陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

春合宿でお世話になった名城大学が7連覇達成! 全日本大学女子駅伝の取材リポート

全日本大学女子駅伝で7連覇を達成した名城大学の皆さん(すべて撮影・M高史)

今回の「M高史の陸上まるかじり」は10月29日に開催された全日本大学女子駅伝のお話です。名城大学が前人未到の7連覇を達成した今大会。M高史は4years.から報道・記者として伺ってきました!

名城大学が全日本大学女子駅伝7連覇! エース不在も「部員全員でつかみ取った」優勝

コースを体感、細かな起伏と風がカギに

レース前日、仙台に宿泊。夜から朝にかけて雨も降っていましたが、朝6時ごろには雨もやんできました。今日は朝の時間帯しか走れないなと思っていたのと、実際に選手が走られるコースをこの目で、この足で実感したいなと思いまして、朝練習へ。駒澤大学の後輩で現在は仙台在住の岩井太秀さんに、仙台の街やコースの一部を案内していただきながら一緒に走ってきました。

聞いてはいましたが、実際に走ってみると細かな起伏があるのを感じます。ジョグではそこまで気にならなさそうですが、レースのペースで走るとキツいでしょうし、さらにこの日は北からの風がやや強いコンディション。坂や風への対応力、ロードへの適応力、トラックのタイムだけでは測れない強さが求められるなぁ、と朝練をしていて感じました。

初めて全日本大学女子駅伝を取材させていただきました

コース上を走っていると、選手の皆さんが朝練習をしていました。本番に向けて緊張の面持ちの選手や、以前取材でお世話になった選手が笑顔であいさつしてくれるなど、リラックスした表情を見せる選手がいました。

富士山女子駅伝は毎年取材に伺っていますが、全日本は初めての取材でした。弘進ゴムアスリートパーク仙台(仙台市陸上競技場)は応援の方や関係者の方でにぎわっていました。コロナ禍も明けて有観客での開催ということもあって、応援にも力が入りますよね! プレスルームもたくさんのメディア、記者の方がいらっしゃいました。

春合宿で皆さんの推進力、走りの速さを感じました

今年から競技場がフィニッシュになるなど、コースや距離が一部変更となりました。1区の選手たちがウォーミングアップを終えて、スタートラインに。1区は競技場内をスタートし、トラックを約2周と少し走ってから外に出ていきます。

外に出ていく瞬間が撮影ポイントで各メディアの皆さんがカメラを持ち、その瞬間を待ち構えます。

競技場を2周し、勢いよくロードへ駆け出していく1区の選手の皆さん

レースは序盤から名城大学と立命館大学が競り合いました。立命館大学は1区・村松灯選手(3年、立命館宇治)、2区・太田咲雪選手(1年、立命館宇治)の連続区間賞で先行しますが、3区で名城大学・石松愛朱加選手(2年、須磨学園)が逆転。そのまま逃げ切って前人未到の7連覇を達成しました。

3月に名城大学の宮崎合宿を取材し、練習にも参加させていただきました。テレビでも現地観戦でも選手の皆さんの速さはわかりますが、一緒に走ったことで皆さんの推進力や走りの軽さをより感じさせていただきました。名城大学の皆さんには大変お世話になりました。

2区を走ったのは力丸楓選手(1年、仙台一)。春合宿の時には「4年間で駅伝を走れるようにしたいです」とお話しされていました。高校時代は東北大会の1500mと3000mで7位が最高でインターハイに進むことができなかった力丸選手ですが、4年間どころか1年目からメンバー入りして優勝メンバーに! 4区を走った薮谷奈瑠選手(1年、大阪薫英女学院)をはじめ同学年の皆さんもきっと刺激になっていることでしょう!

アンカーの谷本七星選手が区間賞の走りで逃げ切り、7連覇のフィニッシュ!
名城大女子駅伝部の宮崎合宿、走って取材! 全日本6連覇、強さの秘訣を体感しました
名城大学女子駅伝部、Aチームと新入生参加の宮崎合宿メンバーにインタビューしました
名城大学女子駅伝部に、個性豊かなルーキーが加入! 4年生になるとき開学100周年

年末の富士山、来年の全日本に出場するために

全日本大学女子駅伝は順位によって、翌年の全日本や今年の富士山への出場が決まります。シード権となる8位以内に入ると、翌年の全日本にも出場することができ、今回は東北福祉大学が過去最高順位を更新する8位入賞となり、東北勢では初となるシード権を獲得しました。

シード権を逃したチームは翌年に行われる各地区の選考会を勝ち上がるか、5000mのシーズンベスト上位6人による「アディショナル枠」で選ばれれば、再び全日本に出場することができます。

