会津から全国、そして世界へ「すみれプロジェクト」始動 特別顧問に大八木弘明総監督
今週の「M高史の陸上まるかじり」は、今年4月に福島県の会津で始動した「すみれプロジェクト」のお話です。すみれプロジェクトは安西秀幸さんが代表兼コーチ、角田一昭さんがヘッドコーチ、そして駒澤大学の大八木弘明総監督が特別顧問アドバイザーとなってスタートしました。
陸上競技を始め、続けるための受け皿として
代表の安西秀幸さんは福島県会津若松市出身で駒澤大学のOB。学生時代は主将も務め、箱根駅伝と全日本大学駅伝での優勝に貢献しました。実業団ではニューイヤー駅伝で優勝。さらに監督として、都道府県駅伝で福島県チームの優勝にも導き、まさに「駅伝優勝請負人」です。ちなみに安西さんは駒澤大学でM高史の1学年後輩なのですが、学部や学科だけでなく専攻まで一緒(文学部社会学科社会福祉学専攻)で、よく授業も一緒に受けていました。
ヘッドコーチの角田一昭さんは中学校の教員として長年、生徒の指導をされてきて、会津美里中立高田中学校は全国中学駅伝で準優勝を飾るなど、実績を築かれてきました。
そして会津が誇る名将・大八木監督! 今の肩書は駒澤大学の総監督でいらっしゃいますが、学生時代からの癖でいまだに監督と呼んでしまいますね(笑)。
教員の働き方改革や部活動の地域移行の声により、中学の部活のあり方が変わってきている昨今、陸上競技も始めたり続けたりするための受け皿が求められます。その中で上位の大会を目指す選手もいますし、また中学、高校で一貫した指導を受けることで、目先の結果だけではなく、長いスパンでの成長に向けて取り組むこともできますね。
すみれプロジェクトは中学生が多いですが、高校生も参加しています。そのため、いま中学生の皆さんも、高校に進んだ後、継続して活動することができます。
現在の練習日は週3日。その他は自主練習で、学校の陸上部に入っている選手もいます。今後は日常の練習以外に、合宿やイベントも企画していくそうです。特別顧問・アドバイザーの大八木総監督も行事などで激励に来られたり、アドバイスを送られたりする予定とのことです。
なお「すみれプロジェクト」という名前には、道端でも堅実に力強く咲いているスミレの花を表しているだけでなく、角田ヘッドコーチの娘・菫(すみれ)さんが病気を乗り越えて新しく挑戦することに重ねているという思いも込められています。
初日の練習へ伺ってきました!
4月3日、初日の練習へ伺ってきました。練習場所は会津美里町のふれあいの森スポーツ公園にある400mの土トラックです。
練習時間は2時間。前半の1時間は、ウォーミングアップや動き作り、補強と続きます。入念に丁寧に「走るよりも大切にしています」と安西代表。量を追うだけではなく、体の成長に合わせてじっくりと体作りをしていきます。近年進化しているシューズやスパイクを履きこなしていくために、これまで以上に体作りが大切になってきています。
どんなメニューを行うのかは、事前に動画で共有しています。しっかり予習して、初回から良い動きでできている選手も! 僕も参加させていただきましたが、補強からみっちり追い込んでいて、走るよりもキツかったです。早く走りにいきたいと思うほど丁寧に行いました。
入念なアップ、動き作り、補強の後、400m土トラックでのペース走となりました。降りしきる雨に土のグラウンド。プロジェクト初日の練習としては、過酷なスタートとなりました(笑)。
トラックなのに、まるでクロスカントリーのような中でのトレーニング。それでも地元・会津の選手たちは、冬に雪道を走ることも多く、バランスのとり方が上手でした。うまくバランスをとって推進力につなげていましたね。また、こういう路面でもきっちり走り切ると、バランス、体幹といった身体的な部分はもちろん、メンタルの部分も鍛えられますね!
この日はプロジェクトの初日ということで 地元メディアの方もたくさんいらっしゃって、注目度の高さを感じました。学年や走力に合わせてグループに分かれ、4000mから8000mのペース走。さらに流しを行い、初日の練習は終了となりました。
選手の保護者の皆さんも見守ってくださり、多くの方の応援、サポート、支えがあって、選手は安心して陸上に打ち込める環境だなぁと感じました!
高校生には男女とも注目選手がいます!
すみれプロジェクトには、高校生も参加しています。女子では高校1年生の鈴木菜純選手に注目です。「会津で陸上を続けるときに、大八木総監督をはじめとする会津出身の指導者のもとで、よりよい技術を身につけようと思ったからです」とすみれプロジェクトへの思いをお話ししてくれました。
男子の注目選手は高校3年生の遠藤莉空選手。「長所はスタミナがあるところです。アピールポイントは粘りの走りができるところです。将来の目標は箱根駅伝出場です」とお話ししてくれた遠藤選手。また高校1年生では、大堀哲太選手にも注目です。「弾むような走りがアピールポイントです!」と語る大堀選手。高校時代に5000mで13分台を出すのが目標ということで、男女ともに注目選手がそろっています。
中学、高校と長期的に焦らずじっくりと指導し、育成できるのが強み。会津から全国、そして世界へ。すみれプロジェクトの今後に注目ですね!