創部100周年を迎える明治学院大学! より求められる「自律」育み、箱根路へ挑戦!
いよいよ間近に迫った第100回箱根駅伝。選ばれし23校の選手たちがメモリアルな箱根路を駆け抜けます。その華やかな舞台の沿道では、黄色の上着を着ている補助員の皆さんが走路員としての役目を務めています。
その中には今回の箱根予選会で本戦に届かなかった大学の選手たちの姿もあります。すでに彼らは第101回箱根駅伝出場を目指してスタートを切っています。「来年こそは絶対にここを走る」と思い、覚悟と決意の目をした走路員の方もいることでしょう!
箱根駅伝の戸塚中継所からほど近い横浜市戸塚区にキャンパスがある明治学院大学も、箱根本戦に届かなったうちの1校です。来年度は創部100周年を迎え、他の大学とはちょっと違ったアプローチで箱根初出場を目指しています。
堅実に記録を伸ばし、10000mの大学記録を更新
明治学院大学陸上競技部は歴史のあるチームです。陸上と駅伝を強化するというスタイルではなく、長年にわたって、学生主体で自主性を重んじる「学生スポーツ」としてのあり方を突き詰め、箱根予選会にも参加してきました。
元実業団選手で、現在はヘッドコーチを務めている棚瀬亮治さんがたまたま近くに住んでいたこともあって、明治学院大の選手たちとの交流がスタートしました。棚瀬さんに当時の学生がアドバイスを求めるようになり、だんだんと指導する形に。その後、大学から正式に依頼を受けて指導するようになり、箱根予選会に参加するだけではなく箱根本戦出場を目指すようになりました。
現在は棚瀬ヘッドコーチのほか、門間滋コーチ、久保健二コーチと実業団経験のあるコーチ陣も加わっています。とはいえ明治学院大には陸上部の寮がなく、食事は自炊。実家から通っている選手もいます。
朝練習は下宿している選手同士で集まることもあれば、各自で行う選手も。より自主性が求められます。ある意味、寮があって当然のように朝に集合して練習する強豪校に比べて、自律する心が求められるかもしれません。サボろうと思えばいくらでもサボれてしまう環境ですが、逆に自分を高めようと思えばいくらでも高められます!
箱根を目指すには決して恵まれているといえない環境の中、明治学院大は一歩ずつ成長を続けてきました。過去、予選会最高成績は20位。第99回箱根駅伝では榎本晃大選手(3年、日大三島)が関東学生連合チームに選出され、7区を走りました。
今年の箱根予選会では24位(10時間51分41秒)。チームトップは個人91位、1時間03分50秒で栗原舜選手(3年、三浦学苑)が入りました。
12月2日の日体大長距離競技会では有田達輝選手(3年、関東学院)が29分31秒14で明治学院大記録を更新。と思いきや、さらにその後の組で栗原選手が29分28秒10をマークし、さらに大学記録を更新しました。
他大学に比べて派手さはないかもしれませんが、堅実にコツコツと記録を伸ばしてきています。
選手の皆さんの軽快な走りを体感!
取材に伺った日、久保健二コーチにお話を聞きました。
「ちゃんと本質を伝えることですね。競技に対する覚悟、一つひとつの練習に対する覚悟を持ってほしいです。大学という限られた時間の中、生ぬるい気持ちではなく、負けて本気で悔しがったり、本当の勝負をしてほしいです」
現役時代に箱根駅伝やニューイヤー駅伝を走り、競技者として陸上に本気で取り組んできた久保コーチ。指導者としての覚悟も伝わってきました。
この日は、ポイント練習に参加させていただきました。メニューは1200m×8のインターバルトレーニング。以前から練習や合宿に参加させていただいてましたが、来シーズンに向けて、チームはすでにスタートを切っていました。1200mの中でもペース変化があり、リカバリーでもあまりペースを落とさずに進みました。レースを想定した実践的なトレーニング。箱根出場を目指しているだけあって、ポイント練習のレベルは高く、Cチームで分割しながら参加させていただいたM高史は、選手の皆さんの軽快な走りを体で感じてきました。
選手、マネージャーさんにインタビューしました
練習後、選手、マネージャーの皆さんにもお話を伺いました。
主将・榎本晃大選手(3年、日大三島)
「主将として、練習から背中で引っ張ることを心がけています。寮はないですが、自主性が強みですし、メンタル面も強くなれます。来シーズン、最大の目標は箱根予選会10位以内です。今年のスローガンは『闘争心』です。結果にこだわっていきたいですね。明治学院大学はハーフマラソンなど距離が長い方が力を発揮できるのですが、来シーズンは10000mの記録にもこだわっていきたいです。レースに向けて闘争心をむき出しにしていきたいです!」
栗原舜選手(3年、三浦学苑)
「試合では攻めた走り、積極的に前に出る走りをしていきたいです。中間走も粘って勝負していきたいです。現状の目標は10000m28分台です。ハーフマラソンでは62分台を確実に出したいです。チーム内、力の差はそこまでないので良いライバル関係が築けています。相乗効果で高めていきたいです」
有田達輝選手(3年、関東学院)
「5000mなどスピードが持ち味なのですが、春先はトラックで結果を出せませんでした。7月以降は予選会に向かっていきました。長い距離でも冷静に心に余裕を持って走ることで安定していきました。今後はイヤーエンドマラソン、神奈川ハーフなどに出場予定です。チーム内でも切磋琢磨(せっさたくま)して記録を出していきたいです」
大須賀穂高さん(1年、神奈川県立西湘)
「初めての箱根予選会は24位で、まだまだ箱根に行くには足りない印象でした。練習だけでなく気持ちや私生活も変えていかなければと感じました。寮はないですが、ミーティングを実施して現状の確認などをしていきたいです。また、合宿も限られた期間しか行けないので、クラウドファンディングでご支援のご協力をお願いしています。チーム全体が箱根に向かう覚悟で臨みたいです」
山口あおいさん(1年、宮城県立泉)
「高校まで短距離をしていたので、大学でマネージャーを始めてから長距離の知識などを勉強しています。マネージャー業務は4年生のマネージャーの先輩に教えていただきながらやってきました。合宿、予選会、クラウドファンディングなど初めての挑戦がたくさんある1年だったので、伸びしろがあり『まだまだ変えていける』と感じた1年でした。選手のモチベーション、調子が上がるような声かけをしていきたいです」
創部100周年を最高の形で迎えられるように、明治学院大の皆さんが新しい扉を開こうとしています!