M高史のホクレン・ディスタンスチャレンジ第1戦・士別大会、実況レポート!
今年で19年目、来年で記念すべき20周年となるホクレン・ディスタンスチャレンジ!中・長距離界の夏の風物詩ともいえるこのシリーズは夏の北海道の涼しい気候の中、毎年白熱したレースが繰り広げられ、数多くの好記録が誕生しています。
そんなホクレン・ディスタンスチャレンジ2021の第1戦・士別大会へ伺ってきました。今年も昨年に続いて無観客開催ということで大会は日本陸連公式YouTubeにてライブ配信。日本陸連の長距離マラソンディレクター・河野匡さんとお隣で、なんとM高史は実況とインタビュアーを務めました!
初のホクレン実況、心を込めて準備
今回は無観客開催となり、ライブ配信を楽しみにしてくださる方に選手の熱い走りをお伝えしたいと思って心を込めて取り組みました。陸上界の大先輩であり、知識も経験も豊富な河野さんのお隣ということで、絶対的な信頼がありました(笑)。僕の方では河野さんのお話に少しでもお役に立てればと、選手の細かな情報をまとめた「M高史メモ」を準備し、いざ配信スタートです!
各選手の最近のレース結果を事前に調べておくのはもちろんですが、幸いにも、以前取材でお世話になった選手も多く出場していて、話のネタには事欠きませんでした。感謝です。
特に「M高史の走ってみました」やポップライン萩原さんとの「大学女子駅伝応援プロジェクト」、さらには「M高史の部活訪問」で練習に参加させていただき一緒に走ったことのある選手の皆さんも多く出場していて、嬉しかったですね。
また、コロナ禍での開催ということで、主催者、関係者の皆さまも準備や対策を徹底されていました。
ホクレンディスタンス開幕!
さて、いよいよレースがスタートです。このとき16時台でしたが気温は30度もあり、まだ暑さを感じるコンディションでした。はじめの1500mでは女子が2名、男子が5名の出場。日本選手権直後ということで、やや寂しい感じもありましたが、出場された選手の皆さんは熱い走り!女子1500mは出場した石澤ゆかり選手(エディオン)、金子陽向選手(川崎市立橘高校)とも自己新の走りでした。
男子1500mは大学生5名の出場。ラストスパートを制した梅谷康太選手(流通経済大学)が3分51秒34で優勝。梅谷選手の兄・梅谷健太選手(サンベルクス)は日本選手権800m4位の実力者。お兄さんをリスペクトして追いかけ続けています。
気になる学生アスリートの結果は
17時05分スタートの男子5000mD組の頃には26度まで気温も下がってきました。この組ではまだペースメーカーがつかないので、出場選手たちが自分たちでペースを作っていきます。D組では身長189cmという長身の前田義弘選手(東洋大3年、東洋大牛久)が序盤から積極的にペースを引っ張ります。長身の前田選手はバックストレートを走っていても実況席からもよく見えます(笑)。
前田選手が積極的にペースを作ったあと、集団もバラけていきまして、ラスト1周で富田遼太郎選手(スズキ)が仕掛けます。大阪経済大学の頃に取材でもお世話になった富田選手。素晴らしいスパートを見せてトップを飾りました。
レース後、富田選手は「暑い中でしたが、メンタル的にやられたらダメだなと思って、気持ちの部分はしっかりと持ってレースに挑めたなと思います。ラストスパートは自分にとっての武器なので、その武器を使って優勝できたことを誇りに思います。今後は5000m13分40秒台、10000m28分30秒台を最低でも出して、2〜3年後にはマラソンでも戦っていきたいです」と話しました。
2位に続いたのは河野さんの大学の後輩でもある筑波大学主将の杉山魁声選手(4年、専大松戸)。自己ベストを大きく更新し14分05秒09。積極的な走りを見せた前田選手は終盤も粘って14分05秒72と自己ベストで4位となりました。
川内優輝選手が3000mで現状打破!
