バスケ

連載: プロが語る4years.

青学でまさかの2部スタート、バスケも勉強も貪欲に 岡田優介3

日本一を目指し、岡田は高3の夏には青学への進学を決めた(写真提供・青山学院大学男子バスケットボール部)

連載「プロが語る4years.」から男子プロバスケットボールのBリーグ「京都ハンナリーズ」でプレーする岡田優介(35)です。岡田は青山学院大を卒業後、現役選手のみならず会計士として、また3x3(スリー・エックス・スリー)のプロチーム「TOKYO DIME」の共同オーナーなどとしても活躍しています。4回の連載の3回目は、青学時代についてです。

「関東で最も練習がきつい」と聞いて土浦日大高へ 京都ハンナリーズ岡田優介2

いちばん成長できる環境を求めて青学へ

大学進学にあたり、岡田には複数の選択肢があった。その一つは青学。岡田が高1だった2000年に関東大学選手権、関東大学1部リーグ、インカレを制して、3冠を達成した強豪だ。翌01年にも関東選手権と関東1部を制している。もう一つあった選択肢が早稲田大だ。当時の早稲田は関東大学2部リーグを戦っていた。大学こそは日本一になりたいと考えた岡田は、高3の夏に青学への進学を決意した。

しかしその年の秋に、青学がまさかの2部降格を喫した。青学と入れ替わるように1部昇格を果たしたのが早稲田だった。「『何だよ!』って思ったんですけど、『これも運命かな』って」。当時を思い出し、岡田は苦笑いを浮かべた。

それでもぶれはなかった。中学生のときに「関東で最も練習がきつい」からと土浦日大を選んだように、大学でも同じ理由で青学への思いを膨らませた。「青学は練習がいちばんきついというので有名だったんですよ。きつい環境にいくことで自分を高められる。青学でなら自分がいちばん成長できるだろうなと思ったんです」

2年目に1部復帰、勢いのまま1部優勝

他の強豪校なら部員は60人を超えるような大所帯なのが一般的だが、青学は15人程度と少数精鋭で、スポーツ推薦枠も極めて少ない。加えて練習量だけでなく、その質も違う。当時の関東大学リーグを見渡してみると、日大には身長2mを超える太田敦也(現・三遠ネオフェニックス)など、すでに選手の大型化が進んでいた。その状況で、バスケ選手としては小柄なプレーヤーが多い青学は速攻で対抗。しかし2部リーグもレベルは高く、青学は1年での1部復帰を逃した。

青学時代にトレーニング方法や戦術を学んだがことが、いまに生きている(写真提供・青山学院大学男子バスケットボール部)

青学ではハードワークが求められる一方、ロジカルなバスケへのアプローチ手法もとられていた。戦術を学び、トレーニングでも心肺系や筋力系、持久力系など、細分化して肉体を鍛える。その結果が試合にも現れ、岡田が2年生だった04年には1部復帰を果たす。さらに3年生になった翌年には復帰してすぐに1部を制し、インカレでも準優勝をなし遂げた。

青学時代を振り返り、いまも岡田の胸に深く刻まれているのが、1部復帰を決めた2年生のシーズンだ。「1部との入れ替え戦はすごく記憶に残っています。その先の1年が決まる勝負ですからね。後にも先にも、Bリーグに入ってからも、入れ替え戦を経験したのは大学時代のあの1度だけなんです」。奇しくも相手は、早稲田だった。運命はここでも複雑に絡み合っていた。

宗教学から奥行きを、経済学から合理的判断を学び

科学的なトレーニングなど大学時代にバスケでやってきたことは、Bリーグで戦う現在にも生きている。その一方で、「せっかく大学にいっているんだから学ばないともったいないと考えて、むしろ普通の学生以上に熱心に授業に通っていました」と言うように、学生の本分である勉強にも手を抜かなかった。

国際政治経済学部を選んだのも、「英語と数学が得意というか、学びたい勉強だったんです。英語は選手としてのキャリアでも使うだろうし、数字を扱うことは得意だったので、その両方がマッチするかなと思って」というのが理由だった。

バスケで日本一を掲げて進んだ大学時代も、勉強をおそろかにしなかった(撮影・齋藤大輔)

また、学問そのものが気付きのきっかけになった。ミッション系である青学では、キリスト教概論が必修科目となっている。「宗教学には『なんか怪しいな』という先入観があるかもしれませんが、学んでみると『こういう考え方が奥底にあって、それをベースにして学問というのはこうやって成り立っていくんだな』と感じました。それぞれの分野や学問には基本概念があって、それに基づいてどんどん掘り下げていくんだろうなと思って、いろんなことに、さらに興味が出てきました」と、岡田は話す。

とくに興味をひかれたのが、経済学の授業だったという。

「経済学がすごく好きでした。経済学の基本的な考え方は、いまも自分の中で物事を判断する基準になっています。具体的に言うと『合理的判断』です。経済学にはミクロやマクロのようにとらえ方がいろいろあるし、消費行動といった人間の心理的な理論などもある。それらを通して、人間は選択をしていきます。合理的判断も非合理的判断もあるけれど、自分の選択への客観視が、経済を学んでいる人の基本的な考え方にはあると思いますね」

大学での日々は、その後に続く岡田のキャリアの礎になっている。

何をしたいかを求め続け、選手兼経営者のいまがある 京都ハンナリーズ岡田優介4完

 

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プロが語る4years.

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