青山学院大や名城大も利用する人気合宿地・御嶽で、高地トレーニングを体感しました!
今回の「M高史の陸上まるかじり」は、陸上の合宿で人気の御嶽の話題です。高校、大学、実業団、プロランナーまで集う地を実際に走ってきました。岐阜県高山市と下呂市にまたがる「飛驒御嶽高原高地トレーニングエリア」は、文部科学省が指定するナショナルトレーニングセンター高地トレーニング強化拠点施設にもなっています。
川内優輝選手も合宿!まるで聖地巡礼
御嶽は僕がモノマネをさせていただいている川内優輝選手(あいおいニッセイ同和損保)もよく合宿をされている場所ということで、僕にとってはまるで聖地巡礼のような気持ちでした(笑)。
田中希実選手(New Balance)もよく利用されるそうですし、大学では男子の青山学院大学、女子の名城大学をはじめ多くのチームが合宿をされています。僕が伺った時期は夏休み中だったこともあり、高校生たちも走っていました。
御嶽で合宿をするチームにお話を伺うと、よく「上」「下」という表現をされます。「上」は標高約1700~1800mの濁河(にごりご)温泉ゾーン、「下」は標高1200~1400mのオケジッタ日和田高原ゾーンを指します。さらに標高2200mまで登ったエリアはチャオ御嶽リゾートゾーンと呼ばれています。
高地で宿泊して平地でトレーニングする「リビングハイ・トレーニングロー」が効果的であるという話もあってか、「宿泊は上、トレーニングは下」というケースもあります。と言っても、これはチームや選手によるところが大きいです。高地トレーニングには個人差があるようですし、合宿期間が長くなった場合や目標レースによっても変わってくるのだと思います。
コースのバリエーションが豊富で、滞在期間中だけでも色々なコースを走りましたが、まだすべてを網羅できておりません。今回は僕が実際に走ったコースを中心にお伝えします!
トラック、クロカンも充実のオケジッタ日和田高原ゾーン
「下」と呼ばれるオケジッタ日和田高原ゾーンは標高1200~1400mのエリアです。日和田ハイランド陸上競技場は標高1300mほど。外周には1周550mの土のコースもあります。少し上っていくと標高1400mほどの場所に池ノ原クロスカントリーコース(ちんまヶ池)があります。平坦(へいたん)基調の1周500mと起伏に富んだ1周1kmのコースがあり、赤土で固められています。
今回の滞在中、遊学館高校女子部のクロカン練習に参加させていただきました。遊学館高校さんの女子部は昨年、2年ぶり15度目の全国高校駅伝出場。指導されているのは永井秀篤監督です。中央大学やDeNAで活躍され、2021年から遊学館高校で指導にあたられています。
500mコースを使ってグループでクロカンコースを走った後に、坂ダッシュ。皆さん、勢いよく坂を駆け上っていきました!
別の日には実業団・マツダ陸上部の圓井彰彦コーチと一緒にジョグをさせていただきました。圓井コーチとは同い年で、指導者になられてからも活躍しています。日和田ハイランド陸上競技場外周の550mコースや池ノ原クロスカントリーの1kmコースなどを、じっくり走ってきました。練習の目的によってコースを選べるのも魅力です。また、陸上競技場のすぐ裏には清流が流れていて、アイシングすることもできます。実際に練習後に足を入れてみましたが、思った以上に冷たくて、最高でした。大自然に囲まれ、心身ともにリフレッシュできますね!
標高1700m、低酸素低気圧の濁河温泉ゾーン
濁河温泉は、日本でも有数の高所にある源泉かけ流し温泉地です。陸上競技場のある御嶽パノラマグラウンドは標高1700mに位置しています。標高1300mほどの日和田の競技場から400mほど登るため、さらに低酸素低気圧の環境となります。
滞在中、高岡向陵高校さん(男子)のポイント練習に参加させていただきました。ウォーミングアップのジョグから、呼吸がいつもよりキツいような感覚もありました。
Bチームに参加させていただき、400m×10本のインターバル。ただ、いざ練習が始まると、標高が高いとか、酸素が薄いとか、そういったことを考える余裕は一切なく、とにかく必死で皆さんについていきました。その方が、むしろ良かったのかもしれません。新井和祉ヘッドコーチのお声かけや、一緒に走った選手の皆さんのおかげもありまして、なんとか一緒に10本を走りきることができました。全国高校駅伝に22度の出場を誇る高岡向陵高校さん。今後の活躍にも注目していきたいです!
グラウンド近くの御嶽濁河高地トレーニングセンターにはトレーニングルームや体育館、食堂もあり、宿泊も可能ということで、とてもにぎわっていました。驚いたのは低酸素ルームがあることでした。このセンターも標高が高いのですが、さらに低酸素の環境で自らを追い込むことができます。また、源泉かけ流しの天然温泉も! これはうれしいですね。体をじっくり回復させることができます。
ジョグだけで心配や脚力が鍛えられそうな「尚子ロード」
岐阜県出身の高橋尚子さんにちなんだ飛驒御嶽尚子ボルダーロード、いわゆる「尚子ロード」もあります。今回は実際に走ることができず、車で見させていただきましたが、とてつもないアップダウンです。標高も高くて激しい起伏なので、ジョグするだけでも心肺や脚力が十分鍛えられそうな「現状打破!」という言葉がピッタリなコースでした。
そして今回の御嶽滞在中は、飛驒御嶽高原高地トレーニングエリア推進協議会の山本克さんにとてもお世話になりました。合宿地を支えてくださる皆さんがいるからこそ、思いっきり練習に打ち込める環境があるんだなということを学ばせていただきました。滞在中に走ることができなかったコースもあるので、次回の楽しみに取っておきたいと思います!