陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

3年ぶりの富士山を決めた神戸学院大学 最後の挑戦となる日体大記録会で現状打破!

3年ぶりの富士山女子駅伝出場を決めた神戸学院大学の皆さんに取材させていただきました(すべて提供・神戸学院大学女子駅伝競走部)

今週の「M高史の陸上まるかじり」は3年ぶりの全日本大学女子選抜駅伝(富士山女子駅伝)出場を決めた神戸学院大学女子駅伝競走部の皆さんに取材しました。昨年、一昨年と全日本大学女子駅伝、富士山ともにあと一歩届かず、悔しい思いをしてきた神戸学院大学の皆さん。今年はアディショナル枠10校のうち、9番目の通過で富士山出場を決めました。

「地元に応援されて地元に愛されるチーム」を掲げ

大学女子駅伝界では「5000mのシーズンベスト」が重要なカギとなってきます。全日本大学女子駅伝の場合、前年度のシード校と各地区の選考会で選ばれたチーム以外は、5000m6人のシーズンベストでアディショナル枠による出場権が決まります。さらに、10月の全日本大学女子駅伝で12位までに入ったチームは富士山女子駅伝の出場権が得られますが、それ以外の10校は5000m7人のシーズンベスト(今年4月1日からエントリー前日までの記録)によって選出されます。

神戸学院大学は昨年の全日本大学女子駅伝アディショナル枠に、5000m6人の合計タイムで0秒49(1人あたり約0秒08)届かず。富士山女子駅伝もアディショナル枠5000m7人の合計タイムで次点。わずかな差で全日本、富士山のいずれも切符をつかむことができませんでした。

今年の夏、神戸学院大学さんには長野県・峰の原での選抜合宿、熊本県・阿蘇での全体合宿を取材させていただきました。

峰の原で行われた選抜合宿。選手の皆さんはキツい場面でも粘り強い走りをされていたのが印象的でした

高校時代に全国大会を経験した選手はほとんどいませんが、大江秀和監督のご指導のもと、粘り強くコツコツと練習を継続してきました。

合宿では主将の堀綾花選手(4年、日体大柏)を中心に積極的に監督とコミュニケーションをとりながら、調子や疲労度を考慮しながら練習を微調整しているのが印象的でした。

阿蘇で行われた全体合宿。辻井冬和ランニングコーチがペースを引っ張ります

森田陽子副監督は柔道整復師と栄養士の資格を持ち、世界大学クロスカントリー選手権に日本代表チームのトレーナーとして同行された経験をお持ちです。「陽子先生のケアを毎日受けられるのが神戸学院の強み」と主将の堀選手。それほど森田副監督は選手のケアやコンディショニングにあたってきました。さらに、理学療法士である廣田恭佑トレーニングコーチも選手のケアを行いながら、課題となる部分をアドバイスするなど、トレーニング面でもサポート。

また、競技面での挑戦以外でも「地元に応援されて地元に愛されるチーム」を掲げ、市民対象のランニング教室や、小学生対象の走り方教室を行っています。介護運動教室や姿勢バランス講座では森田副監督が講師をされて、選手の皆さんもサポートで参加するなど、競技はもちろん、地域貢献活動にも積極的です。

神戸学院大学のグラウンドで小学生対象の走り方教室も開催しました

余裕を持って設定タイムをクリアしている姿が印象的

今年の全日本大学女子駅伝出場をかけた関西大学女子駅伝で、神戸学院大学は9位でした。5000m6人のアディショナル枠でも全日本には届かず。背水の陣で富士山女子駅伝出場権に挑んできました。

11月中旬の時点では、10校まで通過できるうちの13番目。そこから11番まで順位を上げて、最後の挑戦となる12月2日の日体大長距離競技会で9番目まで順位を上げて、富士山女子駅伝出場を決めたのでした!

富士山女子駅伝に向けてさっそくチームは始動しています

3年ぶりの出場ということで、お世話になっている方をはじめ、たくさんのお祝いメッセージが届いたそうですが、富士山女子駅伝出場が決まったからといってうかうかしてはいられません。3年前に出場した時は最下位。今回は一つでも上の順位を目指すべく、チーム全員で現状打破し続けています。

取材に伺った日のポイント練習もご一緒させていただきましたが、大江監督が設定したタイムを余裕を持ってクリアしているのが印象的でした。集団で良いリズムでトレーニングできていると、チームも乗ってきますし勢いが出ますよね!

「笑顔で襷を」「優しくて思いやりあるチーム」

練習後、主将の堀綾花選手と来季の主将となる古川天音選手(3年、大垣日大)にお話を伺いました。

先頭を走るのが堀綾花選手。2番目を走るのが古川天音選手。チームを走りで引っ張ります

堀綾花選手(4年、日体大柏)
「全日本を逃してから絶対に富士山に行くという強い気持ちで、全員でやってきました。(通過できたのは)走ったメンバーだけではなくて、マネージャーであったり、監督、副監督、トレーニングコーチ、ランニングコーチ、陸上部の男子が引っ張ってくれたり、周りの方のおかげです。走れない選手も、声かけやタイムとりをしてくれたおかげで富士山をつかみ取ることができました。私自身は思うように記録が出ず、走りで見せられたかわかりませんが、みんなが最後までついてきてくれました。(富士山に向けて)まずは富士山の舞台で走れることに感謝です。みんな笑顔で襷(たすき)をつないでほしいです。3年前は最下位だったので、今回アディショナル枠で下の方での通過ですが、一つでも上の順位を目指しています」

古川天音選手(3年、大垣日大)
「素直にうれしいです。大学に入ってから初めての全国の舞台となるので緊張もありますが、それよりも楽しみの方が大きいです。みんなで協力しあって全員でつかみとった富士山です。今年は自分がいた3年間の中で一番苦労していた1年間でしたが、その中で富士山を決められたのはうれしいです。みんな優しくて思いやりのあるチーム。だからチーム力も上がっていっていると思います」

大江秀和監督(前列右端)のご指導のもと、3年ぶりの富士山へ、現状打破!

3年ぶりの富士山女子駅伝出場となる神戸学院大学。悔しさを味わった分、最高の笑顔でエメラルドグリーンの襷をつなぎます!

M高史の陸上まるかじり

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