男子3000mでは河合代二選手(トーエネック)がペースメイクを務めました。10000m27分34秒86の記録をもつ河合選手は第2戦の深川大会10000mに出場する予定。この日は2000mを5分20秒77で引っ張り、そこからフィニッシュまでは余力を持って走っていました。
河合選手の素晴らしいペースメイクについていった選手の皆さんが怒涛のようにフィニッシュラインへ。日体大からカネボウに進んだ池田耀平選手が7分56秒10でトップ。8位までが7分台。大学生では東洋大ルーキーの甲木康博選手(城西大城西)が7分59秒49の好記録をマークしました。僕がものまねさせていただいている川内優輝選手(あいおいニッセイ同和損保)は8分01秒42と大きく自己記録を更新。9年ぶりの5000m13分台に向けて弾みとなる現状打破を体現される走りを披露しました。
レース後、優勝を飾った池田選手は「タイム的には7分50秒あたりを狙っていましたが、練習で意識してきた『勝つ』ことを本番で体験でき、今後につながるレースだったと思います。今後はパリ五輪10000m代表を目指して、まずは標準記録突破と日本選手権優勝を目標にこの3年間やっていきたいです」。と力強くお話されました。
川内選手は「自分の限界ギリギリのペースでしたが、河合くんの素晴らしいペースメイクと周りの選手の頑張るぞという思いに乗っかって自己ベストを更新することができました。さっそく士別から現状打破できたので、今後、深川、網走、北見と現状打破を続けたいと思います」と笑顔でお話されました。実況席の河野さんも興奮されるほどの激走でした。
また3000mには松浦高校の網本佳悟選手(3年)、川原琉人選手(1年)も出場。
網本選手は九州高校総体で14分23秒74ながら8位。北九州高校総体は6位が14分12秒86という超ハイレベルな激戦となり、網本選手はインターハイに行けなかった悔しさを晴らすべく8分16秒10で自己ベストの走りでした。
川原選手は中学歴代3位の3000m8分20秒42の記録を持ち、高校1年ながら出場。出場20名のうち20位でしたが、果敢に実業団選手、大学生にも挑まれた経験はきっと今後につながっていきますね!
1秒を削り出す!及川選手のスパート
5000mB組では東洋大の及川瑠音選手(3年、一関学院)がラスト勝負を制して日本人トップ。13分47秒98と自己記録も大きく更新。得意のラストスパートで、1秒を削り出す走りを体現されていました。
レース後、及川選手は「ペースメーカーもいて、自己ベストを狙いやすいレースでした。上の選手と戦うためにここで確実に自己ベストを出さなきゃと責任感を持って、フィニッシュするまで集中して走りました。自分の持ち味はスパートなので、絶対に負けない強い気持ちでその1秒を削り出すことができたと思います。次の深川でもチームに勢いをつける走りをしたいです」。
青山学院大学勢では佐藤一世選手(2年、八千代松陰)も13分49秒74、山内健登選手(2年、樟南)も13分57秒27と13分台で入ってきました。
5000mA組では青学・近藤選手が日本人トップ
気温も20度まで下がり走りやすくなってきた5000mA組は佐藤悠基選手(SGホールディングス)、野中優志選手(大阪ガス)といった実力者が揃う中、青山学院大学の近藤幸太郎選手(3年、豊川工)が13分34秒88で日本人トップ。
「ずっといいペースで引っ張ってもらってただけなので、最後ちょっと出させてもらって、引っ張ってもらった方々には感謝しています。途中から青学記録の13分37秒を意識して走っていました。今後は駅伝シーズンに向けてもう一度夏合宿で土台作りをしていこうと思います」と青山学院大学記録を更新する快走も謙虚にコメントされたのが印象的でした。
さて、第1戦から多くの自己記録更新者が続いたホクレン・ディスタンスチャレンジ。この社会情勢の中、選手の皆さんが輝ける場所をなんとかして作りたいという関係者の皆様の熱い気持ちがひしひしと伝わってきました。
大会を開催していただいたことへの感謝を口にされる選手も多かったですね。今回のレポではご紹介できなかった選手の皆様も熱い素晴らしい走りをされていました!
来年は20周年となるホクレン・ディスタンスチャレンジ。来年のことはわかりませんが、観戦可能になって選手の皆様の熱い走りを思いっきり応援したいですね!まず今年はライブ配信での応援よろしくお願いいたします!