東北勢初の8位入賞となった東北福祉大学。アンカーは小林日香莉選手

そして、今回の全日本で12位以内に入ったチームは、今年の年末に行われる富士山女子駅伝に出場することができます。13位以降のチームは5000mのシーズンベスト上位7人の合計タイムによって全国から選出される10校の中に入れば、富士山女子駅伝を走ることができます。「シーズンベスト」というのがキーポイントで、4月1日からエントリー前日までの記録により選出されます。

12位・拓殖大学の片桐紫音選手と13位・東洋大学の江口春姫選手

また全日本は8位までがシード権獲得となりますが、9位から17位までに入ったチーム数の分だけ「成績枠」として各地区に振り分けられます。この9位から17位の成績枠が、シード権を獲得できなかったチームや今回選考会を突破できなかったチームにとっても重要です。今回全日本を走れなかったチームは、地区を代表して出場した大学が17位以内に入るかどうかで、翌年の選考会の枠が増えるか減るかが決まるというところで、きっと注目されていたかと思います。

9位から17位までには、関東地区のチームが7校入りました。関東地区からは来年、シード校の3校(大東文化大学、城西大学、日本体育大学)以外に7校が選ばれます。一方、9位から17位までのチームのうち、関西地区は14位の大阪芸術大学のみだったため、来年の関西地区選考会は1枠を争う激戦(今回シード権を獲得した立命館大学、大阪学院大学、関西大学を除く)になることが予想されます。ただ、現在の出場校選出方法のルールを当てはめた場合ですので、もしもルール変更があった場合は変わることもありますのでご了承ください。

さらに、各地区ごとの選考会の他に、5000mのアディショナル枠もあるので、5000mの強化というのは引き続き必要になってきますね!

16位・亜細亜大学の金井美凪海選手、17位・中京学院大学の丹戸瑠梨選手

レース後、各校の監督さんにお話を伺いました!

さて、レース後は各大学の陣地がわからず、バタバタしてしまいました(汗)。他のメディアの方と一緒にグルグル駆け回っておりました(笑)。

そうこうしているうちに閉会式が始まります。合間を見つけて、取材させていただいた監督さんのコメントもご紹介します。

14位の大阪芸術大学。アクシデントもありましたが「後半3区間は上位校にも負けない記録でいっていると思います」とお話しされた中瀬洋一監督。3区を終えた時点での23位から4区・鈴木杏奈選手(4年、和歌山北)、5区・北川星瑠選手(4年、比叡山)、6区・古原夏音選手(4年、四国学院大学香川西)の4年生3人が力走し、14位まで順位を上げてフィニッシュとなりました。富士山女子駅伝は2年連続で区間賞を獲得しているエースの北川選手を筆頭に、雪辱を誓います。

14位・大阪芸術大学のアンカーは古原夏音選手

16位には亜細亜大学が入りました。昨年、22年ぶりの全日本出場を果たし、2年連続の出走でした。「学生たちが本当に頑張ってくれました。18位以上が目標でしたが、それを上回る16位。一人一役を遂行して、チームみんなでフォローしあった結果だと思います」と岡田晃監督は選手の頑張りを評価されていました。

19位は環太平洋大学。吉岡利貢監督は「目標タイム、目標順位の通りでしたし、終わってから選手を褒めました。うちは800m、1500mといった中距離選手が中心ですが、中距離で勝負するには駅伝などの持久力も必要になってきます」というアプローチから、全国の舞台で襷(たすき)をつなぎました。駅伝で鍛えたスタミナを生かして中距離での活躍にも注目です。

中距離選手がそろう環太平洋大学は19位。アンカーは近江香穂選手

12年ぶり出場の城西国際大学は23位でした。森岡芳彦監督は「まずは第一歩、進むことができました。(アクシデントもありましたが)諦めず、後半もよく頑張りました。悔しさをバネに、富士山に向かっていきたいです」と前を向いてお話しされました。

城西国際大学アンカーの長島奈南選手(1年、成田)は区間4位の力走。ちなみに長島選手のご家族からも、スタート前とレース後に丁寧なごあいさつをいただきました。選手の皆さんにとって応援は力にも、モチベーションになるでしょうし、選手の家族や関係者の方も、力いっぱい応援できるというのはうれしいことですよね!

12年ぶりの出場となった城西国際大学。アンカー長島奈南選手は区間4位の力走

富士山決戦へ、すでに駆け出しています!

レースが終わり、仙台にもう1泊したので、余韻に浸りながら朝練習を行いました。朝日がまぶしい早朝の仙台を走っていると、何人かの選手とすれ違いました。レースの翌朝も、次の目標に向かってすでに走り出している選手の皆さん。年末、12月30日の富士山決戦へ、選手の皆さんはもう駆け出しています!

M高史の陸上まるかじり

in Additionあわせて読みたい