大学野球

連載:野球応援団長・笠川真一朗コラム

特集:第50回明治神宮野球大会

大阪商業大・伊原陵人 初の全国の舞台で立派に投げ込んだ1年生左腕

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第50回明治神宮野球大会
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目を奪われる、堂々とした投げっぷりでした!(すべて撮影・佐伯航平)
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熱戦が繰り広げられている明治神宮野球大会。野球応援団長の笠川真一朗さんが気になった選手について、彼ならではの視点から語ってくれます。今回笠川さんが注目したのは、初日に登場した大阪商業大から。全国の舞台で堂々と投げた1年生についてです。

大学野球の素晴らしさを改めて実感

明治神宮野球大会は、今年最後の現チームの集大成でもあります。4年生は負ければ引退。最後の学生野球になる大会です。現チーム最後の大会で日本一の称号を手にするのはどのチームか。僕も大会を心待ちにしていました。

朝から高校生の試合を2試合見て、その後に出てくる大学生の雰囲気はやはり違います。そこから僕は興奮していました。試合前ノックから「あぁやっぱり大学生はみんなすごいなぁ、じょうずだなぁ」とレベルの高さに純粋に感動しました。「大学野球は素晴らしいな」と改めて感じます。

スタンドから見ていて、ワクワクが止まりません!

開幕戦は関西五連盟第二代表の大阪商業大と、北海道二連盟代表の東海大札幌キャンパスの試合。3年ぶり2回目の出場となる東海大札幌キャンパスが2対0と接戦を制しました。詳しい試合内容は今大会も割愛させていただきます(笑)。

開幕戦は東海大札幌・高沼拓海の変化球がさえ、被安打4で大商大打線を完封

勝利した東海大札幌キャンパスは大商大・大西広樹投手(ヤクルトスワローズ4位指名、4年、大商大)に対して、初回から4安打を放ち先制しました。大西投手の力強いストレートに決して臆することなく、早いカウントからしっかりスイングしていく東海大札幌キャンパスの果敢な攻撃はとてもかっこよかったです。相手からすればものすごく怖い印象を抱くと思います。

アグレッシブな野球が本当に魅力的で、1試合見ただけでこのチームは野球を楽しんでいるんだなと僕は思いました。何より、ドラフトに指名された大西投手、そして2人目に登板した橋本侑樹投手(中日ドラゴンズ2位指名、4年、大垣日大)から得点を挙げ、勝利したことは大きな自信につながっただろうと感じました。

1年生らしからぬ落ち着きの左腕

僕が注目したのは、2人のドラフト指名投手からマウンドを引き継いだ大商大の1年生左腕・伊原陵人投手(智辯学園)です。全国大会初登板となるこの試合で8回裏に登板し、1奪三振を含む三者凡退に打ち取る見事な投球でした。ただ1回を抑えたことが印象に残ったのではなく、1年生らしからぬ落ち着きで、堂々とした投げっぷりに心を奪われました。ものすごく立派でした。

伊原くんを初めて見たのは、まだ彼が智辯学園でプレーしていたとき、第90回選抜高校野球大会で長崎県の創成館高校と対戦した試合です。試合には敗れたものの伊原くんは9回途中まで1失点と見事な投球でした。あのころと同じようにマウンドで放つ力強い雰囲気を思い出し、感動しました。ムチのように腕を振る左腕のストレートは今日もすごく走っていて、とても1年生とは思えない素晴らしいパフォーマンスだったと思います。

全国の舞台を楽しんでいるようにも感じられました

試合後に話を聞かせてもらいました。初の全国の舞台での登板を純粋にどう思ったのかを聞くと「少し緊張はしましたけど、チームに勢いをつけれたらと、思い切って腕を振って投げることができたと思います」と丁寧な言葉遣いで語ってくれました。そんな伊原くんの表情はとても凛々しかったです。

プロの世界に進む2人の4年生投手からマウンドを引き継いだことを本人はどう捉えているのかが気になったので聞いてみると、「そこはあまり気にしてませんでした。自分の実力を出すことに集中してましたし、いままで通り楽しんで投げられました」と、マウンドにいるときと同じように堂々と話してくれました。「大西さん、橋本さんからは間の取り方や試合全体をしっかり見渡せるように視野を広く持ったりとたくさんのことを教えてもらいました。4年生には1年生の僕に気さくに接してくれましたし、打たれたときも声をかけてくださるなど、すごく助けられました。本当に感謝してます」と先輩に対する感謝の気持ちも述べてくれました。

立派に自分の気持ちを話してくれる伊原くんの姿は、やっぱり1年生には思えないほどかっこよかったです。力強い目と言葉には大きな意志を感じました。

自分をぶらさず、スケールの大きな投手へ

これからどういう選手になりたいかと尋ねてみると、「今日もそうですけど、試合に負けたら意味がない。自分のピッチングでチームが勝てるようなスケールの大きな投手になりたい。試合に負けるのが1番悔しい」とまた力強い表情で語ってくれました。そして勝てる投手になるために大事にしていることについては、「僕はプロにいきたい。そのためには『人に流されないこと』『自分のリズムを崩さないこと』にはこだわってます。自分のやるべきことをしっかりやる。それは常に考えてやってます」と、自身が大切にしている取り組みを語ってくれました。

話を聞いてさらに応援したくなりました! 頑張れ、伊原くん!

話を聞いてると彼の気持ちの強さから、どんどん話を聞きたいと惹き込まれるような感覚になりました。4年生だとか1年生だとか学年は関係なく、熱い気持ちを持って自分をぶらすことなく野球に向き合える姿はとても勇ましかったです。彼がこの全国初登板で得た経験や想いを糧にして、この冬を越えて、また春にどう成長していくのか、そしてさらにその先の成長が僕は楽しみでなりません。そして、ドラフト指名を受けた4年生の大西くん、橋本くんと同様に3年後、彼がプロの世界にいけるようにと僕も応援したいと思います。

全国には伊原くんのような強い意志を持った1年生がどれだけいるのでしょうか。明治神宮野球大会が最後になる4年生ばかりに気を取られそうになっていましたが、熱く燃える1年生左腕に心を奪われた試合でした。

頑張れ! 全国の1年生!
頑張れ! 伊原くん!

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