ラグビー

意地と誇りと優勝をかけ、いざ早慶戦

一体感も今年の早稲田の武器だ (撮影・斉藤健仁)

関東大学対抗戦Aグループ

11月23日@東京・秩父宮
早稲田大(4勝1敗)vs 慶應義塾大(4勝1敗)

対抗戦が終盤を迎えている。現在4勝1敗の帝京、明治、早稲田、慶應の4校に優勝の可能性が残る混戦模様だ。11月23日に伝統の「早慶戦」がある。創部100周年を迎えている早稲田か、明治に勝利し勢いに乗る慶應か。優勝争いをかけた臙脂と黒黄の激突である。

早稲田としてはこの「早慶戦」、そして12月2日の「早明戦」に連勝して1敗をキープし、創部100周年というアニバーサリーイヤーに2010年以来の優勝を飾りたいところ。一方の慶應は早稲田戦に勝利し12月1日の青山学院に勝利すれば2000年以来の優勝が決まる。

伝統の「早慶戦」は今年で95回目。1922年から毎年、勤労感謝の日である11月23日に開催されてきた。過去の対戦成績は早稲田の67勝20敗7分。2011年からは引き分けを挟んで早稲田の6連勝中だ。とはいえ接戦も多く、この4年も僅差の勝負を演じてきた。

◇過去5年の早慶戦
2013年 ○早大69-7 慶大●
2014年 △早大25-25慶大△
2015年 ○早大32-31慶大●
2016年 ○早大25-23慶大●
2017年 ○早大23-21慶大●

ディフェンスの修正が急務。ボールも人も動く早稲田ラグビーができるか

まず早稲田のメンバーを見ていきたい。11月4日の帝京戦ではスクラムで後手を踏み、接点でも押し込まれて前半だけで28失点。終わってみれば計6トライの45失点を喫してしまった。「春からディフェンスにこだわってきたチームにしては、6トライは取られすぎた。まだ終わりではないので、一戦一戦頑張っていきたい」と言った相良南海夫監督は、修正を図るべく帝京戦から3人メンバーを替えた。

LOに中山が入り、FLに柴田、そしてCTB桑山淳聖が先発し、1年生の長田はCTBからWTBに回って出場する。先発の4年生は2人だけという若いメンバー構成となったが、控えは佐藤キャプテンら4年生が中心となった。

◇早稲田 先発予定メンバー

1 鶴川達彦(4年、桐蔭中等教育)
2 宮里侑樹(4年、名護商工)
3 小林賢太(1年、東福岡)
4 中山匠(3年、成城学園)
5 下川甲嗣(2年、修猷館)
6 柴田徹(3年、桐蔭学園)
7 幸重天(3年、大分舞鶴)
8 丸尾崇真(2年、早稲田実)
9 齋藤直人(3年、桐蔭学園)
10 岸岡智樹(3年、東海大仰星)
11 古賀由教(2年、東福岡)
12 中野将伍(3年、東筑)
13 桑山淳生(3年、鹿児島実)
14 長田智希(1年、東海大仰星)
15 河瀬諒介(1年、東海大仰星)

リザーブ
16 千野健斗(4年、成蹊)17 峨家直也(4年、報徳学園)18 土田彬洋(2年、茗渓学園)19松井丈典(4年、旭野)20佐藤真吾(4年、本郷)21 貝塚陸(4年、本郷)22 船越明義(4年、早大学院)23 佐々木尚(4年、桐蔭学園)

早稲田アタックのキーマンの一人であるCTB中野 (撮影・斉藤健仁)

日本代表候補に大学生で唯一選ばれたSH齋藤、司令塔のSO岸岡のハーフ団がチームをコントロールし、大型CTB中野、桑山淳生、WTB古賀、そして1年生のWTB長田とFB河瀬とBK陣にはタレントが揃っている。帝京戦で課題となったディフェンスの修正が急務である。そしてFWが接点で互角に戦い、セットプレーでマイボールをキープできれば、BKでトライを挙げる力は十二分にある。

早稲田は負ければ優勝戦線から脱落してしまう。今シーズンのスローガンは「Moving」である。ボールも人も動いて慶應のディフェンスを突破し、見ている人を感動させるようなラグビーができるか。

頼れる4年生8人が先発。エース丹治の勝負所での投入も鍵を握る

つづいては11月4日、今シーズン公式戦負けなしだった明治に28-24と逆転勝利し、勢いに乗る慶應のメンバーを見てみたい。金沢篤HCは明治戦の後半途中まで劣勢だったスクラムを修正すべく、FW第1列は3人とも変更、BKも2人交替した。

第1列は細田、安田、大山と慶應出身者で固め、アウトサイドCTBに豊田が復帰し、14番にはケガから復帰した小原と、頼れる4年生2人が入った。最後の早慶戦となる4年生が先発に8人。またベンチには帝京戦で負傷したエースのWTB/FB丹治が戻った。勝負どころで出てくるはずだ。

◇慶應 先発予定メンバー

1 細田隼都(4年、慶應)
2 安田裕貴(3年、慶應)
3 大山祥平(2年、慶應)
4 相部開哉(2年、慶應)
5 辻雄康(4年、慶應)
6 川合秀和(3年、國學院久我山)
7 山本凱(1年、慶應)
8 山中侃(4年、慶應)
9 江嵜真悟(4年、小倉)
10 古田京(4年、慶應)
11 宮本瑛介(4年、慶應)
12 栗原由太(3年、桐蔭学園)
13 豊田康平(4年、國學院久我山)
14 小原錫満(4年、東海大仰星)
15 宮本恭右(2年、慶應)

リザーブ
16中本慶太郎(4年、慶應)17渡邊悠貴(4年、慶應)18菅公平(4年、慶應)19 植竹創(4年、湘南)20辻本大河(4年、慶應)21 若林俊介(2年、慶應)22 阿部直孝(1年、國學院久我山)23 丹治辰碩(4年、慶應)

明治戦でトライを挙げたNo.8山中 (撮影・斉藤健仁)

もちろんBKはキャプテンのSO古田が、FWは副キャプテンのLO辻が引っ張る構図は変わらない。FWは運動量のあるLO相部と1年生FL山本、決定力のあるFL河合、No.8山中と明治戦でも目立った選手が先発。BKはSH江嵜と古田のハーフ団を中心に、突破力のある栗原、スピードのあるWTB宮本瑛介、宮本恭右らがボールを待つ。

慶應は早稲田ほどのアタックで爆発力があるチームではない。まずは持ち味であるディフェンス、タックル、そして接点でしっかりとバトルしてクロスゲームに持ち込みたい。SO古田キャプテンは「すごく大事な試合。80分でしっかり勝ちきりたい。早稲田さんはアタッキングラグビーをしてくると思うけど、僕らは自分たちのラグビーをしっかりやりたい」と意気込んでいる。

対抗戦の優勝争いがかかった大一番

早稲田は今シーズン、ディフェンスからチームを作っており、慶應は伝統的にディフェンスの強いチームである。まずは互いにディフェンス、タックルからペースをつくりたいところだ。アニバーサリーイヤーを迎えている早稲田が勝利し、12月2日の「早明戦」まで優勝戦線に残ることができるか。また慶應が勝利して1敗をキープすれば、残りは青山学院戦のみであり優勝へと大きく近づく。

臙脂と黒黄が意地とプライドを賭けて戦うことはもちろん、対抗戦の優勝争いがかかった大一番は11月23日、東京・秩父宮ラグビー場で14時5分にキックオフされる。

早稲田に勝利し、タイガー軍団は優勝へ王手をかけられるか (撮影・斉藤健仁)

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