陸上・駅伝

連載:M高史の陸上まるかじり

再び全国を目指す白鷗大学 白鷗大足利で実績を積まれた藤生康徳監督と選手たちの挑戦

白鷗大学女子駅伝部の皆さんに取材させていただきました(M高史撮影以外すべて提供・白鷗大学女子駅伝部)

今回の「M高史の陸上まるかじり」は白鷗大学女子駅伝部のお話です。全日本大学女子駅伝の常連だった白鷗大学ですが、ここ数年は全国の舞台から遠ざかっています。再び全日本、そして富士山女子駅伝に向けて現状打破する白鷗大学さんへ伺ってきました。

選手を「さん付け」で呼ぶ藤生監督

白鷗大学はこれまで全日本大学女子駅伝に22回出場。2007年と2009年には8位入賞を果たしました。ところが、2018年に富士山女子駅伝に出場して以降は、全国の舞台から遠ざかっています。一時は部員数も少なく、駅伝を組めないほどでした。昨年から藤生康徳監督が女子駅伝部の監督に就任し、全国返り咲きに向けてスタートを切りました。

白鷗大学は栃木県小山市に位置し、小山駅からスクールバスが出ています。大行寺キャンパスまでは5分ほど。キャンパスに到着すると、藤生監督が出迎えてくださいました。

藤生監督は明治大学のOBです。ご自身は短距離出身だったこともあり長距離の指導は高校の教員になってから。当初は他校の先生方から教えてもらい、指導に生かされていました。

練習前に選手に話をする藤生康徳監督(撮影・M高史)

白鷗大足利高校時代は男子が2012年、全国高校駅伝に初出場し、初入賞(6位)。栃木県勢としては初の関東高校駅伝連覇(2011〜2012年)も達成しました。その後は女子チームもサポートし、2014年に全国高校女子駅伝に初出場。以後は女子チームの監督も兼任し、2019年まで6年連続出場に導くなど、高校で指導実績を積み上げてこられました。そして、昨年から白鴎大学の監督に就任されました。

藤生監督は 選手を「さん付け」で呼びます。「18歳以上で大人、成人ですし、指導者と選手が対等な関係でいたいので」と選手とのコミュニケーション方法について教えてくださいました。

練習にも参加させていただきました!

現在は2年生4人、1年生5人という若いチームです。白鷗大学には球技場の周りに1周500mのコースがあります。以前はすべて土の走路でしたが、現在は約100mの直線がタータン、それ以外は土で、水はけが悪い箇所にはマットが敷かれ、クロスカントリーのようなコースでした。一見するとスピードを出しにくいように見えますが、接地、体幹、バランスを鍛えられますし、土の走路なので足に優しそうですね。

この日は試合に向けて、400mを疾走し、100mをジョグでつなぐインターバル走を4本。それを3セット。つまり全部で400mを12本走る練習に、M高史も参加させていただきました。

ポイント練習にも参加させていただきました

このグラウンドできっちりペースを刻めていたら、競技場では400mあたり2〜3秒くらい余裕を感じるのではという感覚でした。過去に全国で活躍してきた白鷗大学の先輩方も、このグラウンドでじっくりと鍛えて、記録を伸ばしてこられました。

関東インカレには主将の蓬田梨世蘭選手(よもぎた・りせら、2年、文星女子) が1500mに出場、10000mに小松めい選手(1年、山形城北)がエントリーしました(小松選手はコンディションが整わず欠場)。白鷗大学にとっては5年ぶりの関東インカレ出場ということで、階段を1段ずつ上るようにチームは成長を続けています。

関東インカレには主将の蓬田梨世蘭選手(右)と小松めい選手(左)がエントリー

進学を検討される高校生にメッセージも

練習後、選手にお話を伺いました。

主将・蓬田梨世蘭選手(2年、文星女子)
「栃木県で陸上を続けたいと思い、白鷗大学を選びました。仲が良くて、練習の時はみんなで盛り上がって、良い雰囲気でできています。キャプテンとして自分がチームを引っ張っていけたらと思っています。個人では5000m16分40秒切り、チームとしては関東大学女子駅伝で2時間00分20秒を切ることが目標です。高校時代に都道府県駅伝に出場していたので、大学4年間でまた出場したいです。チームとしては自分たちが卒業するまでに、また全国の駅伝に出場したいです」

副将・荏原羽珠選手(えばら・うみ、2年、市立柏)
「藤生先生から『強くする』と言っていただいたのが(入部の)決め手でした。キャプテンをサポートできるように、1人に負担をかけないようにしていきたいです。今年の目標は5000m16分40秒、10000mで35分30秒を切ることです。中学の時に全国の大会に出場していたので、また全国の舞台に出場できるように記録を伸ばしていきたいです」

部員は1、2年生のみで9人と若いチーム!白鷗大学の挑戦は続きます

蓬田選手も荏原選手も教育学部でスポーツ健康専攻。中学・高校の保健体育の教員免許取得を目指しているそうです。授業と練習で充実した生活を送る中、月に1度は「ご褒美タイム」という日を設けて、チームメートと好きなものを食べに行ったり遊びに行ったりして、リフレッシュしているそうです。

1、2年生中心の若いチームですが「今はまだ記録がなくても、やる気があって一緒に強くなれるような、高め合える選手にぜひ来てほしいです」と進学を検討している高校生の皆さんにメッセージをいただきました。

再び白鷗大学の襷(たすき)を全国の舞台へ。現状打破する皆さんに注目です。

M高史の陸上まるかじり

in Additionあわせて読みたい