藤波朱理が圧巻の金メダル、岡慎之助は「三冠」 パリオリンピック、学生たちの活躍
第33回オリンピック競技会パリ大会(パリオリンピック)が8月11日に閉会した。大学や大学院に在籍するアスリートは、計42人がエントリー。レスリングや体操など、主な大学生アスリートたちの活躍を振り返る。
メダルラッシュに沸いたレスリング
2021年の東京オリンピックでは、当時早稲田大学在学中だった須崎優衣が女子50㎏級で金メダルを取ったレスリング。パリ大会では日本体育大学の藤波朱理(3年、いなべ総合)が女子53㎏級で金メダルに輝いた。公式戦で「負けなし」の藤波は、中学2年時からの連勝記録を137に伸ばし、圧倒的な強さを見せた。女子68㎏級では慶應義塾大学の尾崎野乃香(4年、帝京)が銅メダル。階級変更を経てつかみとった初めてのオリンピックで、結果を残した。育英大学在学時に代表内定をつかんだ57kg級の櫻井つぐみと62kg級の元木咲良、東洋大学在学時に代表が決まった76kg級の鏡優翔(ゆうか)も金メダルを獲得し、メダルラッシュに沸いた。
体操・岡慎之助、団体総合、個人総合、種目別鉄棒で金メダル
徳洲会に所属している体操の岡慎之助は通信制の星槎大学3年生。初めてのパリオリンピックでは団体総合、個人総合、種目別鉄棒で金メダル、種目別平行棒では銅メダルを獲得した。20歳らしからぬ堂々とした演技で、日本体操界としては52年ぶりとなる「三冠」を成し遂げた。
四日市大学の岡村真(1年、暁)と日本体育大学の牛奥小羽(2年、名古屋経済大市邨)が出場した体操女子団体は8位入賞。大会直前にエースがチームを離れ、全員が10代、全員が初のオリンピックとなる状況でも、笑顔で演技を終えた。
苦しんだ競泳陣、松下知之が銀メダル
大学生最多の6選手が出場した競泳は、男子400m個人メドレーで東洋大学の松下知之(1年、宇都宮南)が銀メダルを獲得。学生に限らず競泳に出場した日本選手の中で唯一のメダルだった。3月に開催された水泳の国際大会代表選手選考会で、瀬戸大也に勝って優勝を果たし、パリ大会前の海外遠征や高地トレーニングを経て、調子を合わせた。決勝のタイムは4分8秒62。大舞台で従来の自己ベストを1秒以上縮める泳ぎを見せ、この種目で日本人3人目となる表彰台だった。
団体種目すべてメダルのフェンシング、飯村一輝も貢献
出場した団体種目すべてでメダルを獲得したフェンシング。慶應義塾大学の飯村一輝(3年、龍谷大平安)は男子フルーレで4位入賞、男子フルーレ団体では金メダルに輝いた。決勝ではアンカーを務め、逆転に成功。”フェンシング旋風”立役者の一人になった。
5人の大学生が出場した陸上、次の大会も見据えて
陸上の男子400mハードルに出場した慶應義塾大学の豊田兼(4年、桐朋)と東洋大学の小川大輝(3年、豊橋南)はいずれも準決勝に進めなかった。日本歴代3位の記録を持つ豊田は現地入り後にけがが再発。ゴール後も足を引きづるようにして会場を後にした。
男子200mには筑波大学の鵜澤飛羽(4年、築館)が登場した。予選では「日本人五輪新」を塗り替える20秒33の組3着で準決勝進出を決めた。準決勝は、後半の走りが伸びず組6着。4年後、ロサンゼルス・オリンピックでのリベンジを誓う。
男子4×100mリレーには東洋大学・柳田大輝(3年、東農大二)がメンバー入りし、予選で2走を務めた。1走のサニブラウン・ハキームからのバトンが少し詰まり組4着。着順で決勝進出を決め切ることはできなかったが、2組目の1着を上回るタイムだったため全体の4番目で決勝に臨んだ。
7月に自身が持つ競歩の日本学生記録を更新し、調子を上げてきた立命館大学の柳井綾音(3年、北九州市立)は男女混合競歩リレーに出場。高橋和生とのペアで挑んだ結果は13位。次のオリンピックを見据えて前を向いた。
スポーツクライミング・森秋彩、得意のリードで巻き返し
スポーツクライミングには筑波大学の森秋彩(あい、3年、つくば開成)がボルダー&リードに出場。前半種目ボルダーでの7位発進が響き、得意のリードで巻き返したが総合4位。惜しくも表彰台には届かなかった。卓球では男子団体に愛知工業大学の篠塚大登(3年、愛工大名電)が出場し、張本智和・戸上隼輔とともに戦い抜いて4位だった。
4年後の2028年にはロサンゼルス大会。今回出場した選手だけでなく、代表入りを逃し涙をのんだ選手や次世代を担う中高生らも成長し、活躍してほしい。