駅伝

連載:M高史の駅伝まるかじり

箱根の情報戦を制するために

箱根の情報戦を制するために
M高史です。僕はこの衣装で寒さに強くなりましたが、それでも冬の早朝の箱根には勝てません(撮影・松嵜未来)

箱根駅伝では中継所で選手に付き添う部員がテレビに映し出されます。「そのほかの部員はどんなことをしてるの? 」と気になる方もいらっしゃるでしょう。「箱根まで1カ月、そのときマネージャーは」でもお伝えしましたが、寮待機、付き添い、現地タイム係、給水係、補助員といった役割を担います。現役の部員に加えてOBたちも出動します。

僕も卒業してからOBとして、毎年母校のお手伝いにうかがってます。今回はサポートする部員やOBたちも務める「現地タイム係」という役割についてお話しさせていただきます。

現地タイム係は機動力も大事

現地タイム係(大学によって呼称は若干異なるかもしれませんが、駒大ではこう呼んでます)は、コース途中のポイントとなる地点でのタイム差を計測する係です。箱根は10区間・往復217.1kmの長丁場。情報戦でもあります。テレビ中継では固定カメラのある定点でのタイム差が放送されますが、現地タイム係はそれ以外の地点でのタイム差を計ります。

タイムの伝え方は、「その場ですぐ選手に伝える」「監督・主務・寮に報告する」などレースの状況に応じて変わります。監督からの指示は、マネージャーを通じて現地タイム係に連絡が入ります。マネージャーは色画用紙を貼り付けたダンボールを事前に用意し、現地タイム係はその上にマジックでタイム差や監督からの指示など、何かしらのメッセージを書きます。

箱根は2日間で沿道に約100万人以上も応援にいらっしゃるそうで、部員が大声で叫んでも声がかき消されてしまうことがあります。そのため、ボードに大きな文字で書いた方が選手に伝わりやすい場合もあります。まぁ、駒大の場合は大八木弘明監督の声が大きいので、監督の檄(げき)が一番伝わりますが(笑)。

10区の後半などで前後のチームとの差がある状況だと、タイム差よりもとにかく応援ということもあります。まれにですがその場合、ボードには「がんばれ! 」「ラストだ! 」といった激励の言葉が書かれます。区間賞争いなどいいペースできている選手には「区間賞いけるぞ! 」と、モチベーションが上がるような言葉を書くこともあります。ちなみに僕や同級生もOBとして、この現地タイム係を手伝ってます。

現地タイム係は基本的に電車で移動し、複数の地点を担当します。駅から遠い区間もあります。僕は卒業してからもう10年以上、現地タイム係をやって慣れてるので、いつも駅から遠い地点が多いです(笑)。区間によっては最寄り駅まで3km以上の場所もあるので、人通りが少ない道を選んで走って移動することもしばしばです(笑)。

特に5区への移動は大変です。箱根登山鉄道がまるで超有名テーマパークのような行列になっていて、電車に乗るのに30分から1時間待ちという状況です。もし5区の応援に行かれる方はお早めに移動されるのをオススメします。

一瞬で下る選手のために、凍えながら待つ

とくに6区の現地タイム係は重要です。6区は山下り。運営管理車は先回りしてコース終盤で待機します。運営管理車が選手の真後ろにつけるのは、ラストの平坦部分に戻ってきてからです。つまり、スタートしてから終盤までは運営管理車からの情報や激励はありません。選手側から見ても、コースにはヘアピンカーブが多いので、前後のランナーが視界に入りにくいです。そんなときに活躍するのが現地タイム係なんです。走ってくる選手に前後のタイム差や区間順位などの情報を伝えます。

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山下りの6区。早朝に入り、ひたすら選手を待ちます(写真は本人提供)

6区の現地タイム係は選手がスタートする前から、ポイント地点にスタンバイ。僕も行ったことがありますが、ものすごく寒いです(笑)。僕は仕事柄、いつもの衣装のおかげで寒さにはかなり強くなりましたが、真冬の箱根の早朝は吐く息も凍りそうなほど寒いです。しかも、ポジションを確保したらそこから動けません。もも上げをしたり、腕振りをしたりで寒さをしのぎます。

ほかの大学のタイム係も同じような場所にスタンバイしてるので、ポジション取りも大切です。前のチームとのタイム差を計る際、横断歩道や目標物を目印にタイム差を計測することが多いので、選手も目印も見やすい絶妙な位置をキープしたいところです。

テレビや沿道で観戦して、ウインドブレーカーを着てスタンバイしている部員を見かけたら、ぜひ彼らにも応援をよろしくお願いします!

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