陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

医療や鍼灸を学びながら、杜の都・富士山を目指す 明治国際医療大学の挑戦!

古西亜海選手(写真左)を中心に楽しみな選手が力をつけてきています

今回の「M高史の陸上まるかじり」は明治国際医療大学陸上競技部のお話です。今シーズンはシェイラ・チェロティチ選手(2年、益田東)が日本学生個人選手権1500mで優勝。今月9日から始まる日本インカレには古西亜海選手(1年、豊岡総合)が1500mに出場します。選手の皆さんは看護学科、救命救急学科、鍼灸(しんきゅう)学科、柔道整復学科と国家資格が取得できる学科に所属して、文武両道で勉強にも競技にも打ち込んでいます。今回は杜(もり)の都駅伝、富士山女子駅伝出場を目指す女子中長距離の皆さんを取材させていただきました。

国家資格を取る前提で、学業も競技も

JR京都駅から電車に揺られ、約1時間。京都の街並みから徐々に景色も変わり、緑豊かな自然に囲まれた京都府南丹市へ。鍼灸大学前駅を降りると、明治国際医療大学の看板が見えてきます。入り口からかなり急な上り坂を進んでいくと、陸上競技部長距離監督の大西毅彦監督が出迎えてくださいました。

大西監督は北陵(京都)高校時代にインターハイ800m4位、京都産業大学では日本インカレ1500m5位と中距離から駅伝でも活躍。実業団では1500mで日本選手権入賞も経験しました。昨年6月に明治国際医療大学の陸上競技部コーチとなり、今年度から長距離監督に就任しました。現役時代は双子の弟・洋彰さんと切磋琢磨(せっさたくま)してきて、今でも双子で市民ランナーさん向けに練習会も開催しています。

今年から監督に就任した大西毅彦監督

「まずは動きにこだわってやっています。動き作りでは一つひとつ丁寧にですね。大学生なので、選択制にしています。必要とする選手にはドリルを教えたり、なるべく筋肉だけで走らないように、重心をうまく使えるように指導しています」とランニングフォームを大事にしている大西監督。

現在、陸上競技部に所属しているのは看護学科、救急救命学科、鍼灸学科、柔道整復学科の4学科。国家資格を取る前提で学業にも競技にも打ち込み、日々現状打破されています。

「授業で課題がたくさん出ます。朝練は7時からやっていますが、テスト前だったり課題があまりにも多くて夜遅くなったりする場合、選手から連絡をもらえれば朝練を休ませるようにしています。睡眠時間をとって、いい状態でやろうという話はしていますね」。大西監督は選手たちのコンディションに合わせて、良いパフォーマンスが発揮できるように柔軟に対応しています。

留学生のシェイラ選手も鍼灸学科で学ぶ

チームを引っ張るのはシェイラ選手。ケニア出身で、益田東高校から明治国際医療大学に入学し2年目。今季は日本学生個人選手権1500m優勝など、持ち前のスピードを発揮しています。そんなシェイラ選手は鍼灸学科で勉強をしています。これまで数多くのケニア人留学生が来日していますが、鍼灸学科で学ぶ留学生は珍しいですね! 明るくて真面目なシェイラ選手は授業も熱心なようです。

走るのが大好きなシェイラ選手。日本学生個人選手権では1500mで優勝

現在、女子の長距離部員は10人。今はマネージャーが不在のため、男子の指導もしている大西監督は練習中も駆け回ります。大西監督は今年で38歳ですが、1500mは今でも3分台。練習で選手を引っ張ることもあります。

「チームの目標は全日本大学駅伝に出場することです。ただ、僕は中距離出身なので、中距離を教えていると結構面白いんですよ。僕自身、中距離をやってきて駅伝も走っていたので、1500mをやりたい選手とか入ってきてくれるとうれしいですね」と中距離から駅伝まで活躍してきた大西監督ならではの思いが伝わってきます。

「入ってきた選手みんなが自己ベストを出してほしいですが、動き作りや動きの大切さを学んでほしいですね。鍼灸、柔道整復といった勉強は、体の構造なども学ぶので競技にも生きます」。将来はスポーツに携わりたいという選手も多いそうです。

練習の一コマ。左が看護学科2年の堀彩美選手、右が鍼灸学科1年の古西亜海選手です(提供・明治国際医療大学陸上競技部)

日本インカレ1500m出場の古西選手も注目!

1年生で鍼灸学科の古西亜海選手も注目です。

豊岡総合高校時代、1500m4分45秒、3000m10分10秒と目立った成績は残せなかったそうですが、「鍼灸を勉強したいというのが第1にありました。高校の県大会が終わってから記録も伸び、大学でも競技を続けようと思いました」と勉強と競技を両立できるということで、明治国際医療大学に進みました。

「勉強は大変ですね(笑)ただ、体のことがわかるので競技にも生きています」と話す古西選手。高校時代の記録も大幅に更新し、関西インカレの1500m予選では4分30秒45の自己新。決勝でも8位入賞の走りを披露しました。

この夏も試合に連戦出場し、全日本医歯薬獣医大学対抗陸上競技選手権では1500m、3000mの2冠。3000mでは西原理恵子さんが持つ大会記録を19年ぶりに更新しました。関西新人陸上では1500m、5000mで2冠を達成。さらには今月3日の近畿選手権5000mで16分39秒49の自己ベストを出し、優勝を飾りました。

1年生の古西選手は関西学生新人で2冠を達成(提供・明治国際医療大学陸上競技部)
「走る歯医者さん」好士理恵子さんは日大歯学部から大学駅伝へ、20年ぶりの自己新を

今月9日から行われる日本インカレに1500mで出場する古西選手。「大舞台で戦えるように頑張りたいです。将来的には実業団選手の治療など、トレーナーになりたいです」と将来の展望もお話しされました。もっとも大西監督によりますと「実業団でまずは選手としてやっていけるだけの力があります。トレーナーになるのは現役を引退してからできますし」というほど、期待のルーキーです。

シェイラ選手、古西選手を中心に、関西から大学女子駅伝界に新たな風を吹かせる明治国際医療大学に注目です!

明治国際医療大学陸上競技部中長距離の皆さん。大西毅彦監督ご指導のもと男女とも同じグラウンドで活動しています

M高史の陸上まるかじり

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