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連載:OL魂

立教大学のルーキーOL坂場文哉、「いないとダメでしょ」と言われる選手に

立教大の坂場文哉はOLのセンター。ボールスナップをQBに出し相手DLをブロックする(撮影・全て北川直樹)

アメリカンフットボールの関東大学TOP8は11月13、14日に2組に別れた総当たり戦の最終3試合目がある。Bブロックで初勝利を目指す立教大学のOL(オフェンスライン)で奮闘する1年生の坂場文哉(駒場学園)に注目した。

駒場学園高から入部

この春、新入生の中に、立教大アメフト部としては珍しい高校から来た選手を見つけた。駒場学園。全国制覇の経験もあるアメフトの強豪で他大学の選手ではよく目にする出身高校だが、立教に進学した選手はここ数十年で思い当たらなかった。身長181cm、体重118kgと恵まれた体格で、試合では上級生と劣らぬ動きを見せている坂場がどんな選手か気になって話を聞いた。

立教のOL陣の中で、抜群の体格を持っている

坂場がアメフトに出会ったのは、小学4年生の時だった。家族に本格的なスポーツ経験者はいなかったが、自分がぽっちゃりとした体形だったこともあり、体を生かすことができる競技を探していた。なんとなくラグビーかアメフトが良いのではと思っていたときに、専修大のジュニアチーム「リトルグリーンマシーン」のチラシを目にした。活動場所が家から近かったこともあり、アメフトにチャレンジすることに決めた。

ポジションは体格を生かしてOL一筋だった。中学3年生の時には、「グリーンライズ」で啓明学院中(兵庫県)に10-7で競り勝って全国制覇もした。学校は日大三中に通っていた。そのまま日大三高にも進めたが、アメフトにより力を注ぎたいと駒場学園高を受験することにした。高校3年の秋に3年ぶりの出場となった関東大会で勝ち進み、準決勝で全国優勝した佼成学園に28-35で敗れた。

立教OLの中心として4年間引っ張る決意だ

大学でもアメフトを続けることを決めていた。最初はスポーツ推薦で強豪大に進学する方向で考えていたが、推薦の選考で外れてしまった。学業成績が良かったため、TOP8でアメフトと勉強を両立できる大学を探したところ、AO(自己推薦)入試で立教を受験することに決めた。

立教大には他大学にあるようなスポーツ推薦はないという。主に一貫校から来た選手と一般受験組の入部者でチームを構成している。大柄なラインの選手は、スポーツ推薦枠のある他大学に進むことが多く、特にOLは人材が厳しいのが実情だった。坂場がAO入試でラッシャーズに入ってくれたことは、チームにとって「大当たり」だと奥村宏仁ヘッドコーチ(HC)は話す。慢性的にライン選手が不足する中で、AO入試で経験者のOLが入ってきたのは坂場が初めてだった。

センターでどっしりとプレー

坂場は入学前、チームが始動する3月から練習に合流した。奥村HCによると、高校生感覚が抜けきらない感じなどは一切なく、「入って数日で1年生とは思えない肝が据わっていた。物怖(お)じせずにどっしりと取り組んでいた」という。坂場がプレーするのは、OLの中の真ん中に位置するセンター(C)。プレー開始時にボールスナップをQB(クオーターバック)に出し、その後に守備にブロックに行く必要がある難易度が高いポジションだ。奥村HCは「最強のOLユニットを目指してリーダーシップを発揮し、引っ張ってほしい」と期待をかける。

試合で課題に気付き成長につなげている

大学に入ってからの変化や感想を坂場に尋ねた。「自分が引っ張ってユニットを強くする楽しみがある」と生き生きと話した。1年生ながら責任感と自分の考えをしっかりと持っている。一方で、大学レベルはスピードや筋力が上がったため、まだまだ実力が足りないと向上心も忘れない。「初戦の中央戦よりも、法政戦のほうがしっかりと足をかいてブロックに行けたけど、突っ込みすぎて切られたりもした」と成長と課題が毎試合出てくることが面白いという。

11月13日は高校の同期や先輩が活躍する日本大との対戦となる。日大は駒場学園でともに幹部をし、毎プレースナップを出して「バッテリー」を組んできたQB金澤檀(まゆみ)が先発として活躍している。同じオフェンスなので相まみえることはないが、坂場は「同期対決で負けるのは嫌なので、絶対に勝ちにいく」と意気込む。

当面の個人的な目標は、仲間に認められて頼られることだ。「『坂場文哉がいないとダメでしょ』と言われるような選手になりたいです」。チームメイトに信頼されるCになり、立教のランとパスを中心で支えるプレーヤーになる。

OL魂

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