女子)に出場中の名門・興譲館高校。「名前を聞いただけで身が引き締まる思いでした。プレッシャーもありましたが、その中でもワクワクする感覚がありましたし、チャレンジしたいと思いました。指導歴は長くはないですが、それまでの縁やつながりがあり、指導について他校の先生方から学んだものがあります」
就任1年目の岡山県高校駅伝でも優勝を飾り、25年連続となる都大路出場を決めました。指導者としての都大路について「選手で出場した時とはまた違う緊張感がありました。同時に、この都大路の場で指導者として勝ちたいという気持ちも持ちました」。初陣となった昨年末、興譲館高校は28位という成績でした。
日本大学時代の人脈を生かして
また、競技だけはではなく、さまざまな活動にも挑戦し始めています。
関西で大人気の市民ランニングイベント「アマガサキ・タイムトライアル」(通称ATT)に興譲館高校の選手が参加しました。参加ランナーの皆さんにとって現役の興譲館高校の選手と一緒に走れるのはうれしいですよね。その後、選手たちの活躍を見ると「あの時、一緒に走った選手だ!」とより応援したくなります。ちなみにATTの主宰はGRlab代表・外村翼さん。以前、4years.でも取材させていただきました。実は、山下さんと外村さんは日大時代の同級生という縁で実現したのでした。
「市民ランナーの方と競技場で一緒に走れる機会はめったにないので、良い経験をさせていただき感謝の気持ちでいっぱいです。選手もいつもと違う雰囲気でのタイムトライアルで、すがすがしく見えました」。この取り組みはさらにバージョンアップして継続していくそうです。
活動を通じて多くの方から愛されるチームを目指している興譲館高校。山下さんは「今後は全国で勝負できる選手やチーム作りを目指していきたいですし、今までの常識にとらわれずにさまざまなことに挑戦していきたいです!」と岡山に新たな風を吹かせるべく、現状打破し続けています!