陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

特集:第101回箱根駅伝

創部100周年を迎えた明治学院大学、栗原舜選手が箱根駅伝関東学生連合メンバー入り

2024年に創部100周年を迎えた明治学院大学陸上競技部。箱根本戦出場を目指しています(2枚目を除きすべて提供・明治学院大学陸上競技部)

今回の「M高史のまるかじり」は明治学院大学陸上競技部のお話です。箱根駅伝予選会ではチーム最高順位を更新する19位。栗原舜選手(4年、三浦学苑)が関東学生連合のメンバーに入り、箱根本戦での出走が期待されます。

2020年に「MG箱根駅伝プロジェクト」がスタート

明治学院大学は2020年に「MG箱根駅伝プロジェクト」をスタートさせました。過去の箱根駅伝では関東学生連合チームの一員として、第95回大会で鈴木陸さんが9区、第99回大会で榎本晃大選手(4年、日大三島)が7区を駆け抜けました。

今年はエースの栗原舜選手が躍動。5000m13分58秒89、10000m28分47秒98、ハーフマラソン1時間03分34秒と3種目で大学記録を更新。箱根予選会では個人63位に入り、関東学生連合チームのメンバー内では7番目のタイムで選出されました。その後、11月16日の10000m記録挑戦会では東京大学の秋吉拓真選手(2年、六甲学院)と激しい先頭争いを繰り広げ、29分00秒11で最終組の2着に。さらに12月1日の日体大長距離競技会10000mで前述のタイムを出し、勢いを増しています。

栗原選手(左)は11月の10000m記録挑戦競技会で激しい先頭争いを繰り広げました(撮影・井上翔太)

中継所手前のラストのようなペースアップ!

取材に伺った日は、日産スタジアム回廊の周回コースでの練習でした。普段のポイント練習は大学のグラウンドで行うことができますが、ロード走を行う場合は場所を移動して実施しています。

また、日頃のジョグや朝練習は戸塚キャンパス周辺の起伏に富んだコースで行うこともでき、少し走れば、横浜から鎌倉まで広がる円海山周辺のトレイルコースもあります。そこではクロスカントリーのようなトレーニングで脚作りを行うこともできます。

取材の日は16km走を集団で行うグループと1kmを繰り返し速いペースで走るインターバル走のグループに分かれての練習でした。

M高史は16km走の練習に参加させていただきました。といっても僕にとっては設定がキツすぎるので、1kmおきに休憩を挟み、1人インターバルのような形でトータル8km。皆さんの半分の距離だけご一緒させていただきました。

安定したペースで進み、ラスト1kmはフリー。ここで一気にペースが上がります。さながら駅伝の中継所手前のラストのようなペースアップです。僕はリカバリーを経て、ラスト1kmに合流したにもかかわらず、早々と置いていかれました。

取材日は日産スタジアム回廊でのロード走でした。ラスト1kmは一気にペースアップ

だいぶ離されてしまったので、どれだけ遅かったのかと思っていたら、自分の時計を見ると、ラスト1kmは2分55秒。予想以上のハイペースでした(笑)。皆さんは一体、どんなハイペースに上がったのかと思っていたところ、先頭は栗原選手で2分32秒! 動画で確認したところ、まだ余裕を残しての圧巻の走りでした。箱根駅伝本番に向けて順調な仕上がり具合でした。

その後、2分30秒台、40秒台で次々と駆け込み、普段の練習からラスト1kmでの切り替えを意識したことが、予選会でのチーム最高順位につながったのかなと感じました。

良い意味で縛られない「自立したチーム」

練習後、選手の皆さんにお話を伺いました。関東学生連合のメンバーに入っている栗原選手と、箱根予選会後に新しく主将になった住谷歩選手(3年、水城)、同じく副将の髙橋歩夢選手(2年、松山)です。

栗原舜選手
「(箱根駅伝は)出るからには区間賞相当の走りをして、チーム目標であるシード権(相当)内を目標に走ろうと思います。序盤の攻めの走りが売りなので、そこを見てほしいです」

