陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

幹部交代・新チーム始動 当時は箱根駅伝4連覇の喜び以上に、プレッシャー感じました

駒大の同級生だった早瀬浩二くんは現在、第一生命グループ女子陸上競技部でヘッドコーチをしています

今週の「M高史の陸上まるかじり」。思えばこのシリーズも250回となります。「M高史の走ってみました」から合わせて丸5年以上、連載させていただいてます。読んでいただいている読者の皆様、取材させていただいた皆様、4years.編集部の皆様に改めて感謝です!

連載当初に取材させていただいた選手は大学を卒業されて実業団で活躍したり、指導者として新たなスタート切ったり……。勝手ながら親戚気分で応援しています(笑)。

時には「M高史さんの記事を読んで、大学駅伝のマネージャーを志しました」と言ってくださる方もいて、とてもうれしく思いますし、僕のSNS宛てに「大学でマネージャーをやりたいです」と高校生の方からダイレクトメッセージで相談を受けることもあります。

これからも陸上競技に恩返しできるような活動をしていきたいです。

箱根駅伝の直後からフル稼働!

さて、男子は箱根駅伝、女子は富士山女子駅伝が終わり、各大学では幹部陣の交代が行われていますね。

僕は駒澤大学時代、3、4年で主務をさせていただきました。厳密に言うと2年生の箱根駅伝が終わった翌日、1月4日から主務としてスタートしています。この2年間は今振り返っても、人生の中でも密度の濃い期間だったと言えます。

当時の駒澤大学は箱根駅伝で総合4連覇を達成しており、1月3日は歓喜に包まれていました。そんな中、優勝のうれしさよりも「明日から主務だ」という強烈なプレッシャーがあったことをはっきりと覚えています。

大学2年生の時、全日本大学駅伝で優勝(M高史は後列右端)

箱根駅伝の直後からマネージャーはフル稼働しています。試合のエントリーや合宿の準備なども忙しい時期です。テスト期間が終わって合宿を張るチームも多い中、選抜合宿の場合は目標としているレースから逆算し、過去の合宿日程などとも照らし合わせて、練習の消化率なども踏まえながらメンバーを決めていきます。それに伴って交通、宿泊の準備も必要ですし、さらには合宿に同行をお願いするトレーナーさんのスケジュール確認や依頼も行います。

また、細かいことですが、試合に出場したり、合宿に行ったりするたび、大学に書類を提出する必要があります。おかげさまで大学の職員さんとは毎週のように顔を合わせていたので、卒業して17年が経った今でも交流のある職員さんもいます。

大学関係の行事だけでなく、駒澤大学の場合は陸上部後援会の行事もあり、その都度、関係者の方と細かく連絡を取り合います。

4年生が引退して退寮を迎えた後は、4月から入ってくる入学予定者の入寮準備があり、寮の中も引っ越しやら移動やらで、バタバタしています。寮は2人部屋だったので、誰がどの部屋に入るかなども早めに監督に確認しなければなりません。

入寮にあたっては、いらっしゃる保護者の方とも日程を確認し、調整していきます。 

僕の学生時代、当時の寮は全員が入れなかったので、寮のすぐ近くのアパートに下宿する選手やマネージャーもいました。一般入試から入部してきた選手がアパートに入ることもあり、その際は保護者の方や高校の先生と一緒に、近くの不動産屋さんへ行ったことも懐かしい思い出です。

卒業式、入学式を経て、あっという間にトラックシーズンが始まり、地区インカレ、記録会と続き、その後は夏合宿の準備。マネージャーにとっても怒濤(どとう)の日々が続きます。

僕は教職課程も取っていたので、授業数も多かったのですが、ほぼグラウンドか寮にいる生活でしたので、授業中はホッとできる時間でした。ただ、監督からの電話が鳴ると、一瞬で現実に戻りますが(笑)。

先輩の「マネージャーノート」が心の支えに

選手が襷(たすき)をつなぐように、先輩が「マネージャーノート」を残してくださったことも本当に心強く、心の支えといっても過言ではありませんでした。マネージャーノートには、1日の流れが時間軸で細かく記されていました。試合当日は何時に寮を出発して、何時に会場に到着した。陣地はどのあたりに確保した。食事はどこのお店で、いつとった、といった情報が記載されていました。当然、年によって変わることもありますが、参考になることばかりです。

当時はノートに手書きしていましたが、現在のツールを活用すれば、デジタル上でメモを残せるでしょうし、振り返る時も見やすいですよね。ノートだとすごく多い冊数になるので、探すのも大変です。ただ、手書きの方が記憶に残りそうですし、先輩の字や人柄を思い出すこともできます。両方、それぞれの良さがありますね。

今もつながっている恩師や仲間とのご縁

当時、大八木弘明監督からはマネージャーとしての心得をたくさん学ばせていただきました。最初はうまく動けなくて、いろんな人に迷惑も心配もかけてしまったのですが、社会人になってからその心得を感じる場面が多く、今でも感謝の気持ちでいっぱいです。

マネージャー時代にお世話になった方、同級生、先輩、後輩は今、指導者だったり、メディアだったり、スポーツメーカーだったり、さまざまな場所で活躍されています。今でもつながっていて、ご縁に感謝しています。

学生時代のご縁や人脈は今にも生きています(右がM高史)

僕の駒澤大学の同期も、指導者として現状打破しています。主将だった早瀬浩二君は第一生命グループでヘッドコーチを務め、高井和治君は九電工で監督。治郎丸健一君は拓殖大学でコーチ。同級生の頑張りにはいつも刺激をもらっています。

僕が言うのもおこがましいですが、選手の皆さんはもちろん、マネージャーさんたちも学生時代にいろんな方と出会います。人とのご縁こそ、一生の宝物だと思います。ぜひ、大切にしていただきたいです。

4年生のマネージャーさんたちが抜けて、新たに主務になったり、マネージャーになったりした方もいらっしゃると思います。前述しましたが、幹部交代した直後から、いきなりたくさんの仕事が舞い込んで、心身ともにキツい日々が続いていると思います。

マネージャーさんも体力勝負! 選手が寝てから作業することもあるでしょうし、選手が起きる前に朝練習の準備をすることもあるでしょう。選手を支える側が倒れてしまっては、元も子もないので、限られた中でしっかり睡眠もとって、気分転換もして、選手・チームを支えていってほしいです!

これからもこの連載を通じて、いろいろなチームの皆さんを応援し続けていきたいです!

M高史の陸上まるかじり

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