ラグビー

帝京大学HO江良颯が早くも公式戦出場 リーグワン1部の「アーリーエントリー」一覧

チーフス戦でスピアーズの一員として出場した帝京大の江良(すべて撮影・斉藤健仁)

雪と雷に見舞われたラグビーの大学選手権決勝から約1カ月。昨季から大学4年生が卒業を待たずにリーグワンの試合に出場できる「アーリーエントリー制度」が始まり、今年も続々と選手が登録された。最も早く試合に出場したのは帝京大学をキャプテンとして3連覇に導き、昨季の王者であるクボタスピアーズ船橋・東京ベイへの入団が発表されていたHO江良颯(4年、大阪桐蔭)だった。

帝京大・江良颯 「ライバルで親友」との投票と話し合いで決まった主将、めざす3連覇

チーフス戦、スクラムやモールで存在感

2月10日、東京・秩父宮ラグビー場では昨季のリーグワンのトップ4と「スーパーラグビー・パシフィック」の強豪が対戦する「クロスボーダーラグビー」が開催された。スピアーズは昨季の準優勝でニュージーランド代表・オールブラックスの経験者も多数在籍していたチーフスと激突した。

帝京大の岩出雅之・前監督が見守る中、16番を背負った江良は8-21でリードされた後半の最初から出場。最初のスクラムでいきなり相手から反則を誘い、後半20分にはモールからの突破を図りゴールラインに迫るなど、存在感を示した。

突破を図る江良、FW戦で存在感を示す場面もあった

スピアーズのフラン・ルディケHCは「いいパフォーマンスをしていたし、特にスクラムを安定させてくれた。彼のような若い選手が、このようなレベルでやれるということは、日本のラグビー界にポテンシャル、才能がある選手がいるということを示している」と手放しで褒めた。

1月末からチームに合流していたという江良は「世界クラスの相手にチャレンジできることが楽しみだった。自分の強みであるスクラムで手応えがあった。(ラインアウトの)スローイングは何個かミスしてしまった。勉強していかないといけない」と振り返った。

大学4年生ながら世界の強豪と対戦できたことについては「いい経験をさせてもらって大きな自信になった。今季は『主将としてチームをまとめていこう』と考えていたが、(この日は)自分自身にフォーカスしてプレーできたかな。まだまだどれだけリーグワンの相手にできるかわからないので、ひたむきにチャレンジして、少しでもチームの勝利に貢献したい」と声を弾ませた。

ラインアウトには課題を残した

代表候補合宿に大学生も多数参加

一方、エディー・ジョーンズHCが就任したラグビー日本代表は2月6、7の両日、「クロスボーダーラグビー」に参加した4チーム以外の34人の選手を集めて、福岡の強化拠点「JAPAN BASE」で初の代表候補合宿を行った。LO/ FLリーチ マイケル(東芝ブレイブルーパス東京)、NO8姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)ら日本代表のキャプテン経験者らとともに大学生も9人が参加し、春からリコーブラックラムズ東京に進む明治大学のSO伊藤耕太郎(4年、國學院栃木)や帝京大学のWTB高本とむ(4年、東福岡)も汗を流した。

明治大の司令塔・伊藤耕太郎はブラックラムズに進む

「抜く力がある」とジョーンズHCにたたえられた高本が「日本代表になってワールドカップに出るのは夢でした。ワールドカップで勝った選手がいてちょっと緊張したが、体を動かしたら気負うことなくできた」と言えば、リーチが印象に残った選手として挙げた伊藤は「緊張しましたが、大学生らしくフレッシュに楽しくできました。先輩たちと積極的にコミュニケーションを取って、いい感触ができた」と語った。

帝京大の高本は代表候補合宿でジョーンズHCからたたえられた

将来のワールドカップ選手がこの中に!?

では、アーリーエントリー制度などによりリーグワンの各チームで新しい道を歩み始めている大学4年生の進路をディビジョン1の12チームを中心にまとめておきたい。

全12チームがすでに2024年度の新人選手を発表しており、11チームがアーリーエントリーの登録を済ませている。2月17日、または24日からリーグワンの公式戦に出場することが可能だ。

スピアーズには帝京大の江良のほか、決勝で対戦した明治大のキャプテン・CTB廣瀬雄也(東福岡)、慶應義塾大学が誇る万能BK・山田響(報徳学園)も所属することになった。京都産業大学のキャプテンだったFL三木皓正(京都成章)は、帝京大のFL奥井章仁(大阪桐蔭)らとともにトヨタヴェルブリッツへ。天理大学のキャプテンだったSH北條拓郎(天理)は、今季から昇格した三重ホンダヒートに入部した。

