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連載: プロが語る4years.

「“4人目の外国籍”みたいな存在に」これからもセンターとして 滋賀・川真田紘也4

海外出身者が多く活躍する、インサイドで川真田は戦っている (c)SHIGA LAKES

今回の連載「プロが語る4years.」は、滋賀レイクスの川真田紘也(かわまた・こうや、24)です。2021年に天理大学を卒業後に滋賀へと進み、22年には日本代表候補に選出されました。4回連載の最終回は滋賀で戦う今とこれからについてです。

コロナ禍で決意、天理大でのラストゲームで魅せたプレー 滋賀・川真田紘也3

「自分はやっぱりセンターが好き」

Bリーグは現在、2人の外国籍選手と1人の帰化選手、要するに3人の海外出身者が同時にコートに立てるレギュレーションを施行しており、その大半がペイントエリアを主戦場とするビッグマンだ。太刀打ちできないような体格と身体能力、そしてNBAやユーロリーグという世界最高峰の舞台を経験してきた彼らとの違いをアピールするため、日本人ビッグマンたちはアウトサイドに活路を求めるようになった。川真田も、必死でアウトサイドのプレーを身に着けている最中だと話すが、その口調はどことなく重い。話を聞いていくと、理由が分かった。

「3ポイントを打つんやったら外回りのポジションの人でいいし、中を攻めるんなら外国籍か帰化でいい。そんなふうになってしまわないかなって考えるんです。日本人ビッグマンってどの選手もプレータイムが短いですけど、自分はやっぱりセンターが好きなので、センターとして、ローポストでしっかり1対1で点を取りたいという目標があります。そして、僕がそういうスタイルで成功して、学生の大きな選手が『こんな選手がいるんやったら俺もセンターを頑張ろう』って思ってくれたら、さらに嬉(うれ)しいです」

“接触上等”のメンタリティ

センターが好きな理由を「体の張り合い」と答え、昨シーズンは一時期、「一番強い相手だから」という理由で、壁とのぶつかり稽古に熱心に励んでいた。「相手とがつがつ当たって、密着している状態でシュートを打って『エンワーン!(アンドワン)』ってなったらそれだけで楽しいじゃないですか。それを海外の選手相手にやれたらめちゃくちゃ嬉しいと思うんですよね」と興奮した口調で話す川真田は、ビッグマンにも3ポイントシュートを求める日本代表の候補合宿でも、その考え方を大切にしているという。

9月10日に行われたプレシーズンマッチでは豪快なダンクを決めた (c)SHIGA LAKES

「外回りのオフェンスをどれだけ突き詰めても、中で勝負できる人は絶対必要だと思うんですよ。トムさん(トム・ホーバス男子日本代表ヘッドコーチ)からも、どちらかというとスクリーンとかセンターとか、ザ・センターっぽい動きを頑張ってほしいと言われていますし、『川真田がいるんだったら、中を使ってもいいかな』って思ってもらえるような存在になれるよう、頑張っています」

3ポイントシュートを気持ちよく打つ最善策はオフェンスリバウンドを確実に奪うことであり、いいシューターをノーマークにするには分厚いスクリーンが必要不可欠だ。ホーバスヘッドコーチは「あと何年かかるか分からない」と前置いた上で、「いい選手になりそう」と川真田を評した。“接触上等”のメンタリティを備えた川真田の成長にかけるホーバスヘッドコーチの期待は、言葉以上に大きいものかもしれない。

「バックアップとは考えていません」

創設15周年の節目となる今オフ、クラブはチーム名を「滋賀レイクスターズ」から「滋賀レイクス」へと改め、新B1参入と日本一を大々的な目標に掲げた。西地区10位に沈んだ昨季から一転し、まだ見ぬチャンピオンシップ(CS)出場、そしてリーグ制覇を見据えた新しい戦いが始まる。川真田にとってはプロ2年目。飛躍のシーズンとするためポイントはディフェンスだという。

「オフェンスはフォーメーションで誰に打たせるか決められるから、たとえ自分にボールが入らなくても、しっかり仲間をフリーにして点をとってもらえばいいわけです。だから、ディフェンスですよ。どれだけ相手の外国人ビッグマンを守れるかってところが、プレータイムを伸ばす一つのカギになると思います」

今季からチームに加わった3人の外国籍ビッグマンは、全員が“超”がつく実力者ぞろい。天理大学4年生の春、たった2年前にプロを志した川真田が彼らの間に割って入るのは、まったくもって簡単なことではない。しかし、8月の代表合宿の際、「起用のされ方は帰化選手のウィリアムス ニカ選手(島根スサノオマジック)のバックアップを想定していますか?」と質問した筆者に、「毎回選ばれるたび、フルメンバーに入ろうと思っていますし、ニカ選手からレギュラーを奪うぐらいのつもりでやっているので、バックアップとは考えていません」と反論した川真田は、臆していない。

オンコートでもオフコートでも、「あの選手面白いな」と思ってもらえるような選手になる (c)SHIGA LAKES

「これ、毎年思ってることなんですけど、『川真田がいたら外国籍を1人取らなくても済むな』って思わせるぐらいの存在になりたいなって思ってて。今年は“4人目の外国籍”みたいな存在になれるよう、頑張りたいですね。チームとしてCS出場や優勝を目指すのは当たり前として、個人としても活躍して、目立って、いろんな人が試合を見に来てくれるきっかけを作れたらええなって思います」

プロが語る4years.

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