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連載:近畿大学アメフト部OB中山一郎の「行動あるのみ」

ドイツ在住の夢追い人・中山イチローの「人生なんとかなってきた」#20完 行動あるのみ

お店の最終日に家族写真を撮りました(写真はともに本人提供)

ドイツでどんな職に就いてもいいという滞在許可証が発行されるや否や、アンドレアスから連絡がありました。「清水エスパルスのヤコビッチ(カナダ代表)は我々の選手なので、今後、彼の担当をやってほしい」と。ドイツに渡って約3年半の月日が経ち、ようやく、本来の渡独の目的だったサッカーの仕事が始まりました。

「サッカーの仕事のためにドイツ来たんよね?」

その後もアンドレアスから「ブンデスリーガの○×クラブが△□な選手を探してる。条件に合う日本人選手をリストアップしてくれ」「我々はブンデスリーガの×○クラブから日本人の□△選手を獲得するように、すべての交渉権を任された」などなど、次々にお題が飛び込んできました。

そのつど、アンドレアスはもちろん、Jリーグクラブの元社長や元GM、元選手、日本人エージェントの方など、あらゆる人に話を聞いて回ったり、本を読みあさったりして、「サッカー選手の移籍」について知識を増やしていきました。知識が増えるたびに、疑問も浮かび、サッカー界のことを知り尽くしたいという熱意が湧き出てきました。

こう見えてもサッカーの仕事中です

一方、レストラン経営の方は毎日のように出てくる問題を妻と一緒に解決していった結果、できることが少しずつ増えていき、オープン当時とは比べようがないぐらい大きな仕事量をこなせるようになり、ドイツの大都市に2店舗目の出店を考えるまでになりました。

そんなある日、妻に「レストランをするためじゃなくて、サッカーの仕事をするためにドイツに来たんよね?」と言われ、ハッとしました。

自分ではレストラン経営とサッカーの仕事の両立ができていると思ってましたが、時差のある日本とのやりとりが続いて睡眠が十分取れてなかったり、店が忙しいときにサッカーの仕事の問い合わせに対応しないといけないことが増えてきたのを見て、妻は「いまのあんたは中途半端や! もうドイツに来て5年も経ってるし、そろそろ店やめてサッカーの仕事に専念したら? 二兎を追う者は一兎をも得ずやで!」と、たたみかけてきました。

経営的に右上がりの成長を見せているレストランを手放すのは、もったいない気がしました。でも、覚悟を決めて店を売却しました。そして2017年6月からサッカーの仕事に専念することになりました。

専念してから2年4カ月。まだ納得のいく結果は出せていませんが、次々と目標や実現したいことが湧き出てくるので、徹底的にやり続けようと思います。

心が動かされるものに出会うために、行動しよう

僕の人生はまったくと言っていいぐらい計画通りでも、目標通りでもないのですが、いままでのところ、なんとかなってます。4years.にコラムを書くのもこれが最後になりますので、「なぜ、人生なんとかなってきたのか」を考えることにしました。

それは「自分に合ったもの、心動かされるものに出会い続けてきたから」だと考えてます。自分に合ったもの、心動かされるものに出会えれば、頭も体も勝手に動き出し、人生も勝手にゴロゴロと回っていきます。人生が思い通りではない方向に回っていったとしても、目の前の目標に向かって手を抜かずに行動していれば、また新たに、自分に合ったもの、心動かされるものに出会い、人生がゴロゴロ回り続けていきます。

「自分に合ったもの、心動かされるものに出会うのが難しいんやん!」と思っている学生アスリートのみなさんも多いと思います。僕も大学4回生のときにそう思いましたから。

出会うには「行動」しかありません。正解か不正解か、失敗か成功かなんて関係ありません。とにかく、行動あるのみです。失敗の経験もすべてが糧となり、ムダになることなんて何もありません。すべての経験はその後、武器となります。これを読んで下さってる大学生のみなさんが、4年の間にできるだけ多くの行動をし、多くの失敗をし、多くの心動かされるものに出会えるのを心の底から祈ってます!

20回もの連載におつきあいいただき、ほんとにありがとうございました!

近畿大学アメフト部OB中山一郎の「行動あるのみ」

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