大学ラグビー

連載:私の4years.

ラグビーと出会って、私の人生は豊かになった 元慶應ラグビー部・和田拓5完

2016年に「日本ラグビーフットボール選手会」を立ち上げた(左から、川村慎、廣瀬俊朗、和田拓、小野晃征)

連載「私の4years.」の8シリーズ目は、今年から慶應義塾體育會蹴球(ラグビー)部のBK(バックス)コーチとして後輩の指導にあたる和田拓(たく)さん(31)です。國學院久我山高(東京)から慶應に進学。卒業後はキヤノンイーグルスで主将も務めました。和田さんが学生時代を振り返る5回の連載の最終回は、社会人になってからも続いたラグビーとの関係や、大学生へ贈る言葉を綴(つづ)っています。

最後の早慶戦は167人全員で勝った 元慶應ラグビー部・和田拓4

いい出会いがあると、物事はかけ算で進む

大学卒業後、私はジャパンラグビートップリーグに所属しているキヤノンイーグルスで6年間プレーしました。私がかつてプレーした國學院久我山高校や慶應義塾大学といった伝統のあるチームとは違い、トップリーグに参入したばかりの新しいチームでした。

チームメートには日本代表や海外の強豪国で代表経験を持つ選手たちもいました。キャプテンだった時期は「どうしたらチーム全員が同じ方向を向けるのか」「チームの文化を築くにはどうしたらいいか」というように、自分のプレー以外のことについても毎日考えていた気がします。お世話になった大好きなチームですから、将来、キヤノンイーグルスを世界一のクラブにできたらいいなと思ってます。

キヤノンイーグルス時代の和田さん(撮影・水谷たかひと)

また、ラグビー界の発展のために選手ができることがもっとあるのではないかと考え、2016年に「日本ラグビーフットボール選手会」を同志とともに設立しました。立ち上げ期の苦労はありましたが、これからのラグビー界において、間違いなく必要になってくる組織だと考えています。ラグビー選手が多くの人を笑顔にし、あこがれの存在となれるよう、さまざまな活動をしていくべきだと私は考えています。

そしてここでも、尊敬できる多くの方々と一緒に仕事ができました。「いい人と出会うと、物事はたし算ではなく、かけ算のように進んでいく」。そんなことを感じさせてくれる素晴らしい仲間です。

慶應のコーチになり、学生と一緒に成長

この春から私は、慶應のラグビー部でコーチとして大学生を教えています。この機会をいただいたすべての方に感謝していますし、こうして母校に戻って指導ができて、とても光栄に思います。選手と接していると毎日のように気づきがありますし、彼らと一緒に成長している感覚です。

大学生と接していると、本当にうらやましく思います。時代の最先端を生き、無限の可能性を秘めた、未来への活力に満ちあふれた世代だと感じるからです。だからこそ、まずは勇気を持ってやってみることが大切なのだと思います。何かの本でも読みましたが、将来自分の人生を振り返ったときに後悔するのは「やったこと」ではなく「やらなかったこと」です。

和田さんは現在、BK(バックス)コーチとして慶應の後輩たちを指導している(撮影・田口恭子)

正直、私はどちらかというと、迷ったときに行動に移せずにいたタイプの人間だったと思います。しかしいま、こうして社会人として生活していると、成功している人ほど、リスクをとって一歩目を踏み出し、何かを得ています。そしてそれは、早ければ早いほどいいと思います。大学生のみなさんも、いま自分が考えていることを思い切って行動に移してみてください。自分にしかできないことがあるはずです。私はそれを探すのが人生の醍醐味(だいごみ)の一つだと感じるようになりました。

実際に挑戦を続けていると、はっきり言ってうまくいかないことの方が多いです。それでも何度も立ち上がって努力し続ければ、自分が想像していなかった景色を見られるのだと思います。私は成功の経験も失敗の経験も、すべては未来につながる財産だと考えるようにしています。

そして、いま隣にいる友だちや家族を大切にしてもらいたいです。私は仲間に恵まれてここまで成長できていると思ってます。うまくいかなくなったときに支えてくれるのが、本当の仲間です。情報化が進んでいる社会だからこそ、「ひと」との関わりを大切にしてもらいたいです。

ラグビーをしているときは、すべての人が平等

こうして「私の4years.」を振り返ってみると、なつかしく感じてしかたありません。

私の場合、ラグビーというスポーツに出会って人生が豊かになりました。ラグビーを巡って一つの共通項があると、その関係は簡単に海を越えますし、プレーをしているときに人種・性別・年齢などの概念による区別は一切なく、そこにいるすべての人が平等です。「ラグビーボールが世界で一番の発明品だ」と、よく父が言っていますが、その気持ちが分かります。

自分が好きなことなら何でもいいと思います。それを好きでいる気持ちを大事にすると、明日からの活力が湧いてくるのではないでしょうか。私も両親にもらった「拓」という名前の通り、手で石を拾うように一つひとつの行動を丁寧に、いまを全力で生きていきたいと思います。

挑戦を続けるすべての若者にエールを送ります。そして、すべての読者の方々の未来が希望にあふれることを願っています。

この記事をシェア

in Additionあわせて読みたい

Seriesこの連載をもっと読む

この連載の記事一覧へ

私の4years.

Their Stories大学別・競技別に読む