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連載:近畿大学アメフト部OB中山一郎の「行動あるのみ」

ドイツ在住の夢追い人・中山イチローの「人生なんとかなってきた」#13 寿司職人やーい

ドイツに渡った当時通った語学学校の愉快な仲間たち(写真はともに本人提供)

まずお知らせです。連載のタイトルに「ドイツ在住」とあるのですが、先日一身上の理由で家族ともども大阪に戻って参りました。大阪在住なんですが、途中でタイトルを変更するのもアレですので、このままいかせてください! さて本題です。
ドイツのカイザースラウテルンで「OKONOMIYAKIレストラン」を始めることが決まり、まずは単身で約2カ月、現地で暮らしました。朝から夕方までは語学学校でドイツ語に浸り、夕方から深夜までは家族が住めるように家の準備をしました。

照明器具もキッチンもないドイツの家

ドイツでは家の中を自分でアレンジするのが好きな人が多いからか、入居の段階では照明器具はもちろん、キッチンすら備え付けていない家が多いんです。しかも、それらの取り付けを業者にお願いするんじゃなく、自分でやる人がほとんどなんです。そんなこと、現地に行ってからじゃないと分からなかったので愕然(がくぜん)としました。

何とか自分で照明器具やキッチンを買いそろえることはできても、どうやって設置するのかサッパリ分かりません! 現地で知り合ったドイツ人に教わり、手伝ってもらい、壁のペンキ塗りやキッチンの備え付けなんかをやりました。なんとかなりました。

家の準備は、それはそれは大変でした

家族の受け入れ体制を整えている間に、ミュンスターという街で日本食レストラン『ACACIA(アカシア)』を長年経営している鈴木邦彦さんに出会いました。聞くと、僕が大阪から新宿の吉本興業本社に行くとき、必ずと言っていいくらい通っていた老舗洋食店『アカシア』の2代目社長の弟さん! あのロールキャベツシチューで有名なお店です! 鈴木さんに、ドイツでの日本食レストラン開業について、根掘り葉掘り質問しました。すると「寿司をメニューに置かなければ成功は難しい!」とのアドバイスをいただきました。鈴木さんのほかにも、たくさんの日本食レストランオーナーから同じことを言われたので、あわてて寿司職人を雇おうと、いろいろ調べてみました。すると問題が……。

カイザースラウテルンは人口10万人の小さな街なので、寿司職人どころか日本人自体が少なく、地元で見つけるのはまず無理……。そしてヨーロッパでは日本人寿司職人の需要が大きいため、安くでは雇えない……。絶句です。

寿司職人が雇えないなら自分で握れ

鈴木さんに「とてもじゃないけど、寿司職人なんて雇えません……。どうしたらいいでしょう?」と相談すると「寿司なんて簡単だから、練習すればすぐに出来るようになるよ! 家族がドイツに引っ越してきたら、僕の店で1カ月ほど修行してみたらいいじゃない。家族全員で我が家に来たらいいじゃない。泊めてあげるよ」とのこと。

俺が!? 寿司を!? 握る!? まったく想像もしていなかった展開ではありましたけど、なんとかなりそうな気がしてきました。

約2カ月の単身ドイツ生活のあと、いったん日本に戻って大阪の家を引き払い、妻と生後10カ月の娘と3人で、カイザースラウテルンに渡りました。ドイツに着いて3日目には、車で約400km離れたミュンスターへ、寿司の修行のため移動しました。

次回はその修行について書こうと思います。

●ドイツ在住の夢追い人・中山イチローの「人生なんとかなってきた」

#12 香川真司とお好み焼き#13 寿司職人やーい

近畿大学アメフト部OB中山一郎の「行動あるのみ」

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