他にも早稲田大学のキャプテンだったSO伊藤大祐(桐蔭学園)はコベルコ神戸スティーラーズへ、筑波大学のキャプテンだったNO8/CTB谷山隼大(福岡)、東海大学のキャプテンだったWTB谷口宜顕(東海大大阪仰星)は埼玉パナソニックワイルドナイツでプレーする。なお谷山は7人制ラグビーでパリオリンピック出場にも挑戦中だ。今季の関東大学ラグビーMVPに選ばれた東海大のSO武藤ゆらぎ(東海大大阪仰星)は地元の横浜キヤノンイーグルスへ、法政大学でキャプテンを務めたWTB/FB石岡玲英(御所実業)は東芝ブレイブルーパス東京でプレーする。

ジョーンズHCは代表候補合宿に多くの大学生を呼んだ

大学4年生の多くは卒業式を迎える前から、新しいステージでキャリアを歩み始めている。きっと下記の選手の中から、オーストラリアで開催される2027年ワールドカップに出場する選手が出てくるはずだ。

クボタスピアーズ船橋・東京ベイ
PRイジー・ソード(拓殖大)
PR為房慶次朗(明治大)
HO江良颯(帝京大)
LO/FL梁川賢吉(筑波大)
CTB廣瀬雄也(明治大)
UTB山田響(慶応義塾大)

明治大学PR為房慶次朗 「ハイブリッド重戦車」を体現し創部100周年の日本一を
明治大・廣瀬雄也 「地球上で僕しかできない」100代目主将、王者奪還に向けた行動
慶應義塾大学副将・山田響 黒黄のジャージーの「魂のタックル」を、国立で見せる

埼玉パナソニックワイルドナイツ
PR/FL/NO8タニエラ・ヴェア(東洋大学)
FLシュモック・オライオン(慶應義塾大)
NO8延原秀飛(帝京大)
NO8/CTB谷山隼大(筑波大)
SH萩原周(明治大)

帝京大学・延原秀飛 仲間のため体を張り続けるNO8、大学最終戦を飾り3連覇を

横浜キヤノンイーグルス 
HO平石颯(筑波大)
SO武藤ゆらぎ(東海大)

東京サントリーサンゴリアス
PR山本敦輝(同志社大)

同志社大・PR山本敦輝 古豪の印象を覆したい主将、目標は「帝京に勝って日本一」

東芝ブレイブルーパス東京
PR原渕修人(摂南大)
PRヴェア・タモエフォラウ(京都産業大)
LO/FL/NO8尹礼温(帝京大)
LO亀井茜風(明治大)
FL/NO8アフ・オフィナ(東海大)
SH/SO/FB池戸将太郎(明治大)
WTB/FB石岡玲英(法政大)
FBステファーナス・ドゥトイ(流通経済大)

トヨタヴェルブリッツ
PR川﨑太雅(早稲田大)
PR西野拓真(帝京大)
HO福澤慎太郎(慶應義塾大)
FL奥井章仁(帝京大)
FL三木皓正(京都産業大)
FL村田陣悟(早稲田大)

帝京大学・奥井章仁 高校からの盟友・江良颯とつかんだ日本一「もっと泣くと思った」
京都産業大・三木皓正主将は「タックルの鬼」 ディフェンス強化で10度目の壁に挑む

静岡ブルーレヴズ
PR中山律希(明治大)
HO作田駿介(流通経済大)
SH北村瞬太郎(立命館大)
CTB岡﨑颯馬(早稲田大)
WTB杉本海斗(東洋大)
LOヴェティ・トゥポウ(摂南大)※未登録

コベルコ神戸スティーラーズ
PR森脇光(流通経済大)
SO/FB伊藤大祐(早稲田大)
WTB/FB船曳涼太(京都産業大)

三菱重工相模原ダイナボアーズ 
SO吉本匠希(立命館大)

立命館大学・吉本匠希 負け続けたラストシーズン 悔しさを次のステージでぶつける

三重ホンダヒート 
PR平井建多(九州共立大)
LO笠掛優(東洋大)
SH北條拓郎(天理大)
SH宮坂航生(専修大)
CTB岡野喬吾(同志社大)

花園近鉄ライナーズ
CTB江川剛人(立命館大)
FL/NO8石浦大貴(明治大)
WTB/FBアカウオラ・マヌ(花園大)※未登録
LOシミオネ・シュミット(帝京大)※未登録

※下記のチームは2024年度の新入団選手は発表しているがアーリーエントリーに未登録(2月13日時点)

リコーブラックラムズ東京
PR津村大志(帝京大)
PRサミュエラ・ワカヴァカ(朝日大)
LO山本嶺二郎(明治大)
SH稲葉聖馬(大東文化大)
SO伊藤耕太郎(明治大)
CTBペニエリ・ジュニア・ラトゥ(大東文化大)
WTB高本とむ(帝京大)

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