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連載:アメフト応援団長・コージコラム

日本一のアメフト部に入って驚いた3つのこと 「コージ・トクダ物語」大学編2

法大の主将としてチームを甲子園ボウルに導いた(本人提供)

4years.をご覧の皆様こんにちは。アメフト応援団長のコージ・トクダです。まもなく暑い暑い夏がやってきますね。アメフト部からすれば、あまり得意ではない季節なのではないでしょうか。なぜならアメフトはスポーツの中でも有数の「装着する防具の多いスポーツ」だからです。

運動できる格好になった服装から更に、ヘルメット、ショルダーパッド、ハンドグローブ、膝パッド、モモパッド、スパイクなど多くの防具を装着していきます。故に体から出た熱がなかなか外に抜けてくれないのです。冬はそのお陰で暖かさが持続します。

東京に来た通天閣! 好評につき「コージ・トクダ物語」大学編1

暑さに負けるな!

これから訪れる夏は、アメフト部には特に厳しい季節になることでしょう。ちなみに、バラエティーなどでたまに演者が体を張る企画で肩に大きい防具を着けているのを見ますが、あれはまさにアメフトのショルダーパッドなのです。そんな時は、アメフトが頼られている様な気がして少しだけ誇らしくなります(笑)。

さて、前回のコージコラムから「禁断の大学時代の話」をお送りさせて頂いております。

右往左往しながら高校のアメフト時代を乗り越えて、セレクションという入部試験の段階で出鼻を挫(くじ)かれるも、なんとか当時日本一の強豪チーム法政大学トマホークス(現オレンジ)に入部することになった僕。今回からは、当時1年生の僕の目線からチームが「どの様な取り組みを行っていたのか」「どの様に日本一という大きな目標を達成することが出来たのか」などをお送りしたいなと思います。少しでも現アメフト部の役に立てれば本望です。

今季の法大は9年ぶりの甲子園ボウル出場を目指す(撮影・朝日新聞社)

おっと、その前にどうしても今回のコラムで伝えないといけない事があります。今でも僕が「物事を環境のせいにはしない」と決めた理由が入部してすぐにありました。まずはその話を。

土のグラウンド、トレーニングルーム……

日本一のチームに入部した僕が始めに驚いた事が三つある。

一つ目は、グラウンド環境。芝でしか試合がないアメフトなのに、何故(なぜ)か土のグラウンドなのである。一部リーグ強豪校ではまず有り得ない。試合の度に普段練習している足の感覚と大きく変わってしまうからである。

それに、練習の度にグラウンドにラインを引く作業があるし、練習終わりは毎日、土でユニホームがドロドロになる。雨の日は、練習が出来ないか朝早く集まってスポンジで水たまりの水抜き作業をする。とても日本一のチームの環境とは思えなかった。

二つ目は、トレーニングルーム。アメフトはフィールド練習と同じくらいウェートトレーニングが大事である。大きく丈夫な体作りが基本。故に強くなるには充実したトレーニングルームが必要なのである。なのに、チームにはボロボロなトレーニングルームしかなかった。

重りは左右違う種類の重りしかないし、マシンといってもウェートが開発された昭和生まれの初期マシンしかない。誰かがトレーニングをすると「ギーギー」音がしてその音で回数を数えるという始末。なぜこれで日本一のチームになれるのか不思議だった。何よりあの大きな体を作る事が出来るのか不思議だった。

最後の三つ目は、コーチ陣。アメフトは一見ただのぶつかり合いの様にも見えますが、実は戦略スポーツと言われている。体以上に頭を使うスポーツなのである。故に日々コーチ陣と意見を交わし合い、疑問を解決していく必要がある。

ただ、このチームにはどこを見渡しても学生しかいない。週末にちょろっとコーチは来てくれたりするのだが基本的にはいない。日本一のチームにはとてつもない数のコーチ陣がいるかと思っていた。何故だ。不思議だった。

2009年の甲子園ボウルで(撮影・朝日新聞社)

環境に嘆くのはやめよう

でもこの違和感は最初だけ。後に、それぞれのディスアドバンテージが故に強くならざるを得ない秘訣が沢山詰まっていたのである。「学生主体の運営」。まさにここに詰まっていたように思う。

自ら考え自らの意思で行動する。練習を無しにしようと思えば簡単に無しにできる状況で、あえて自分達を追い込むメニューを組み立てる。そうして掴(つか)み取った日本一という称号。

「環境に嘆くのはやめよう」。これは皆が言わずして心に留めている最大の共通認識だったのである。

次回もお楽しみに。

アメフト応援団長・コージコラム

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