「(今年は)5000m13分台、10000m28分台を出したいと思っていて、狙った記録を出せたのは成長かなと思います。10000m記録挑戦会ではトップ争いをしましたが、順位よりも記録を狙っていました。28分台を狙っていたのですが、自分の甘さが出たのが反省点です。その後は改善していって日体大記録会で28分台を出すことができました」

明治学院大は「良い意味で縛られない自立したチームです。強い後輩もそろっているので、自分が箱根を通して明治学院に勢いをつけ、その勢いで来年度以降さらに強いチームを作っていってほしいです」。

3種目で明治学院大学記録を更新した栗原舜選手は関東学生連合メンバー入り

新主将・住谷歩選手
「できるだけチーム全体を見渡したいと常に考えています。今までにない学年代表を決めたり、コミュニケーションをしっかりとったりすることを徹底しています。ミーティングは毎月行って、そこで意見を出してもらっています」

関東学生連合のメンバー入りを果たした栗原選手については「さすが栗原さんです。4年生は強い代でしたので、そこに続いていかないといけないです。栗原さんが残って練習されているうちに、少しでもみんなが吸収できるようにしたいです。個人的には、ようやく力がついてきて、今まではメンバーにも入れていなかったのですが、来年度はしっかりメンバーとして走ってチームを引っ張っていきたいです。チームとしては箱根本戦出場に向けて、みんなで一つになって、1年生も多いので引き上げながら、チーム全体で強くなりたいです」

新主将の住谷歩選手はコミュニケーションを大切にしています

新副将・髙橋歩夢選手
「まずは今まで自分がやってきたことをこれまで通り、淡々とやっていくことを心がけています。自分は朝練習を大事にしていて、『朝だから軽いもの』だと考えずに一つの大事な練習だと意識してやってきました。ジョグや体操など、一つひとつのことを丁寧に、まずは自分が背中で見せていきたいです。(明治学院大学は)個人の裁量が大きく、自分がやっていきたいこと、決めたことを明確にして、それに向かって進んでいけるのが魅力です。(2025年度の目標は)個人ではチーム内トップ、チームでは箱根本戦出場です」

朝練習を特に大事にしているという副将の髙橋歩夢選手

マネージャーさんは現在2人「大募集です!」

続いて、選手の皆さんを支えるマネージャーさんにもお話を伺いました。現在マネージャーは大須賀穂高さん(2年、西湘)と山口あおいさん(2年、泉)。1年生の時は先輩マネージャーがいましたが、卒業されたため、2人でチームを支えてきました。

チームを支えるマネジャーのお2人。山口あおいさん(左)と大須賀穂高さん(右)

主務・大須賀穂高さん
「チーム内の色々なことをマネージャー2人で分担してやっています。1年目に先輩からたくさんのことを経験させてもらえたのが、今に生きています。今後、自分たちのチームを取り巻く環境が色々変わると思うので、それに向けてマネージャーとして準備をしていきたいです。(新入生に向けて)マネージャー大募集です! 私たちと一緒に頑張りたいと思ってくれたら、ぜひ一緒にやりましょう!」

山口あおいさん
「マネージャーとして足りないことは何だろうと、他の大学さんの動画や記事を見て模索しています。今はコーチ陣に頼っているところもあるので、マネージャー中心で動けるようにしたいです。4年間のうち、箱根予選会も半分(2回)が終わってしまったので、『あと2回しか箱根駅伝を目指せない』という気持ちです。箱根に本気で出たいので、残り2回のチャンスをどうするか。選手の思い、マネージャースタッフの思い、どうやって同じベクトルに向かわせていくか、心持ちやサポートの仕方を考えていきたいです」

関東学生連合に選出された栗原選手は後輩の皆さんにとって大きな刺激となっています

2024年に創部100周年を迎えた明治学院大学陸上競技部。2020年の「MG箱根駅伝プロジェクト」以降も、コツコツと強化を進めて、年々進化してきました。関東学生連合に選出された栗原選手の走り、そして栗原選手の思いを受け継いだ2025年度の明治学院大学の皆さんに注目です!

M高史の陸上まるかじり

in Additionあわせて読みたい